ティペット 交響曲第4番 ショルティ指揮
お家で居酒屋。
去年の画像ですがね、このフィッシュ&チップスに、チューハイは、「テスコ」というスーパーで買ったものなんです。
「テスコ」は、イギリスの大手スーパーチェーン。
世界第3位を誇る世界規模に展開するチェーンストアなんです。
何度か書きましたが、唯一の英国訪問は会社員時代の店舗視察でして、イギリスでは「テスコ」、フランスでは「カルフール」や「オーシャン」など。
わたくし、油業界の人間でしたので、欧米、とくにヨーロッパでは、スーパーにガソリンスタンドが普通にあり、スーパーのブランドで、食料品の買い物の一環として、そしてそのスーパーの一品目としてガソリンを購入するという、ワンストップ型店舗コンセプトが定着しており、その様子を視察したのでした。
その経験を持ち帰り、あまたある日本独自の障壁と闘ったのは、もう18年くらい前でしょうか・・・・。
北海道のC社、全国チェーンのD社を中心に実現しました。
その「テスコ」が、8年前、日本に進出したときに、選んだ投資先兼パートナーが、「つるかめ」という、いわば下町風のミニスーパー。
ライバルの「カルフール」は、自社モデルの大型ハイパー・マーケットを日本折衷型にして大都市圏に展開したものの、おフランスの香り薄く、それを期待した日本のマーケットを読み込めず失敗し、イオンに売却して撤退。
アメリカのウォルマートは、弱った西友を買収し、西友ブランドを残し、ウォルマート商法がいまの賢くも財布の紐が固い日本の消費者にマッチして成功。
「テスコ」は、都市型・共働き世代・高年齢者層をターゲットとしつつも、やはり「つるかめ」はチープすぎた。
印象脆弱で、チェーン店としてもボリューム追及に難があったのか、日本市場からの撤退を決定している・・・・。
慎重すぎる展開も結局は実を結ばなかった。
日本の高度なマーケットを過大に恐れすぎたのでしょうか・・・・
かえって、ロープライスとボリュームに徹したウォルマート流が残ったのも、皮肉なもの。
首都圏しかありませんが、撤退するまでに、お近くのテスコに是非行ってみてください。
国産OEMばかりでなく、英国産のテスコブランドの食材が売ってますよ。
ワインや紅茶、スープ、ビスケット、缶づめなど、イギリスの品々がありますので。
今日の英国音楽は、新しめで、サー・マイケル・ティペット(1905~1998)の交響曲第4番。
ティペットの作品を本ブログで取り上げるのは、まだこれで2回目。
最初は、オラトリオ「我らが時代の子」→プレヴィン盤
第二次大戦中、ドイツのユダヤ迫害に怒りを覚えて書いた感動的な作品。
ティペットは、徹底した平和主義者であり、反戦を訴え、良心的兵役忌避者でもあった高潔の人物。
この点で、少し後輩のブリテン(1913~1976)とラップします。
しかも、ともに、あちら系の恋愛嗜好。
まさかお友達だったとは、文献上は見出せません・・・・・。
いずれも心優しく、でも強情なまでに戦争を憎み争いを嫌った。
戦争の火種、とくに第1次大戦や中東紛争を導きだした、かつての大国を母国に、反戦を訴え続けたティペットとブリテンの強き意思と、正しき良心には頭が下がります。
その心が反映された、彼らの音楽は、いまの時代、もっともっと聴かれ評価されるべきです。
ティペットの作品は、4つの交響曲に、各種協奏曲、室内楽全般に器楽曲、オペラ5作品に、声楽曲多数・・・という具合で、多岐にオールマイティです。
自身が指揮者として演奏したので、その点もブリテンに同じ。
長命だったので、自作自演もたくさんあり、亡くなるまで有名楽団からの委嘱作品も受けていたから、90年代は、当時の現存する作曲家としてかなりメジャーな存在だった。
亡くなって2000年代になり、少し忘れられた存在になりつつあるも、さすがシャンドスレーベルが全作品の録音を手掛けつつあり、ヒコックスの後を継ぐ指揮者が求められている状況。
今日の第4交響曲は、1976年シカゴ交響楽団の委嘱によって書かれ、77年にシカゴでサー・ゲオルク・ショルティの指揮によって初演された。
その年、ショルティ&シカゴは、ヨーロッパツアーを行い、ザルツブルクでの2演目演奏会のひとつでお披露目し、大成功を博した。
その時の模様は、77年末NHKFMで放送され、当然にエアチェックしました。
ほかには、展覧会やバルトークだったような記憶がありますが、肝心のテープは消失してしまいました・・・。
ショルティ&シカゴの強力コンビによる、ティペットのクールな交響曲。
休みなく連続する交響詩的な作品は、おおまかに4つ部分に分かれていて、提示部・緩徐・スケルツォ・フィナーレの構成に巧みになっている。
CD解説によりますれば、若き日に人類学博物館で観た細胞が単一から増えていくウサギの細胞の記録映像にインスパイアされたものという。
それは、生の息吹きというべき誕生の概念。
それが持ちまれた交響曲だそうな。
その息吹きを創成するのに、当初はウィンドマシーンを予定したらしいが、このレコーディングでは、実際の人間のふぅ~っという息吹きが使用されていて、やたらと生々しい。
生々しくリアルといえば、ショルティ&シカゴが引き出す、強靱かつシャープな響きで、そこには甘さは一切なく、厳しい造形に、聴く側もただごとじゃなく、背筋を伸ばして受け止めることになる。
ともかくカッコよく毅然とした妥協を許さないこのコンビの音は、ティペットの尖がった音楽の一面を正しく捉えてやまない。
N響で、ノリントンが先ごろ取り上げたらしい。
気になります。
ティペットは、いろんな側面をもった作曲家。
交響曲と、オペラを中心に、また取り上げてみたいと思います。
横浜みなとみらいの高層マンション群の一隅にも「テスコ」はありまして、先日の神奈フィルコンサートのおり仕入れたものもございます。
それもまたいずれ。
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コメント
ティペットはレイチェスター校での「サイアーズ組曲」とか、シェルレイの弾いたコンチェルトとか、Youtubeとかで聴いたことがあるくらいです。
日本語の情報って、いがいに少ないですね。オペラはぜんぜん知らないので、たのしみにています。
投稿: もちだ | 2012年6月 6日 (水) 21時53分
もちださん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございます。
ティペットは多作家ではありませんが、いろんな顔を持った作曲家に思います。
「我らが時代・・」がもちろん素晴らしい曲なのですが、4つの交響曲や、二重協奏曲など、いい作品ばかりです。
オペラは難物でして、ただいま練習中です。
投稿: yokochan | 2012年6月 8日 (金) 00時10分