カタラーニ 「ラ・ワリー」 クレーヴァ指揮
馬刺しのタタキ、そして、辛子れんこん。
ひと月前の熊本・天草出張の帰り、スーパーで購入して、一緒に飛行機で帰ってきたおつまみです。
ちょうど一か月前も、かなりの雨でして、ワイパーをかけても前方が見にくい状況。
そして、九州を中心とした大雨。
まだ進行中で、はなはだ恐縮ですし、ご被害にあわれた方々には、お悔やみもうしあげます次第でございます。
梅雨の末期には、しっかりと雨量を刻むものですが、それにしても、ここ数年の異常気象には打つ手がないのでしょうか。
ここにも、「くまもん」が。
馬抱えてますよ。
熊本産の商品には、必ず「くまもん」。
こんな風な、キャラクターの使い方は、大いに見習わなくてはなりません。
日本の商品には、絶対真似の出来ない何かを刻印することってできないんですかねぇ。
「ちょんまげ」とか、「文金高島田」とかでも。
ところで、このタタキ、ワンパック、298円です!!!
味はもう、抜群でして、いくらでもいけちゃう。
熊本のスーパーでは、馬コーナーが必ずあります。
なかでも、熊本のチェーン・旧ニコニコドーを買収したイズミの「ゆめタウン」には、精肉コーナーに、牛・豚・鳥・馬と独立コーナーがありまして、バラエティ豊かな「馬」食材がふんだんに揃っているのでございます。
あらいかん、休日は、オペラですな。
カタラーニ 「ラ・ワリー」
ワリー :レナータ・テバルディ シュトロミンガー:フスティーノ・ディアス
ゲルナー:ピエロ・カプッチルリ ハーゲンバッハ:マリオ・デル・モナコ
ワルター:リディア・マリンピエトリ アフラ:ステファニア・マラグ
老兵士:アルフレート・マリオッティ
ファウスト・クレヴァ指揮 モンテ・カルロ国立歌劇場管弦楽団
トリノ・リリコ合唱団
(1968.6 モンテカルロ)
アルフレード・カタラーニ(1854~1893)は、イタリアのルッカ生まれのオペラ作曲家。
当地の音楽一家の生まれで、4年後に生まれたプッチーニと同郷でかつ、ともに音楽一家筋出身ということで、なにかとライバル心を抱くようになったといいます。
ミラノで、アントニオ・バッジーニに学び、オペラの道を志し、当時イタリアを席巻しはじめていたヴェリスモでなく、伝統的な作風を選び、39年という短い生涯に、オペラ6作品と数曲の管弦楽作品を残している。
その生年から、同時代のイタリアを見てみると。
・ポンキエッリ(1834~1886)
・ボイート(1842~1918)
・カタラーニ(1854~1893)
・レオンカヴァルロ(1857~1919)
・プッチーニ(1858~1924)
・フランケッティ(1860~1942)
・マスカーニ(1863~1945)
・チレーア(1866~1950)
・ジョルダーノ(1867~1948)
・モンテメッツィ(1875~1952)
・アルファーノ(1875~1954)
その存在は、レオンカヴァッロやマスカーニ、そしてジョルダーノらの一部のオペラに聴かれる煽情的な激しい音楽ではなく、チレーアや後年のマスカーニのような抒情派といっていいかもしれない。
ヴェルディ後のこれらの作曲家の中では、なんといってもプッチーニの存在がダントツであるわけだが、カタラーニがもう少し長生きしていたら、プッチーニと刺激しあう大きな存在となっていたかもしれません。
そして、カタラーニといえば、このオペラしかないというくらいの存在が、本日の「ラ・ワリー」。
ウィルヘルミネ・フォン・ヒッレルンの「禿鷹のワリー」を原作に、ルイージ・イルリカが台本を作成、1892年、ミラノで初演され大成功を収めております。
スイスの山村のいがみ合う家同士の、若い男女。
最後は二人死んでしまう。
「ロメオとジュリエット」や「村のロメオとジュリエット」を想起させるドラマのオペラ。
カタラーニを大いに評価したトスカニーニは、このオペラも愛し、子供たちに、「ワリー」と「ワルター」の名前を付けたことも有名です。
