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2012年7月 1日 (日)

ドビュッシー 「聖セバスティアンの殉教」 モントゥー指揮

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海の向こうに教会。

対岸から臨むと、静かな入り江に浮かぶように立つ尖塔がとても美しく、凛々しい。

こちらは、天草下島にある「津崎天主堂」。

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ゴシック様式の渋い教会。

近所の家々と、しっとりと溶け合ってます。

前回の大江天主堂から車で20分くらいの距離。

あちらは山村の教会、こちらは魚村の教会。

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こちらにもルルドの泉が。

泉は、こちらはイコール、鯉の泳ぐ池のようなもので、ユニーク。

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教会から見た町並み。左手はすぐに漁港。

雨じゃなければ、必ず猫がいるんだろうな。

1569年に、この教会の礎は遡り、迫害の苦難を経て、いまに至るまで、地元の方々の信仰の館となっているのでございます。

内部は、こちらも撮影禁止でしたので、ここには載せませんが、驚くことに、その床は畳敷きなんです。
身廊と美しいアーチを描く天蓋。素晴らしい教会建築に思いました。

Tsuzaki2

いつかまた行きたい、天草へ。

Debussy_monteux

 ドビュッシー 交響的断章「聖セバスティアンの殉教」

      ピエール・モントゥー指揮 ロンドン交響楽団

                 (1963.5 @ロンドン)


1911年、先の「映像」と同じころに作曲された、神秘劇「セバスティアンの殉教」は、長大な5幕からなる劇への付随音楽。
台本がやたら長かったり、幕割りが打ち合わせ通りでなかったり、そして何よりも時間がなかったりで、苦心の作曲は、弟子のカプレの力を得てのものだった。
ナレーションや独唱、合唱を含むが、その音楽部分だけを抜き出した1時間の神秘劇もCDはそこそこ出てます。

あと手が届きやすいのが、オーケストラだけによる断章で4つの場面からなります。

 1.「ゆりの園」

 2.「法悦の舞曲と第1幕の終曲」

 3.「受難」

 4.「良き羊飼いキリスト」


3世紀ローマ、ディオクレティアヌス帝のもと親衛隊長にあったセバスティアンは、当時、異教にあったローマ帝国のキリスト教迫害にさらされたキリスト教徒を助け、励まし、やがて奇跡も行うようになった。
ついにディオクレティアヌスの怒りに触れ、処刑される・・・・。
死ななかったことなどが、数々の伝説的な逸話となって残り、守護聖人として祀られるようにもなったセバスティアンです。

「聖衣」というリチャード・バートンの映画がありまして、そちらは、キリストの処刑に立ち会ったローマの護民官が、イエスの聖衣やキリスト教徒の奴隷などよりキリスト教の目覚め、皇帝に立ち向かい、自ら殉死を選ぶというものでした。

このように自らは死を選ばずとも、信仰のための死を決して恐れないキリスト教徒たち。

どこか官能の響きすら感じさせるドビュッシーのこの音楽は、繊細さと神秘感あふれる美しいもの。
低音のうねりも、独特のものを感じ、それらと聖なる高域などの対比も、脱ワーグナーの中にも、パルシファルを感じてしまった私です。

そして、今回のドビュッシーも「ど定番」にて、モントゥーの指揮で。
前回のクリュイタンスと同じく63年の録音ながら、このフィリップス録音は、音に芯があって、そして独特のウォームトーンで素晴らしい。
モントゥーの暖かみある音楽とロンドン響の爽やかな音色がとてもマッチして感じる。
最後の後光さすような響きはとても感動的です。

Tsuzaki

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