ドビュッシー 管弦楽のための「映像」 クリュイタンス指揮
熊本、天草市大江にある「大江天主堂」
カトリックの教会です。
先だって、天草で仕事があり、それは今後に布石を打つような会への出席だったけれど、そこでの美しい海の風景は、晴れてあまりに美しかったのですが、でもお仕事ゆえ、写真を撮るような環境にはなかったのです。
でも、翌日の休日に、以前から訪れたかった天草下島の切支丹教会へと車を走らせたのでした。
しかし、雨。
山の中腹に位置するように見える教会は、ちょっと南国風で、しかもかつての村の中心にあったようにも思わせる存在。
教会から見下ろすと向こうには海が見えます。
あいにくの雨で、煙ってしまいましたが、この海から宣教師たちが危険を顧みず、遠い日本にやってきたのであります。
カトリック教会ですから、聖母マリア、そして立派なルルドの泉がありました。
これもまた南国風にございましたね。
内部はロマネスク様式の壮麗な造りで、心休まる静寂の空間です。
禁撮影でしたので、ここでは公開しません。
近くにある、「天草ロザリオ館」では、天草キリシタンにまつわる資料や品々が展示されてます。
天草島原の乱で全滅したと思われていた切支丹たちが潜行して、禁教の厳しい弾圧のなか、独自の姿にその教えを変えて守ってきた信仰。
マリア観音とか、お経を壺に封じこめてしまう経消しの壺、さらには踏み絵など、しばし、過去に思いを馳せながら過ごしたのでございます。
ドビュッシー 管弦楽のための「映像」
アンドレ・クリュイタンス指揮 パリ音楽院管弦楽団
(1963.9 パリ)
ピアノに続いて、オーケストラのために書かれた「映像」を。
管弦楽の分野でも、印象主義としての作風を確立していた充実期にあったドビュッシーの最後の純粋オーケストラ作品。
1.「ジーク」
2.「イベリア」
①「町の道や田舎の道で」
②「夜の香り」
③「祭りの日の朝」
3.「春のロンド」
イギリス、スペイン、フランスのそれぞれの民謡や舞曲を素材として取り入れ、それらを単なるモティーフとするわけでもなく、それらを各国の雰囲気、印象として扱った音楽。
だから単なる表題音楽や交響詩的なものでもないところが、ドビュッシーたる由縁。
「イベリア」ばかりが単独で抜き出されての演奏に録音と、やたらと有名だけれども、全3部作を一挙に聴くことが一番よろしい。
各国の、それこそドビュッシーが感じた英・西・仏の雰囲気をふんだんに楽しむことができる。
でも、イベリアばかりが長くて、ほかはちょっと短めなのが何故だろう。
作曲の順番が、イベリア→ロンド→ジークとなっていることも、特にジークでは苦労したらしい。
それと、当時のヨーロッパでのスペイン・ブーム。
ピアノの映像では、ジャポニズムの影響が色濃く出ていたのに、こちらは「イベリア」ゆえに、スペインカラーが強い。
かつての超大国、スペインは当時、海外の植民地を次々に失い、国内もきな臭くなっていた時期。
いまもいろいろと気になる国ではありますな。
音楽の方は、スペインの湧きあがる血と、濃密な夜を感じさせる「イベリア」がやはり聴きごたえありますが、茫洋とした中に光が満ちてくる感じの「ジーク」に、キラキラした中にも、どこか哀愁さそう「春のロンド」。
これの演奏は、今日は、匂い立つような芳香あふれるクリュイタンスとパリ音楽院の音盤で。この品のあるドビュッシーは実によろしゅうございます。
当時のパリの管楽器のこ洒落た、そしていくぶん鄙びた響きもとても素敵なもので、このコンビのラヴェルとともに、至芸品として末永く記憶されるべきものに思います。
天草市内、本渡を走行中前を走るバス。
こんな色っぽい市バスが。危ないぜ。
雨の有明海沿いを走ると、前方から電車。
三角線(あまくさみすみ線)でございます。
味がありすぎだぜ。
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