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2012年6月17日 (日)

ツェムリンスキー 交響詩「人魚姫」 J・ジャッド指揮

Enoshima_2

実家の町にある吾妻山から。

360度の眺望の山上ではなく、中腹から湘南相模湾方面を。

近くは大磯の街、遠くは三浦半島に江の島が見えます。

もっとちゃんとしたカメラが欲しいところデス。

Enoshima_1

アップにして撮ってみましたが、解像度悪すぎ。

江の島の手前に、烏帽子岩が見えますよ。

この海に、山、ワタクシの原風景にございます。

ですから、海と山の音楽にもいろんな思いが想起されて大好きなのです。

Zemlinsky_maermaid_judd

  ツェムリンスキー 交響詩「人魚姫」

    ジェイムズ・ジャッド指揮 ニュージーランド交響楽団

                 (2006.6 @ウェリントン)


ムチャクチャ大好きなこの曲、2006年以来、久々に取り上げます。

アレクサンダー・フォン・ツェムリンスキー(1871~1941)は、ウィーン生れの両親の改宗にもよるが、ユダヤ系の作曲家。
マーラーやRシュトラウスの10年あと、シェーンベルクと同時代の人。
指導者・指揮者としても戦前は活躍したが、ナチス台頭でアメリカに逃れ、忘却の彼方となった作曲家。
そうした存在として、コルンゴルトとまったく同じで、そのコルンゴルトは、ツェムリンスキーの弟子でもあります。

さらに、シェーンベルクの師でもあり、義理の兄でもある。
そして、アルマの師で、かつアルマへの求婚者だった人。
アルマはマーラーに取られ、でも、マーラーはツェムリンスキーの擁護者として、そのオペラを積極的に上演してゆく。
いまや、マーラーが中心となって語られるウィーンの世紀末音楽シーンですが、実はキー・マンみたいな存在がツェムリンスキーなんです。

忘れられたツェムリンスキーのリバイバルは、80年代初頭。
ラサールSQや、アルブレヒト、マゼール、シャイーなどが積極的に取り上げて、ポスト・マーラー兼シェーンベルクのように聴くことができることが判明。

ことに、マゼールの「抒情交響曲」とシャイーの「人魚姫」が、ともにメジャーレーベルということもあり、画期的なツェムリンスキー見直しの音盤となりました。

ともに、いろんな録音が増えましたが、ナクソスからいずれも素晴らしい録音が登場してます。
イギリスの指揮者ジェイムズ・ジャッドが南半球のクールなオーケストラ、ニュージーランド響を指揮した1枚。
ジャッドはN響にも客演してますが、英国ならではのスマートかつフレキシビリティあふれる音楽造りをする人。
英国指揮者は、本国ではあまり活躍しないパターンのとおり、他国での活躍が目立ちます。ニュージーランドでも長く音楽監督をつとめ、後任は、お馴染みのインキネン。

現地マオリ系の方々も奏者にいらっしゃるニュージーランドのこちらのオーケストラ。
欧米のオケとは異なる新たな勢力として、オーストラリア、わが邦、ひいては韓国・中国などもオーケストラ音楽の発信源となってゆくことでありましょう。

NZSO(ニュージランド響)のカッコよすぎるホームページはこちら。
http://www.nzso.co.nz/

シーズン演目のページなどは、指揮者や楽員をモデルに、映画風、ニュージーランド風のあまりに素晴らしくクールな出来栄え。
欧米のオケの王道を極めたスマートなページとはまた異なる、個性的かつ濃すぎのHPは、日本のオーケストラも参照すべき点ありです。

「人魚姫」は、1903年の作品。
マーラーは6番の交響曲に取り組んでいた年。
1903年の作曲、シェーンべルクの「ペレアス」と同時に、自身の指揮により初演されたのが1905年。
妹婿のシェーンベルクの方に活躍の勢いもあり、思うような成功を収められなかったツェムリンスキー。
その後、作曲者の名前ともども忘れさられ、日の目をみなくなったこの作品は、アンデルセンの有名な童話「人魚姫」に基づくもので、3つの楽章からなる甘味かつロマンティックな交響幻想曲なのであります。

人魚国の王の6人娘の15歳の末っ子が、人間の王子に恋をした。
16歳の王子の誕生パーティで、彼の乗った船が転覆し、人魚姫は必死に助けるも、人間にその姿を見られてはならない悲しさ。通りがかりのとある女性が王子を介抱し、王子も命の恩人と思いこんでしまう。
 王子を忘れられない人魚姫は、自分が救ったともいえない。その声と引き換えに人間の姿をもらうこととなるが、もし王子と結婚できないならばその次ぎの日にはその心臓が泡と消えてしまうとの宿命を背負うことになる。
そして、王子に妹のように可愛がられ近くに仕えることとなり幸せを感じる日々が始まった。
でも、言葉を発することができず、王子は介抱してくれた女性を選び、結婚することに。
人魚姫の姉たちは、王子を殺せば、また元の姿に戻れると諭すが、王子を愛する彼女は、そんなことができず、海に身を投げ自らの命を差し出す。
彼女の体は海の中でみるみるうちに溶けだし、やがていくたの泡となり、空気の精となって永遠の魂を得て昇天する・・・・・。

悲しい報われない恋を描いたこのストーリーを想いながら、この美しい音楽を聴くと、気の毒な人魚姫が愛おしくなります。
世紀末風のもしかしたら明日はもうない的な、刹那的な雰囲気もただようこのツェムリンスキーの音楽は本当にステキなものです。
最後に人魚姫が靄のようになって昇ってゆく場面では、音楽は海に沈む美しい夕映えのようであります。

