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2012年5月11日 (金)

モーツァルト ピアノ協奏曲第20番 カーゾン&ブリテン

Tsutsuji_azumayama1_2

鮮やかなツツジが斜面に咲きほこってましたこちらは、毎度おなじみ吾妻山。

いっとき、このツツジが全然ダメな年が何年もありまして、ろくに咲かない時期がありました。

今年は、とてもきれいに咲きましたね。

菜の花ばかりに手がまわって、こちらはほったらかしだった・・・・?

色合いや中途半端感など、行政にもセンスが問われますが、わたくしが言うべき筋合いじゃぁないですな。。

Mozart_piano_concert_curzon

  モーツァルト  ピアノ協奏曲第20番 ニ短調 K466

          Pf:クリフォード・カーゾン

   ベンジャミン・ブリテン指揮 イギリス室内管弦楽団

                     (1970.9 スネイプ)


モーツァルトぐらいの作品になると、ケッヘル番号を覚えちゃうし、同時に調性もしっかり覚えています。
音楽ファンなら、きっとそうだと思います。
ブルックナーやマーラーも同列で聴くような世の中になったけれども、それら交響曲の調性は完全には覚えてません。

ブルックナーもマーラーも、わたしたちは、何番というようにして、その曲を呼んで語りますが、モーツァルトは番号もさることながら、K=ケッヘル番号や調性で呼んだりします。

モーツァルト受容歴が歴史的にもはるかに長いのと、多岐にわたるジャンルが作品番号で呼びあった方がわかりやすいことなどが、その理由かもしれません。
でも、やはり、みんなモーツァルトが好きだから、苗字のような番号で呼ぶより、名前のような呼び方に親しみや愛情を覚えるんだと思うんです。

で、K466といえば、20番のピアノ協奏曲。
短調の協奏曲といえばふたつだけ、そしてニ短調の協奏曲いえば20番。
と、いうことになります。

両端楽章が短調で、悲劇的な色合いが強く、ギャラントなムードは一切感じられない。
1楽章の長いオーケストラ部分に続いて弾き出す静謐で澄みきったピアノソロは、わたしには、まるで女声によるアリアのように感じてしまう。
この曲にはまった中学時代は、ともかく1楽章がとても好きでした。
ちなみにそれは、従兄に教えてもらったワルターの弾き語りの音源。
少しばかりデモーニッシュで劇的な3楽章とともに、この協奏曲は短調の悲劇一色に塗り込められた作品とばかりに思いこんでおりました。

そして高校時代に買ったレコードが、グルダとアバドの演奏。
21番とのカップリングは、うららかなウィーンの春のようなハ長調のK467が大いに好きになり、同時に短調の20番は、その愛らしくも美しい第2楽章ロマンツェが、とても愛おしく感じたのでした。

以来、この曲は、その第2楽章があるからこそ活きてくる短調なのだと思うようになりました。

カーゾン・ブリテン・イギリス室内管、という純正イギリス産のモーツァルト、均整のとれた透明感あふれる美しい演奏で聴くニ短調。
品のよさと、潔癖なまでの生真面目さが、青白さまで漂わす儚くも、恐ろしいまでの美しさを醸し出してます。
カーゾンのモーツァルトの魅力は、蒸留水のような透き通ったタッチによる繊細かつ、音ひとつひとつへの愛情にあふれた優しさ。
指揮者・ピアニストとしても最高の人だったブリテンの指揮するイギリス室内管の研ぎ澄まされた美しさも特筆ものです。

この音盤のB面は、最後の協奏曲K595。
こちらの演奏も、もったいなくて、特別なことがなくては聴けないような名曲名演なのです。

カーゾンは、晩年、アバドとよく共演していて、それらの音源がいずれ復刻されることを強く望んでおきます。

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コメント

こんばんは
ご無沙汰でございます

これは同じCDを持ってます(^^
初めて聴いた時はカーゾンのピアノよりも
ブリッテン指揮する立派な伴奏に驚いた記憶があります
カーゾンの気品ある控えめなピアノの良さに気付いたのは少しあとのことでした(^^ゞ

投稿: パスピエ | 2012年5月12日 (土) 20時59分

パシピエさん、こんばんは。
こちらこそしばらくでした。
いつもピグモン君を拝見しておりますが、失礼しちゃってます。

この音盤をお持ちですね。
モーツァルト好きならきっと気に入る演奏だと思います。
ブリテンの指揮活動は、バッハやモーツァルトから、マーラー、自作まで。
きっとブーレーズのような存在になったかもしれない、早すぎる死でした。

そして、カーゾン。いいですね。
ブラームスも聴いてみようと思ってます。

投稿: yokochan | 2012年5月13日 (日) 00時03分

過去記事に大変失礼致します

これは、私の記憶違いでなければ、ベートーベンが作ったカデンツァが譜面として残されてはおりませんでしたでしょうか?

そして更に私の記憶違いでなければ、以前所持しておりましたウェストミンスター盤のLPが、そのカデンツァを再現したものだった様な気が…

カデンツァになった途端、いきなりガラリとベートーベンの世界になって、その余りのギャップに思わず失笑した記憶がございまして…

それがこの楽曲だったかどうかが、今では朦朧となっている次第ではあります(これも又失笑ものですが…)

投稿: Booty☆KETSU oh! ダンス | 2013年4月26日 (金) 04時03分

Booty☆KETSU oh! ダンスさん、こんにちは。
コメントどうもおそくなりすいません。

そうですね、ご指摘のとおり、カデンツァはベートーヴェンも残してます。
このCDもたしかそうだったと思います。
わたしの大好きな音盤、グルダとアバドの演奏もベートーヴェンです。

かなり多くの奏者が使っているように思われます。
たしかにギャップはありますね。
でも、厳しい短調ゆえに、全然ありの雰囲気ですね。

投稿: yokochan | 2013年4月28日 (日) 10時22分

ご教示頂き有り難うございました。なるほど…結構、他の演奏家も使っているのですね。私の持っていた盤は、誰の演奏だったか…(笑)すみません、どの楽曲にせよ、誰が演奏しているかについては、本当に無頓着なものですから…(レオンハルトは除く…何だそりゃ!)

有り難うございました

投稿: Booty☆KETSU oh! ダンス | 2013年4月28日 (日) 22時23分

Booty☆KETSU oh! ダンス さん、こんにちは。
ヲタクになると、演奏者ばかりから曲を選びがちですが、でも本来の音楽で選ぶという無頓着は忘れちゃいけませんね。

投稿: yokochan | 2013年4月30日 (火) 10時10分

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