« ワーグナー 「パルシファル」 アバド指揮 | トップページ | マーラー 交響曲第5番 マゼール指揮 »

2012年4月10日 (火)

マーラー 交響曲第4番 レヴァイン指揮

Sakurazaka2

土曜日の六本木・桜坂あたり。

プライベートか、撮影か、不明なれど撮っちゃいました。

そのとき咎められなかったから載せます。

旦那はカット。

花嫁の後ろ姿に満開の桜が絵になってましたもんで。

Mahler_4_levine

    マーラー 交響曲第4番 ト長調

       
S:ジュディス・ブレゲン

    ジェイムズ・レヴァイン指揮 シカゴ交響楽団
                      (1974 @シカゴ)


ワーグナーを間に、今日もマーラー。

第4交響曲は、3番(1896年)から少しばかり間をおいて、1900年の完成。
その間、ユダヤ教からキリスト教カトリックへの改宗の甲斐もあり、ウィーンでの指揮者としての地位を得て、その指揮者としての多忙な日々を経て間が空いたのかもしれない。

2番・3番とともに、「子供の不思議な角笛」の歌曲に由来するところから、角笛3部作ともいわれる。
一方で、その間を考えると、改宗してまで得たウィーンでのポストでの葛藤。
しいては自身の存在意義など、悩めるマーラーが顔ももたげて、続く第5交響曲との関連性も強く見いだせる両またぎ的な交響曲となっているのだ。

パロデックな2楽章に、そんなマーラーの一面を感じつつ、この曲の核心である3楽章の「平安に満ちて」と題された長大な音楽を聴くと、天国を用意されたその階段を、ゆっくりと、そして微笑みをもって昇るような、いっときの平和を謳歌するマーラーを、そしてもしかしたら自分自身を見出す想いがする。

天国は地獄か・・・、地獄が天国か・・・・、そんな裏腹のA面・B面の世界を、この幸せな雰囲気の交響曲に感じたりもする今日この頃。
天国思想。切支丹たちは、「パライソ」と呼び、迫害に耐え、その先のパライソを夢見た。
カトリック思想のひとつであり、聖母マリアを崇める切支丹たちの想いに合致します。

この交響曲第4番は、そんな意味で、私には「謎」なのです。

3番の「愛」の延長上に、4番の「天上」。

そうじゃない5番では、もっと複雑な「葛藤」と勝ってない「勝利」。

玉虫色のマーラーが、4番あたりからジワジワと見えてきたと思えるのです。

31歳の若きレヴァインが、マーラー・オケのシカゴをのびのびと振っているのがこちらの音盤。
レコード時代、レヴァインのマーラーはアバド・メータとともに集めましたよ。

同じアメリカ発、ユダヤ系の演奏でもバーンスタインのような耽溺的なマーラーではなく、もっと客観的でしなやか。
でも、マーラーの先進的な音楽や、オーケストラ音楽としての鳴りのよい楽しみといったものを100%掴んで、生かしきった積極的な演奏。
 
  この4番では、あまりに「あっけらかん」としすぎているきらいもあり、オケの抜群のウマさもアメリカンすぎでありますが、逆にいうと、オール・アメリカンのこだわりのないマーラーも屈折感なく、あれこれ考える隙もないだけにいいもんです。

1楽章では、終楽章との鈴音の関連性の持たせ方がまずおさえどころ。
甘いポルタメントをどんな風にかけるか。
終結部のたたみかけが性急にならないように、指揮者の力量も聴きどころ。
 曖昧で捉えどころのない2楽章は、管楽器の名技を聴くとともに、ヴァイオリンソロのフィドール風な民族調な場面も押さえどころ。
 大好きな3楽章は22分かかります。この交響曲の白眉ともいうべき3楽章。
マーラーの全作品のなかでもかなり上位にくるこの楽章。
お休み前にナイトキャップがわりに聴くもよし、早朝の朝もやけに聴くもよし、そして身も心も疲れ果てた晩に、癒しとして聴くのもよろしい。
どこもかしこも素晴らしい3楽章。
最後の大爆発をどう聴くか・・・、人それぞれでいいでしょう。
 これがあって、終楽章のソプラノが入った天国サウンドを聴くにつれ、前の楽章の偉大さがよくわかる。
ソプラノの歌唱は、わたくしカトリックしました・・・みたいに思えちゃうが如何に・・・・。

レヴァインはミュンヘン、ボストンでの活躍が音盤としてあまりうまく残ってないし、メトのDVDばかりが最近の活躍を知るよすがとなってしまいました。
でも、長期にわたる活動停止はちょっと心配であります。
デビューした頃の、目も覚めるようなイキのいいピチピチとしたサウンドが懐かしい・・・。
ザルツブルクのFMライブで聴いたLSOとの「幻想」がとてつもなく鮮やかな演奏だった。
このマーラーと同じ、74年のものだったかも。

|

« ワーグナー 「パルシファル」 アバド指揮 | トップページ | マーラー 交響曲第5番 マゼール指揮 »

コメント

 お久しぶりです。神奈川フィルのマーラーは、千人と10番の完成版を残すのみとなりましたね。ブログ主様絶賛の聖響さん指揮の6番、私もCDで聴きたくなってしまいました。
 レヴァインというと私の世代ではメトでオペラのDVDやCDを沢山出しているあの指揮者というイメージが非常に強く、交響曲の指揮者というイメージはあまりありません。恥ずかしい告白かもしれませんが、レヴァインが指揮した交響曲のCDというとモーツァルト・イヤーだった91年に向けてグラモフォンが彼とウィーンフィルを起用して録音したモーツァルトの交響曲ぐらいしか聴いたことがないのです。メータやレヴァインが矢継ぎ早にマーラーのシンフォニーを録音していた頃、私なぞはまだヨチヨチ歩きか保育園児でしたから。オペラの指揮者としては本当に素晴らしい人だと思うのですが・・・モーツァルトもワーグナーもヴェルディもプッチーニもシュトラウスも・・・交響曲とカラフルな管弦楽曲一辺倒だった私をオペラの世界に誘ってくれた功労者は彼かもしれません。ミュンヘンやボストンでの活躍を伝えるCDやDVDが非常に少ないのと長い指揮活動の停止は確かに気になりますね。

投稿: 越後のオックス | 2012年4月21日 (土) 13時20分

越後のオックスさん、こんにちは。
こちらこそお久しぶりでして、コメントお待ちしておりましたよ。お元気でしたか。

マーラーを同じ演奏者で、同じ場所で連続聴きできる幸せ。言葉に尽くせません。
この素晴らしさを多くの方々にお伝えしたくてやみません。

レヴァインの具合は、指揮ができないほど悪いみたいです。
メットの数々のわかりやすいオペラ演奏は、アメリカンな雰囲気もありながら普遍的なものばかりですね。
わたしも数々の恩恵にあずかりました。
そして、バイロイトでの活躍。
リングとパルシファルは、いまでも貴重なものです。
ミュンヘンもボストンも自主制作みたいな盤しかありませんし、ミュンヘンのものはあんまり評判があがりませんでしたね。
ボストンでのドイツ・レクイエムがよさそうなので、いつか聴きたいと思ってます。

投稿: yokochan | 2012年4月21日 (土) 20時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: マーラー 交響曲第4番 レヴァイン指揮:

« ワーグナー 「パルシファル」 アバド指揮 | トップページ | マーラー 交響曲第5番 マゼール指揮 »