演奏は、シャイーの名盤に肉薄するような素晴らしさ。
オケの明るい響きも印象的でありました。

過去記事

 「シャイー&ベルリン放送交響楽団」

Sodegaura_5

わたしには、海も感じさせる、ノスタルジーあふれる音楽でもあります。

そうそう、子供のころ、アンデルセン物語のソノシート(レコード絵本みたいなもの)を買ってもらって、来る日も来る日も夢想しておりました。

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コメント

こんにちは。
私もこの曲を愛してやまない者の一人ですが、ジャッド盤が出ていたのは知りませんでした。そんなにいいのなら聴いてみようかなと思います。NZ響もなかなかよい楽団ですし。

投稿: naoping | 2012年6月17日 (日) 13時11分

naopingさん、こんにちは。
人魚姫を好きな同志ですね。
ツェムリンスキーは、どうも地味で、有名になれないところが、妙にうれしいです。
ナクソスのジャッド盤、期待してませんでしたが、バリっとしたいい演奏でしたよ。
以外なくらいにオケもうまいし、是非お試しを。

投稿: yokochan | 2012年6月17日 (日) 21時43分

こんばんは。

ツェムリンスキーの交響詩「人魚姫」のお話興味深く読ませていただきました。人魚姫といえば、昨年12月ドボルザークのオペラ「ルサルカ」を生演奏で聴き、ブログにも書きましたが、その幻想的でファンタジツクな音楽の世界に酔いしれました。ツェムリンスキーの「人魚姫」は、ドボルザークとは別の人魚姫の世界が楽しめそうですね。一度聴いてみたいと思います。ご紹介いただきありがとうございます。

私はワーグナーの「ローエングリン」について書いてみました。ご意見などいただければ幸いです。

投稿: dezire | 2012年6月18日 (月) 23時52分

dezireさん、こんばんは。
新国の「ルサルカ」、好きなオペラで音でしか聴いたことがなかっただけに、是非にも観劇したかったのですが、諸所あり、あたわずでした。
スラブならではの森と湖の精霊となった、これも人魚姫物語ですね。
あの美しいアリアには陶然としてしまいます。
そして、こちらのツェムリンスキーの音楽は、どちらかというと保守的な世紀末音楽という感じで、非常に聴きやすいと思います。
ブラームスがあって、マーラーとともにあるっていう感じでしょうか。
機会がありましたらどうぞ。

ローエングリンにも行けなったことは痛恨の極みです。
フォークトの評判は、我が国ではよかったようですね。
記事拝見して羨ましくて、涎が出てしまいました(笑)。

投稿: yokochan | 2012年6月19日 (火) 22時10分

こんばんは。
ツェムリンスキーには一時はまりました。
在庫チェックしますと、人魚姫はシャイー、ダウスゴー、ボーモント盤がありました。ボーモント盤が一番繊細でした。行きそびれた、 こびと、 なんとかもう一度。
フォークトは大変素敵でした。かみさんも、ご機嫌でした。マイスタージンガーどうしようか悩んでる様子です。

投稿: | 2012年6月20日 (水) 22時03分

Mieさん、こんばんは。
ツェムリンスキーは、ときおり思い出したように、「人魚姫」と「抒情交響曲」を聴きたくなります。
オペラも順次聴いてますが、なかなか対訳はおろか英訳もないCD音源で、難渋してます。
こびとは、DVDも出ましたね。
小人とフィレンツェを一夜に、なんかやって欲しいですね。

フォークトは今回、大評判の様子ですね。
完全に行けませんでした。
マイスタージンガーのDVDは、まだ観てませんが、音は再三聴いてます。それよりも演出がどうも・・・不安です。

投稿: yokochan | 2012年6月22日 (金) 00時31分

yokochanさま、お久しぶりです。

今回は~僕もムチャクチャ大好きな、このツェムリンスキーの「人魚姫」ですかぁ~。実にいいですねぇ~。ロマンティックで悲劇的な結末の、アンデルセンの童話と共に~世紀末臭の濃い、ロマンティックで幻想的なこの交響詩~、マイナーながらも僕のフェイヴァリッツですよ!僕が所持しているのは、シャイー盤だけですが~これと比べて、ジャッド盤はどうなんですかね?

因みに、このシャイー&ベルリン放響のCDを聞く前に~FMでこのコンビのライブを聞いたのですが、こちらの方が自然体でドラマティックでCDの演奏よりも良かったですね!CDの方は~いざ!正規盤を録音するぞぉ~という気負いのようなものが感じられ、全体的に堅いんですよねぇ~、演奏がねぇ~。

投稿: Warlock Field | 2012年6月24日 (日) 20時26分

Warlock Fieldさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

またしても、この曲のファン発見。
各所に多い、人魚姫のふぁんの声に、とてもうれしく気持ちが強くなります。
埋もれては勿体なさすぎる名曲に思います。
シャイーやこの盤以外にも、出てますが、演奏家がビックネームじゃないので、演奏はいいのに、埋もれつつある存在。
でも、いっそ、このままでいい、密やかな楽しみとした方がいいとも、思ったりもしてます。

シャイーのFM放送は、わたしも録音してカセットで聴いておりましたが、CDが出たのを機に上書きしてしまいました。
残念なことをしました。
当時のシャイーとベルリン放送は、マーラー10番や、プッチーニなど、いい仕事してましたねぇ!

投稿: yokochan | 2012年6月25日 (月) 21時37分

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