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2012年7月20日 (金)

クラウス・フローリアン・フォークト 「HELDEN」とバイロイト2012

Chiba_sky_air

我が家の上を飛ぶ飛行機。

千葉県在ですが、この航路は成田便じゃないんです。

千葉上空は、羽田へのアプローチとしてかなり頻度が高く、風向きや日によっては、機体の裏っ側がリアルに見えるときもあります。

時に、何本も連続したりして、夜などはUFOみたいに見えちゃいます。

自分が乗ってるときは、いまどこにいるかさっぱり分からず、一度も自宅を確認できたためしがありません。

そして、東の方へ少し車をはしらせると、今度は成田の国際線が、それこそラッシュのように飛び交うのも見えちゃいます。

千葉県上空は、飛行機銀座なんですよ。

Klaus_florian_vogt

  クラウス・フローリアン・フォークト 「HELDEN」

      ドイツオペラ アリア集

   ペーター・シュナイダー指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団

      S:マヌエラ・ウール(コルンゴルト)

              (2011.7.8 @ベルリン・ドイツ・オペラ ライブ)


  1.ウェーバー 「魔弾の射手」〜「森を抜け森へ」

  2.ワーグナー 「ワルキューレ」〜「冬の嵐も去り」

  3.ワーグナー 「ローエングリン」〜3幕への前奏曲

  4.       〃           「遥かな国」

  5.ワーグナー 「ニュルンベルクのマイスタージンガー」 3幕への前奏曲

  6.       〃           「朝はばら色に輝き」

  7.モーツァルト 「魔笛」〜「なんと美しい絵姿」

  8.ロルツィング 「皇帝の船大工」〜「さらばフランドルの娘よ」

  9.ウェーバー  「オベロン」序曲

 10.       〃           「あらたな希望と喜びが」

 11.フロトー    「マルタ」〜「ああ、あんなに汚れなく、真剣に」

 12.コルンゴルト 「死の都」〜マリエッタとパウルの二重唱


6月の新国立劇場の「ローエングリン」に登場したフォークトは、いま、人気・実力で、カウフマンとボータに並ぶ、ワーグナーを歌えるテノール。
劇場に行けなかったのは、自分での自粛以上に、自己管理能力のなさで、最近はそんなことばっかりなので、劇場に行かない自分に慣れてしまった感あります・・・・(涙)。

その新国公演は、大成功だった様子で、演出も歌手も、シュナイダー指揮するオケも実によかったとの音楽仲間からのご報告も頂戴しておりました。

一方で、フォークトの声に戸惑った方もいらっしゃった様子です。

繊細で華奢なそのテノールの歌声は、初めて聴くと、頼りなく、力強い声で劇場を圧するというイメージから遠いので、??ってことになったかもしれません。
かくいうわたくしも、バイロイトデビューの「マイスタージンガー」の初年の放送を聴いて、辛辣なことを書いてしまいました。
その後、マイスタージンガーは場数を踏んで、その美声に磨きがかかり、意外なまでの豊かな声量も、放送から聞き取ることができ、フォークトならではのオリジナルな歌唱が、誰にも真似し得ないユニークなもの、と前向きに受け止めることができるよになりました。
2011年から引き継いだ、「ローエングリン」も、カウフマンとまったく異なる神々しさも兼ね備えた歌唱で、とても気に入った。

白痴美的な美声と、それをコントロールできる知性に裏付けられた頭脳的な歌唱。
こんなテノールはいままでいなかったかもしれない。

でも、それゆえに、曲によっては、まったく受け入れがたい歌になってしまうこともありうる。
これで、モーツァルトはキツイし、ワーグナーでも、ここで歌われているジークムントは能天気にすぎ、悲劇性ゼロ。
ゆえにハマれば、それこそ個性的な魅惑の歌唱となるわけです。

このCDでは、その両面が味わえるような感じで、ワルターは磨きぬかれた美しくも有終の美を飾るかのような完結感さえも漂わせる名唱。
有名な「マルタ」も、女子ならすぐに落ちてしまいそうなラブソングになってます。
そして、なによりも素晴らしかったのが、わたしの大好きなコルンゴルト。
ナチスに退廃芸術のレッテルを貼られたコルンゴルトであるが、音楽が退廃じゃなくて、ユダヤの出自だからなのでありますが、ここに聴く、このあまりに甘味で夢想的な音楽は、フォークトによって歌われると、退廃的なムードすら漂う、いけない音楽に聴こえちゃう。
彼の歌う全曲盤を早く聴かなくては・・・・・。

Vogt

  ホルン奏者から歌手への転身!

