バックス 「夏の音楽」 トムソン指揮
北海道と長野は、その緑が北国のそれであるように思います。
白樺や針葉樹が多いのもそうだし。
冬季オリンピッックを開催したのも両地。
英国音楽や北欧の音楽を聴くときに、日本で思い起こす景色も北海道に長野。
バックス 交響詩「夏の音楽」
ブライデン・トムソン指揮 アルスター管弦楽団
(1982.6 @ベルファスト)
アーノルド・バックス(1883〜1953)は、英国作曲家のなかでも大好きなひとり。
生粋のロンドンっ子にありながら、ケルトの文化に魅せられ、アイルランドやスコットランド、北イングランドの地を愛し、まさにアイルランドに没している。
7つの交響曲、いくつもの交響詩や管弦楽作品、ピアノと管弦楽の作品、室内楽、器楽、声楽曲など、広範に作曲しているが、その音楽は幻想的で、ロマンティックでかつ、ミステリアスな雰囲気にあふれていて、最初はとっつきが悪いものの、ひとたびハマれば、そのどれもが北国の風物の魅力を感じさせるようで、愛せずにはいられなくなるんです。
同時代のV・ウィリアムズよりは保守的て、その少し曖昧なタッチは、ディーリアスにも近くて、一方でダイナミックなシャープさも持ち合わせていて、ブリッジやバントックのようでもあります。
今回のCDを取り上げるのは2回目ではありますが、4曲収められた素敵な音詩のなかから、今聴くに相応しい「夏の音楽」をピックアップしてみました。
10分あまりの小さな作品で、オーケストラの規模もそんなに大きくありません。
出だしからホルンの詩的な歌と、それに続くコールアングレの音色を受けて弦が、どこか懐かしい雰囲気で曲は始まり、金管はトランペットだけという、大きな音をたてないオーケストラによって静かに音楽は進みます。
暑く風のない6月の南イングランドの木々茂る場所の情景。
一服の音による絵画のようであります。
前の記事でも書きましたが、ディーリアスの「夏の庭園にて」と対をなすようなバックスの音詩にございました。
1920年、ビーチャムに捧げられた作品です。
バックスのスペシャリストともいってよかった、B・トムソンのダンディな指揮で。
過去記事→バックス 交響詩集1
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コメント
お久しぶりです。
フレッツ光からau光ギガの回線変更トラブルで1ヶ月近くネットの世界から遠ざかっていました。
今日ようやく開通。
当然、イギリスはロンドンのオリンピック開催でyokochanさんのブログもイギリス真っ盛りでしたね。バックスの音楽も集めだしたらきりがないです。ドーヴァー海峡を渡ったブルターニュのロパルツとバックス、何か似ているなぁと感じるのですが、如何?
投稿: IANIS | 2012年7月27日 (金) 21時57分
IANISさん、こんばんは。
ご無沙汰でしたので、ちょっと心配してました。
ロンドンとバイロイトとで、この夏は忙しいです。
そしてバックスのケルトは、ブリュターニュ地域でも味わえる文化ですからして、アイアランドや、ご指摘のロパルツにもつながるものだと思います。
ロパルツのオペラは、ドビュッシーとディーリアスとバックスとセブラックみたいな感じですね。
記事準備中です。
投稿: yokochan | 2012年7月28日 (土) 00時06分
おはようございます、よこちゃん様。
いよいよロンドンオリンピックの始まりです。
よこちゃんのイギリス熱あがってますか?
ご紹介の作曲家さん、勉強不足で申し訳ない。聞いた事がありません。
ケルト音楽というと「エンヤ」で知ったくらいです。
よこちゃんのご推薦のこの曲聞いてみたくなりました。
なかなか店頭で見つけるのは難しそうですかね。お取り寄せかな?
投稿: ONE ON ONE | 2012年7月28日 (土) 03時27分
ONE ON ONEさん、おはようございます。
実は、オリンピックそのものには、あんまり気持ちが熱くなってません。これからジワジワかもです。
この際だからと、英国音楽を続けてみた次第でして、以前も現在も、英国音楽を愛する気持ちは変わってません。
島国ということは、我が邦と同じように独自の文化を守ることになるんですね。
縦に長い国ですからよけいにそうです。
ご案内のCDは、オリジナルの形では廃盤ですが、組み換えで出てますのと、ナクソスからも別の演奏で出ているようです。
HMVのサイトで確認できますよ。
投稿: yokochan | 2012年7月28日 (土) 10時58分