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2012年6月19日 (火)

神奈川フィルハーモニー6月定期演奏会 曲目紹介 R・シュトラウス

Ouji_1

梅雨どころか台風きちゃいました。

大きな被害が出なければいいのですが。

北区王子の飛鳥山、線路沿いの紫陽花を観てきました。

ともかく美しく、その淡い色調は、日本のこの時期ならでは。

でも、日本を取り巻く自然環境は世界規模で変化してしまいました。

しっとりとした風情ある梅雨は、それこそ露と消えてしまいました・・・・。

Strauss

R・シュトラウスが晩年を過ごした、バイエルン州、ガルミッシュ・パルテンキルヒェン。

かの地では、シュトラウス音楽祭が毎年開かれているそうな。

晩年の闊達としつつも、几帳面なシュトラウスらしい自画像のような1枚。

そして、6月の神奈川フィルハーモニーの定期演奏会は、オール・シュトラウス・プログラム。

R・シュトラウス 歌劇「インテルメッツォ」 4つの交響的間奏曲

              ~暖炉のほとりでの夢想~

            「変容」~メタモルフォーゼン

           交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

       金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

    2012年6月22日 (金) 19:00 みなとみらいホール

今日は、Facebookページ「神奈川フィルを勝手に応援するサークル」に投稿した記事をそのまま記載いたします。

フェイスブックページは、こちら→

弊ブログをご覧いただいておりましたら、わたくしがいかにR・シュトラウス好きかおわかりでございましょう。
先月のワーグナーに続いて、今回はシュトラウス。
まったく、神奈川フィルったら、もう次々にもう

①歌劇「インテルメッツォ」 4つの交響的間奏曲より“暖炉のほとりでの夢想”

15作あるシュトラウスのオペラ作品のうち、8番目の作品。1924年ドレスデンでK・クラウスにより初演。

シュトラウスのオペラに関しては、別記事といたしますが、有名どころ、すなわちよく上演されるものは、「サロメ」「エレクトラ」「ばらの騎士」「ナクソスのアリアドネ」「影のない女」「アラベラ」「カプリッチョ」あたりで、約半数のオペラ作品に必ずしも日があたっているとはいえない状況なのが残念です。

今回演奏される「インテルメッツォ」もそのなかのひとつながら、シュトラウス自身が、抜き出して組曲として編んだ4つの交響的間奏曲は、コンサートにもときおり乗りますし、ワルツも交えて華やかで聴きやすい作品となっております。
このオペラの表題は「2幕からなる、交響的間奏曲付きの市民的喜劇」と記されていて、この4つの間奏曲のイメージそのものがオペラの基幹となっているものです。
 そもそも「インテルメッツォ」とは、「間奏曲」という意味です。

オペラの内容は、「楽長ローベルト・シュトライヒがウィーンに長期出張の合間に、あらぬ嫉妬をいだく奥方、そして最後は温厚な夫が婦人を本気で叱り、愛されている自分を知る妻、そして、可愛い息子もそれにからんで夫婦円満が戻る。」という他愛もない家庭内痴話物語。

何を隠そう、楽長シュトライヒは、シュトラウスのことで、その妻はまさに「怒りんぼ」だったパウリーネそのもの。

このオペラは完全にシュトラウスの家庭交響曲のオペラ版なんです。
そして自分で台本も手掛けたこのオペラは、息子フランツに捧げられております。

組曲の2つめ「暖炉のほとりでの夢想」は、1幕の中間、夫と喧嘩したまま出張に送り出してしまい、若い男爵とも少し火遊びをしたけれど、夫の優しさをいまさらに思い、ひとり憩う場面です。
 でも、このあと、彼女を嫉妬の嵐に巻き込む手紙が出現するなんて、ここでは思いもよりません。。。。

②「メタモルフォーゼン」~23の独奏弦楽器のための習作

シュトラウス晩年1945年、ドイツ敗戦の年の作品は、<ヴァイオリン10、ヴィオラ5、チェロ5、コントラバス3>という独奏楽器の指定のうえでの編成。
この作品完成の3ヶ月後のドイツの全面降伏。

シュトラウスは、「激しい戦争によって次々と破壊されてゆく祖国の貴重な文化財や劇場に対する深い悲しみと嘆き」を込めて書いたとされる。
 一方で、シュトラウス自身は「わが生涯の反映」とも述べていて、この曲には崩壊の悲壮感とともに、自身の生涯を肯定的に回顧する思いも込められているものと思います。

自作の旋律を取り入れることでは、他作品と同じくするところで、「ツァラトストラ」と「ナクソスのアリアドネ」からの引用があるほか、ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」のマルケ王のライトモティーフも使われております。
これらは、諦念や深い嘆きを意味するものに。
 そして、全曲を覆い尽くすかのようにいろいろと姿を変えて登場するのが、ベートーヴェンの「英雄交響曲」の第2楽章「葬送行進曲」は、悲哀の挽歌です。

祖国の死を悼むとともに、過去との惜別の念がじわじわと広がってゆく様を、どうぞじっくりとお聴きください。

独奏であって合奏。複雑に交錯しあう弦楽器の奏であう美しい響き、これをまさに神奈川フィルの弦で聴ける喜びは大きいですね。

胸が熱くなるような演奏を期待したいところですが、きっと聖響さん、すっきりとしたこだわりの少ない響きを聴かせるのでしょうね。それもまた、シュトラウスの姿であります。

ちなみに、シュトラウスは、同時進行でこの作品の弦楽7重奏版も残しています。 

機会があればそちらもお聴きください。

③交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

1896年、シュトラウス32歳の作品は、その冒頭部分のみがあまりに有名。

冒頭の1分30秒だけでなく、今回は32分ぐらいの全曲ですから、シュトラウスの絢爛豪華なオーケストラ・サウンドを思い切り、耳と体でもって浴びてください。

ニーチェの同名の著に従って構想された曲ですが、その哲学書を表題的に扱ったものではなく、「音楽という手段によって、人類の発展の観念を、その起源からその発展の様相をへて、ニーチェの超人の観念に至るまでを伝える」ことを目的としたというのです。

なんだか、わかるような、よくわからないような話でありますが、このスコアに書かれた引用は次のとおり。

「ツァラトストラは30歳になったとき、故郷と故郷の湖とを捨てて山に入った。ここで彼は、思索と孤独を楽しみ、10年間倦むことがなかった。しかしついに彼の心気は一転し、ある朝、暁光とともに起き出し、太陽にむかって進みたち、次のように太陽に語ったのだ」

こうして始まる「ド~ソ~ド~」の旋律。 「なんじ大いなる天体よ!もし、なんじにして照らすものがなかりせば、なんじの幸福はそもいかに?」 9つの部分に分けることがで、いくつもの主題がちりばめられて壮麗な音のページェントと化すのですが、主要な主題はふたつで、『自然の主題』と『人間の主題』。

自然と人間、端的に、これこそが、ツァラトストラの根本モティーフといえるかもしれません。

ヴァイオリン独奏が大活躍するという点で、このあとの「英雄の生涯」の先取りでもありますし、翌年の「ドン・キホーテ」がチェロとヴィオラの協奏的な作品であることも考えると、大きめの交響詩3作、「ツァラ」「ドンキ」「英雄の生涯」の3作はそれぞれ別な顔を持ちながらも、共通する存在であることもわかります。

そしてやがて、シュトラウスは、オペラの道へと入ってゆくのであります。

石田コンマスの輝くばかりの名技がきっと聴かれることでしょう。

すっかり、当日の演奏内容を日々夢想しているワタクシでございました。

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