1800年頃、チロル地方
第1幕
地主のシュトロミンガーの誕生日。ホッホシュトッフ村の人々も踊りや歌に興じ、お祝い中。シュトロミンガーは、執事のゲルナーの射撃の腕前を誉めて悪からず思っている。
少年ワルターは、雪山で乙女が霊に会い雪崩に巻き込まれてしまった伝説をチターを弾きながら歌う。
やがて、敵対するソルデンの狩人たちが若い狩猟の名手ハーゲンバッハを中心にやってきて、その彼は、熊狩りを自慢たらたら話すので、その彼の父親の代からの因縁のある地主は面白くない。そして、ついにふたりは言い争いを始める。
ここに地主の娘ワリーがやってきて、騒然とした雰囲気を一蹴し、ハーゲンバッハは高慢ながらも、その美しい眼差しが気になり、ワリーも彼をひと目で憎からず思うようになる。
一同が去ったあと、地主シュトロミンガーはゲルナーからワリーがいま若い狩人を愛するようになったことを聞き、ならばと、ゲルナーとワリーを結婚させようとする。
それを聞き、ワリーは絶対イヤと言い張り、ゲルナーなんて嫌いというので、父親はかってにしろ、出ていけと追放してしまう・・・。
ワリーは、有名なアリア「さようなら住み慣れた我が家」を歌い、ワルターをお供に、去ってゆく。
第2幕
1年後のソルデン村の広場。
祭の日で、もう地主は亡く、人々は、ワリーがきっと帰ってくると話し、ハーゲンバッハは、あの高慢な女と踊ってやると賭けをするといい、居酒屋の女主人アフラも愛をバカにするのは止めなさいとたしなめる。
そこへワリーが着飾ってやってくるが、目ざとくゲルナーが見つけ、いいより、ハーゲンバッハは、アフラと結婚するんだとうそぶく。
嫉妬に狂ったワリーは、女店主を侮辱する行為をしてしまい、これを見たハーゲンバッハは、彼女に復讐してやると約束してしまう。
ワルツの音楽に乗り、踊りだす二人に人々は注目。
期せずして甘い雰囲気になってしまった二人、ワリーも唇を許してしまう。
ところが、周囲は、やったぁ、復讐だとほくそ笑み、当のハーゲンバッハは戸惑うのみ。
これを聞き、ショックを受けたワリーは、ゲルナーに「私を愛しているなら、彼を殺して!」と言ってしまう。
第3幕
祭の日の夜。
悲しみにくれるワリーをワルターが送って帰ってくる。
一方、ゲルナーは、谷の上で、ハーゲンバッハを待ち伏せする。
ワリーは、彼を殺してと言ってしまったことを後悔し、明日になったらやめさせようと床に就こうとするが、その矢先、ハーゲンバッハがワリーに許しを乞おうとやってくるが、ゲルナーに見つかり、谷に突き落とされてしまう。
悲鳴に飛びだしてきたワリーに、ゲルナーは、奴をやったと話し、姿をくらます。
谷底から虫の息を確認したワリーは村人を起こし、自ら縄を巻いて降りて行き、人々はワリーの勇気を讃える。
まだ生きていたハーゲンバッハを救いだし、彼に口づけをし、奪われたものを帰したと言い、そこに来たアウラに、神様があなたに彼を帰したと言い自らは身を引き立ち去る。
村人たちは、この高貴な行いを称賛する。
第4幕
ムルツォルの山の上。
ワリーはこの山上の小屋に住んでいる。
もうすぐクリスマス、ワルターが、もうこのあたりは危ないから一緒に山を降りようと誘いにくる。
しかし、ワリーは、首にしていた真珠の首飾りを彼に渡し、もう家族もいないし、帰る気はないと残ることに、そしてヨーデルを歌って帰ってね、と頼む。
そこにやがて、ワリーの名を呼ぶ声が遠くから近づいてくる。
ワリーは、山の精がお迎えにきたのかと思うが、それはハーゲンバッハの姿であった。
彼は、これまでのことを悔い、情熱的にワリーへの愛を告白し、結婚を申し出る。
ワリーは、彼を殺めようとしたことなどを告げるが、ハーゲンバッハはそれでも愛すと熱く語りついに二人は抱擁しあう。周囲は合唱によって怪しい雲行きを感じさせるようになる。
