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2012年4月 4日 (水)

マーラー 交響曲第1番「巨人」 ハイティンク指揮

Ookayama

都内某所の夕方の「月」と咲き始めた「桜」。

嵐が過ぎ去った首都圏は、本日快晴。

強い風が、空気を澄み渡らせてくれたみたい。

桜も、今週末が見ごろでしょうか。

そして、街は、フレッシュな若い人であふれております。

わたしにも、そんな時があったと懐かしみながら、マーラー・シリーズをスタートさせてしまうのです。

Mahler_sym1_haitinkaco

  マーラー 交響曲第1番 ニ長調 「巨人」

ベルナルト・ハイティンク指揮アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団
   
                   (1972.5@ アムステルダム)

3月に、聖響&神奈川フィルの演奏を聴いたばかり。

そして、4月の今月は、同コンビで、10番「アダージョ」と「大地の歌」を聴くことになる。

こっちは、頑張ってそれまで全曲行っちゃいます。

作曲家の作品を、年代を追って集中的に聴くことは、その作曲家を理解するのに最も手っ取り早いやり方。
マーラーも、ブルックナーも、ショスタコもシベリウスの交響曲もそうやって聴いてきたけれど、あたりまえながら交響曲作曲家と呼んでいいからだと思います。
ベートーヴェンじゃ、そうはいかない。
交響曲だけじゃわからないし、そのすべてを聴くは大変な時間と労力を要する。

さて、マーラー(1860~1911)の1番は、1888年に作曲の交響詩としての初稿版を始めとして、2部構成の音詩の2稿を経て、1896年の交響曲の姿としての第3稿にて、現在最も演奏されている姿に行きついた結果。

次回、別褐しますが、1888年から1909年、21年の間にマーラーは9つプラス歌曲交響曲の10作を完成ベースでは年1作のペースで書き続けたことになる。
われわれが思う以上に、マーラーは指揮者としてもオペラの監督にコンサートにと、超多忙を極めた人だったので、この作曲ペースは、大作ばかりを考えると実にスゴイことに思います。

そんな想いで聴くフレッシュな面影も残る1番を聴くと、9番までの距離はそんなに遠くないようにも感じますが如何に。

もう40年近くも聴き続けているマーラーの、それぞれの時期の自分で、聴きどころ、押さえどころが変化しているようにも思います。
今回のシリーズでは、いまの自分が選んだ、マイ聴きどころを列挙しときます。
あと数年後(生きてれば・・・)また変わっていたりもするかもしれませんね。

 

 1楽章冒頭の混沌とした中に、カッコウの声やファンファーレが乗っかる、いかにもなんでもあり的なマーラーらしい出だし。
終楽章で2回あるファンファーレの1楽章版爆発とその後の急速な終結部。
  2楽章の中間部レントラー。特にポルタメントの効かせ方。
 
  3楽章は、この歳になって一番好きになった。
悲壮&皮相だが、本音を語っていない哀愁感が妙に好き。
 終楽章はなんといっても、第2主題の息の長い美し~い旋律。
いつまでもどこまで浸っていた~い。
そんなこといいつつも、ここでも2度の爆発に、最後のトドメでは、ホルン立ち上がり~の金管・木管ベルアップを脳裏に浮かべつつニンマリと聴く終結部の低弦のカッコよさ。

ハイティンクの1番の録音は、5回あって、今日のは、その2度目のスタジオ録音。
72年、マーラー全集を完成させたと同時に1番を再録音。
コンセルトヘボウとの蜜月も軌道に乗り、自身もロンドン・フィルとの兼任も成功し、飛躍しつつあった昇り調子の時期での再録は実に意義あるもの。
音楽の勢いと表情付けは、むしろ一本調子に感じるけれど、こんな素直で真っすぐの演奏はあんまりないのでは。
超巨匠となったいまのハイティンクの立派すぎる演奏と比べてみるのも一興。

少しばかり丸く聴こえる録音もいい雰囲気。

このレコードが出た時は中学生。
あの時、あなたは、わたしは・・・・・と思ってしまうのでした。

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コメント

いいっすねー。マーラーの1番!
好きです^^
とにかく作品が若々しい。あれもしよう、これもしようという熱意が伝わってくる。最終楽章の主題はベートーベンの5番の4楽章の主題を使って(いると思うけど違います?)偉大な作曲家への敬意も感じられます。
奥さんに苦労したという点でも尊敬。
1年に1曲ペース!すごいよ。。。書いてみると分かるんですが、オケ譜って私はどんだけがんばっても時速1ページなんです。本当に大変。
まして、全部作曲しながらとなると。。。
改めて先人の偉大さを感じます。