タイトルの「HELDEN」とはかけ離れた声でもあり、なによりも、歌われている役柄がそのそもヘルデンじゃぁない。
どうも、このレーベルは、オペラに関して、いつも半端なく的が外れている気がしてならない。もったいないことだ。

フォークトの歌には、100%賛同できないところもありますが、シュナイダーのオペラのツボを確実に押さえた雰囲気ありすぎの指揮は、余人をもって代え難いものがあります。
今回はライブとのことで、序曲や前奏曲も含まれてまして、シュナイダーのこうした伴奏CDは、たくさん出てますので、それらからオケだけの曲を抜き出したら、とんでもなく素晴らしいCDが出来上がるような気がします。というか確信してます。

Bayreutherfestspiele


27日に「オランダ人」の新演出で幕開きするバイロイト。

演出は、グローガーという若い人。なんにも予備知識ありません。
きっとまた・・・という予感のみです。
指揮は、ティーレマンだから安全。
歌手は、ゲルギー門下のニキティンのオランダ人とピエチョンカのゼンタ。
ゲルギーのバイロイト登場も遠くないと少しばかり嫌な予感のオランダ人。

あとは、おなじみシュナイダー指揮のロングランの「トリスタン」。
フォークトとダッシュのねずみ「ローエングリン」は、テルラムントに新国でおなじみのマイヤーのバイロイトデビュー。
去年ブーの嵐のバイオハザード「タンホイザー」は、ヘンゲルブロックが降りて、ここでもティーレマン。ちょっと新味がないが、タイトルロールにトルステン・ケルルがやってくる!
ヘアハイムの「パルシファル」は、ガッティからジョルダンに指揮が変わり、ラテン系の指揮者同士での橋渡し。
そして、今年は、いままで謎だったこのパルシファル演出が、テレビ放送されます!!
8月26日深夜にNHKです。

ネット放送でもライブが楽しめる、リアルタイムのバイロイト。
日本でもワグネリアンの夏の風物詩となりつつあります。
暮れのFM放送も、見直しされる可能性大・・、でもそれは極めて寂しいこと。

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コメント

こんにちは
フォークトのCD、そうですね。「ヘルデン」と言われてもちょっと困っちゃいます。

>なによりも素晴らしかったのが、
私もこれが一番しっくりと魅力的に聞こえました。

投稿: edc | 2012年7月21日 (土) 14時46分

euridiceさん、こんにちは。
さすが、もう早くにこのCDお聴きになってらっしゃたんですね。

ほんと、困りますよね、ヘルデンのタイトル。

オケが極めてドイツ的で、歌が無国籍・無人格なところがユニークでした。

投稿: yokochan | 2012年7月22日 (日) 01時23分

>8月26日深夜にNHK
ありがとうございます。忘れないようにしなくちゃ・・です。

>ニキティンのオランダ人
配役変更だそうです。
ニキティンって裏表、指の先まで全身刺青男なんだそうですけど、上書き?して消してたカギジュウジがすっぱ抜かれて、バイロイトが開幕直前になっておろしたのだそうです。

投稿: edc | 2012年7月22日 (日) 16時22分

euridiceさん、こちらこそ新情報ありがとうございます。
そうですか、鉤十字はバイロイトにはマズイですね。
いまだに引きずる過去が、話題になりそうな事件です。

それにしても開幕直前に、当事者たちはさぞ大変でしょうね。

NHKの放送は、わたしは、オンデマンドで楽しむこととします。

投稿: yokochan | 2012年7月22日 (日) 21時07分

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とりあえず輸入盤です。国内盤の発売はあるでしょうか。たぶん初のアリア集でしょう。 第一印象:力強さ、迫力が感じられないせいでしょうか。張りがないというか、芯がないというのか、なんというか宙ぶらりんな感じというか、少々落ち着かない気分になるところがあります。どの歌も淡白でふわっとした優しげな声でさらっと歌われて、ストンと終わります。 中では「ローエングリン」の♪はるかな国に♪名乗りの歌が心地よく聴けました。他のワーグナーも物足りないといえば物足りない、つまり迫ってきて心をゆさぶられる、そういう歌では... [続きを読む]

受信: 2012年7月21日 (土) 14時50分

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