R=コルサコフ 「シェエラザード」 小澤征爾指揮
東京湾をゆく内航タンカー。
このクラスは小型船でしょうが、房総の外海あたり、館山沖あたりで見ると、もっと大きな船がたくさん見えます。
遠い船を眺めるのも海の楽しみです。
若き小澤さん。
R=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」
小澤征爾 指揮 シカゴ交響楽団
(1969年 シカゴ)
ボストン交響楽団
(1977年 ボストン)
小沢征爾の「シェエラザード」は、アメリカのこれらの録音と、93年のウィーンフィル録音があります。
後者のウィーン録音は実は未聴でして、ウィーンフィルのシェエラザードは、プレヴィンのものが先に出てて、同じフィリップス録音だし、二番煎じのような気がして、ウィーンフィルはプレヴィンでいいや、ということでまったく範疇外でした。
正直、聴いてみたいんですけど・・・・・。
体調を崩された小澤さんですが、そうなる前でも、ここ10年くらいは、オペラや声楽曲を除いて、このようなグラマラスなオーケストラ作品は振らなくなってしまったように思います。
古典系と、シンフォニー、オペラに内面的に充実した声楽作品などばかりのここ数年。
小澤さんは、日本フィルの時代から、私がクラシックを聞きだしたころからのお付き合いで、ずっと今日まで着かず離れずの存在でした。
最初は長髪に、ヒッピー(当時の)みたいなカジュアルな出で立ちに、少しばかりけしからん的な思いを抱いておりましたが、サンフランシスコ響との凱旋公演をテレビで観て、そのカッコよさと、オケと聴衆を虜にしてしまう指揮ぶりと音楽性に一挙に引き込まれてしまいました。
それ以来、第9を聴き、新日フィルの定期会員になりで、数々のライブを聴いてきました。
颯爽とした、そして我々日本人代表みたいな切込隊長としての姿を第一イメージとしていたものですから、小澤さんの演奏は、ダイナミックでリズミカルで華麗なもの・・・・的な、ものとして捉えてしまっておりました。
メジャーレーベルから続々と出る録音も、そんな曲ばかりが選択されたいたからよけいです。
でも、そのイメージは認めつつも、実はほんの一面だったのでありまして、先週末から久しぶりに何度も繰り返し聴いている、ふたつの「シェエラザード」に、小澤さんの繊細かつ、しなやかな音楽造りを認めて、過去音源の見直しを図らねばとの思いにとらわれているのですよ。
まずは、EMIへのデビュー盤のひとつ(あとオケコン)、シカゴとのもの。
画像は、70年のステレオ芸術のレコード広告。
43年前とは、そしていつも薄っぺらいEMI録音とは思えない芯のある響きを捉えた音のよさに驚く。
天下のシカゴを、物怖じせず、十分にコントロールしつつ、決して突っ走ることのない落ち着いた演奏。このオケを得たなら、もっとゴンゴン・ガンガンやりたくなるところを、叙情的な部分を大事に大事に扱いながら、それらを引き立たせるような劇的部分の取り扱いで、そのダイナミックな箇所も潔くて心地よい。
変な例えですがね、洗濯あとの真っ白いシャツみたいな気持ちのよさなんだな。
ボストンの指揮者になってからは、DGとフィリップスへの録音。
サンフランシスコ以上の名門の指揮者になってしまった小澤さんは、当時の僕たち(中高生)の憧れと希望の的。
小澤イコール=ボストンでした。
そんな思いで、このコンビの演奏をたくさん聴きました。
ボストンのホールの響きのよさをしっかり掴んだヨーロピアントーンのDGとPHの録音はいずれも素晴らしい。
シカゴや少ないけれど、ニューヨークとの録音と異なるのはボストンとの、予定調和的な同質化。
それはそれで素晴らしくて、生き生きとした表情やキレのよいリズム、そして持ち前の繊細な歌いまわしなど、小澤さんならでは。
このシェエラザードも実にうまくて、表情も豊かで、味わいも増してます。
アメリカのセレブや上層階級とのお付き合いも増して、洗いたての白いシャツから、ストライプのシャツに着替えたような小澤さん。
いろいろありそうな感じがしたりしますが、これは邪推でしょうか。
同時期にヨーロッパでの活動も力が入っていった小澤さんです。
とりとめつかなくなりましたが、どちらも、小澤さんの刻印がしっかり刻まれた「シェエラザード」です。
こうして、ますますウィーンの演奏が気になりつけまつる。
しっかし、「シェエラザード」ってよくできてるし、つくづくいい音楽だな。
夏にピッタリだし、夜に一杯傾けながら、あれこれ夢想しながら聴くのって楽しい。
石田コンマス+神奈川フィルで聴きたいぞ。
も一度、現田さん。
もしくは、ゲッツェルでどーでしょうかねぇ。
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コメント
シェラザード!ようこそ取り上げてくれました。
不幸な少年時代をすごした私はこの曲も吹奏楽で聴いたのが初めてだったのです^^;さらに追い討ちを掛けるようにこの曲でコンクールに出場したりしたのです。悔やんでも悔やみきれません。
小沢のシェラザードかー^^ボストンですね。好きです!
ウィーンフィルとやるんですか?聴きたい!
私が最初にすごいよ!と思ったのはライナー&シカゴです。理由はいつものように廉価盤だったからです。
一回すりこまれるとその演奏ってスタンダードになってしまいます。私の場合はこのライナー盤。
豊島十中の4楽章、よかったなー。。。あ!いかんいかん!また吹奏楽時代のすりこみが。。。
投稿: モナコ命 | 2012年7月19日 (木) 08時31分
モナコ命さん、こんばんは。
シェエラザードはほんまエエ曲ですね。
あるとき、無性に聴きたくなります。
この曲を吹奏楽とはいえ、演奏されたことは素晴らしいじゃありませぬか!
ヴァイオリンソロは、クラリネットなんすかね?
想像すると少しワクワクします。
今回、ふたつ交互に聴いて、ボストンが絶対だったのに、シカゴもなかなかいいと発見でした。
ウィーンは、もう10年以上前ですが、どうでしょうか。
そしてライナー・シカゴが刷り込みなんですね。
わたしは、実はバーンスタインとメータ(ロス)とロストロあたりをほぼ同時にすり込んで、今日に至ってます。
思えば、ストコフスキーやカラヤンやアンセルメじゃなかったのが幸いかもです。
思い出は大事にしましょう!
投稿: yokochan | 2012年7月19日 (木) 22時37分