投稿: モナコ命 | 2012年4月 5日 (木) 14時52分

モナコ命さん、こんばんは。
4番とともに、時間小さめなので、軽く見てると肩すかしをくらいます。
ブラームスの1番にも匹敵する、悩み熟考の末の作品は、やはりベートーヴェンがお手本なのですね。

マーラーが死んだ51歳を乗り越えてますが、私のような素人でも、マーラーの譜面の緻密さと壮大さを見ると、おっしゃることが実感できます。
ほんとスゴイですね。
譜面でスゴイのはあとチャイコフスキーとなんたってワーグナー。そして美しいのがモーツァルトでしょうか。

投稿: yokochan | 2012年4月 7日 (土) 00時05分

これまた一気に全曲ですか、いや、頼もしいです!!。巨人、そう言えばここのところしばらく聴いてはいませんでした。ハイティンク盤、いいですよね。62年の録音のそのジャケットは実は私はCDでの発売で初めて見たのですが、ハイティンクのマーラーの海外でのLPジャケットはどれもそんなデザインでしたね。
ハイティンクよりも先に小澤盤でこの曲に目覚めた私ですが、稀代のマーラー指揮者、ハイティンクがアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団(断じてあのヒゲ以降のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団ではない)を指揮した深い演奏は今では私も外せない1枚です。私は懐かしい写真とともに72年版をTBします。

投稿: yurikamome122 | 2012年4月 9日 (月) 16時16分

あ、72年の録音をエントリなさっていたのですね。昨日は花粉症の薬のせいで意識がもうろうとしてしまい間違えてしまいました。
申し訳ございません。

投稿: yurikamome122 | 2012年4月10日 (火) 06時27分

yurikamomeさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
桜の花の一気開花に気押されるようにして、こちらもマーラー一気聴きをもくろみました。
神奈フィルの「大地の歌」にターゲットを合わせ、マーラーを短期に総合理解してしまおうと思ったのです。

でも、日々雑用やらなんやらで、こうした試みは大変だと、中間地点で思い始めました・・・。

巨人は、バーンスタインが初聴きでして、ハイティンクは後発でした。
しかし、いまの私には、コンセルトヘボウ時代のハイティンクが一番に思える音楽がいくつもあります。
彼がけちょんけちょんに言われなが律儀に録音し続けたブルックナーとマーラーです。
普通が一番!

TBとご訂正、ご丁寧にあいがとうございます。
懐かしいですね。ともかくよく飲み食べます、わたしたち(笑)

投稿: yokochan | 2012年4月10日 (火) 21時52分

どなたでしたっけ、精神科医ええと中井久夫さん?

病籍学の著書で、巨人の冒頭には統合失調症(当時分裂病とよばれていた)の初期段階に経験するものが現れているなんて書いていました。へー、こんなもんかとおもっています。なるほど、(確定診断がでている)トラークルやカフカにも(もっとはるかに不気味な気分が乗ってはいるが)似たようなところがあるといえばありますもんねえ。

あれからマーラーでこれだけは大好き。後のは大げさで芝居かかっていて、ちょっと。一番聞くのがテンシュテットのシカゴ盤。

投稿: gkrsnama | 2013年3月17日 (日) 07時04分

gkrsnamaさん、こんばんは。
どうもコメントありがとうございます。

マーレリアンとしては辛いお話ですが、たしかにマーラーは分裂気質の方で、その気質が音楽に反映されていると思います。
そして1番の冒頭に、そのような指摘があること、初めて知りました。
1番は、マーラーを深めてくるとだんだんと聴かなくなってきますが、あとの番号ほど、その音楽は多様化して、彩しく美しく、劇的になるのですが・・・。
なにかの機会を持ちまして、再認識されますこと、願っておりますが、わたくしが推す話ではありませんね。
貴重なお話と情報ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年3月17日 (日) 23時51分

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» ハイティンク指揮、コンセルトヘボウ管弦楽団でマーラー作曲、交響曲第1番「巨人」(72年) [yurikamomeの妄想的音楽鑑賞とお天気写真]
 今日は大御所登場、ハイティンク指揮、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団でマーラー作曲、交響曲第1番「巨人」(72年、全集用)  ハイティンクはコンセルトヘボウ管弦楽団ではこの曲の録音は正規版で3つ存在する。 一つはたぶん国際マーラー協会の名誉会員に推薦された記念だかなんだかわからないけど、その年の62年の録音。黒い箱に入った直近のコンセルトヘボウ管弦楽団との全集に入っているのはこれ。  そして、第3交響曲から始まったマーラーの交響曲全集の一環として録音されたテイクがこれ72年の録音。LP... [続きを読む]

受信: 2012年4月 9日 (月) 16時17分

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