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2012年6月27日 (水)

ドヴォルザーク 交響曲第9番「新世界から」 アバド指揮

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楽員が去ったあと、ひとり呼び出され喝采に応えるアバド

いまから10年前の、イタリアは、パレルモにおけるヨーロッパコンサートの模様です。

病気から復活後2年、いまだ頬は少しこけてますが、表情にハリがあり、とても元気そう。

10年後の今と、そんなに変わらない姿を、久々に観るこの映像で確認できました。

Abbado_bpo_europa2002

    ベートーヴェン 「エグモント」序曲

    ブラームス   ヴァイオリン協奏曲

             Vn:ギル・シャハム

    ドヴォルザーク  交響曲第9番「新世界から」

    ヴェルディ     歌劇「シチリア島の夕べの祈り」序曲

   クラウディオ・アバド指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

                      (2002.5.1@パレルモ マッシモ劇場)


アバドが創設したベルリンフィルのヨーロッパコンサートは、1991年からスタートし、文字通りベルリンフィルが馴染みの指揮者たちと、ヨーロッパ各都市の、それも由緒ある場所を選択して5月に行う演奏会で、ラトル時代となった今も、毎年行われております。

2002年のこの記録は、アバド時代最後の演奏会。

シチリア島の北部にある街で、このDVDにも、パレルモの紹介映像があって、その美しさにわたしは見とれてしまいました。
ここは、イスラムやノルマン、フランスやスペインの治下や影響下にあった歴史もあり、その文化も独特みたいです。
この映像で出てくる人々も、その風貌はエキゾティックですよ。

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そして、ここマッシモ劇場は、バロック様式のゴージャスな雰囲気。
1997年に復活した劇場で、アバドや小澤さんの弟子、アントン・レックの尽力でもって、イタリア的でない、ユニークな劇場としての存在を確立してます。
レックのCDで、ベルクの「ルル」が出てますが、これがまたなかなかのものです。
ワーグナーゆかりの地でもあり、来シーズンは「リング」上演があるみたいで、その指揮はインキネンです。

この熱き血の流れる南イタリアの聴衆の熱烈なる反応は、昨日のウィーンの聴衆と大違いで、映像で観ていも、思わず目頭が熱くなってしまうくらいに、惜しみない拍手や歓声がアバドに対して向けられておりました。
そんな空気も後押しするかのように、このコンサートは、最初から最後まで、いや最初の「エグモント」からピリピリとした緊張と熱気を孕んでいるのに、そこからどんどん素晴らしく、熱く、そしてオケも聴衆のアバドの指揮と一体になって、「新世界」の終楽章では、もの凄い盛り上がりでもって魅せるのであります。

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シャハムのヴァイオリンは完璧。
汗だくで、楽器がしたたかなまでに濡れてしまうほどの熱中ぶりだが、その音は常に均一で、高感度を保っていて、どんなフレーズにも空虚感はなく、意味合いがこもってる。
技巧の素晴らしさは目にあまるくらいだが、それがメカニカルに感じないのは、音色の美しさも均一だからこそ。
クールで熱いシャハムです。

そしてアバドの「新世界」。

5年前の97年にもライブ録音をしているが、そちらも、柔軟で歌心にあふれたユニークな新世界だった。
そしてこのパレルモ盤は、熱い聴衆を背景にしたライブの感興も手伝って、より自在でのびのびとした解釈となっていて、時に驚くほどのアッチェランドがかかったり、その一方で、しみじみとしてみたり、そして圧巻は、聴き惚れてしまうほどの抒情の雫を感じる「ラルゴ」。
ベルリンの名手たちも、自分たちでお互いに聴き惚れて、うっているのがわかる。
素晴らしい「新世界」です。

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アンコールは、ご当地もののヴェルデイ。
パレルモを舞台にした「シチリアの晩鐘」では、「ああ、パレルモ」というバスのアリアがあまりにも素敵で、アバドはギャウロウと録音もしてます。
そして、この序曲は、ドイツのオーケストラとは思えない、カンタービレ満載の明るくも強靱な歌をベルリンフィルから引き出しております。
天井から聴衆が撒いた色とりどりの花々を、楽員さんたちは、思いおもいに胸や楽器に添えて奏でる、この素晴らしいヴェルディ。

アバドも楽員も、ときに笑みを浮かべながら、そして互いの音色を聴きながら楽しそうに演奏に興じる姿。(某日本人だけ、少し硬いかな・・・)
こんな姿こそ、アバドが、カラヤンのあとスーパーオーケストラにもたらしたものかもしれません。

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いつまでもいつまでも、元気に活躍をして欲しいクラウディオ・アバド。

これまでずっと共にありました。
    

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コメント

遅まきながら、マエストロの誕生日、おめでとうさんです。
でもなぁ、せっかくルツェルンのコンサート、マーラーの第8がアナウンスされていたのに、劇音楽「エグモント」とモツレクですよ。モツレクが本人の・・・なんてことにならなければよいのですが。
(さすがに、あの大曲をわずかな練習期間の間にまとめるのが無理なんでしょうかねぇ)
でも手兵のマーラー室内とモーツァルト・オーケストラをメインで組めばできたろうに-。いくら若々しいとはいえ、来年は80歳。疲労がたまっていないか心配です。

投稿: IANIS | 2012年6月29日 (金) 00時24分

IANIS さん、まいどです。
毎年お祝いしてるけど、確実に歳を経ているわけで、千人・千人と、過剰に期待してしまうのは、酷かもしれませんね。
エグモントは、アレですが、モツレクは、ちょっと期待です。

投稿: yokochan | 2012年6月29日 (金) 21時14分

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