帰り道をちょっと確認にいったハーゲンバッハであるが、急な雪崩が巻き起こって飲まれてしまう・・・・・。
ワリーは、雪よ、純白の運命よ、わたしはハーゲンバッハの花嫁!と叫んで、彼が消えた雪壁へと身を踊らせる・・・・・・・。
幕
急な展開と、唐突な幕切れ。
各人物の描写が極端で、却って各人の性格が掴みがたいのも事実。
前半は、緊迫感が不足し、アンサンブルも冗長に感じた。
こんな風なイメージを、初めて聴いて以来ずっと思っていた。
今回、数十年ぶりにCDを買い直して聴いてみて、後半のふたつの幕は、スリルと情熱に満ちていて、美しく甘い旋律もふんだん。
終わってみれば、なかなかに聴かせどころも多くて、魅力あるオペラに感じました。
素材が独語圏スイスなので、ドイツ的な雰囲気も音楽からは感じ取れるところもあります。
この辺は、カタラーニのほかの比較的有名な「ローレライ」などでも確認できそうです。
ほかの作品も聴いてみたいカタラーニさんなのです。
各幕に、いいソロがたくさん。
例のワリーの超有名なアリアをはじめ、ワリーには歌いどころがたくさん。
ワルターの民族色豊かなソロはピチカートをバックに雰囲気がとてもよく愛らしい。
ゲルナーの心情が、上司の娘へのジェントルな愛から、憎しみ混じったくらいの激しい愛へと変貌してゆくさまも、各幕にあるこのバリトン役のソロにあふれてます。
同じく、ハーゲンバッハも、当初の荒々しさから、本当の愛の情熱に変わってゆく心情が4つの幕を通じて描かれてます。
でもそれがちょっと唐突に感じるんだなぁ。
肝心のワリーですが、この女性も複雑な存在。
高慢でありながら、性格も一途で思い込みも激しく、だから高貴な行いも、命を張った行いもできちゃう。
ソプラノの役柄としては、いろんな要素が要求されて難しいと思うけれど、もう全盛期を過ぎていた、そして、この頃はメゾの音域にあったかもしれないテバルディの味わい深い歌の巧さを聴くにつけ、歌の風格といったものを強く感じます。
同様に、デル・モナコの剛毅でスピントする声には、シビれます。
融通効かない感じがとても似合っているし。
それと若いカプッチルリのゴージャスなバリトン声。
久々の耳の洗濯みたいでしたよ。
モンテ・カルロ公国での初オペラ録音といわれるこの全曲盤。
貴重な存在といっていいかもです。
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コメント
ありがとうございます。ワリー、大好きです。愚かな私はこのモナコ盤しか聞いたことがありません。それで大満足です^^
このころのモナコ将軍もテバルディー令嬢も活動の晩年に入っているため、おそらく「イタリアのオケじゃいや!」とか「リゾート地のモナコでだったら録音してもいいわよ」くらいのことを言ったのかもしれないなー、とか勝手に想像しています。
カプッチルリ!若いですね。威勢がよくて楽しいバリトン時代です。同じくタリアビーニやカラスと一緒のランメルモールのルチアでも若手カプッチルリの録音があります。けっこう昔から売れっ子だったんですね。
CDも持っていますが、私は擦り切れてきているLPで繰り返し楽しんでいます。モナコ命です!
投稿: モナコ命 | 2012年7月17日 (火) 11時22分
モナコ命さん、こんばんは。
ご本家のご登場お待ち申し上げておりました。
久々に聴いたワリー。
とてもよかったです。
それもこれも主役3人の声の魅力でもありました。
こんなすごい声、個性的な声は、もうこの世の中にはありませんね。
あの頃はすごい時代でした。時代の証しみたいな音源。
このワリーのような作品をも愛するモナコ命さんってすごいですよ!
レコードだと3枚組のロングでしたね。
一度映像でもいいので、このオペラ観てみたいです。
スイスの風景や雪崩をどう描くか・・・・。
投稿: yokochan | 2012年7月17日 (火) 20時48分