「バイロイト音楽祭2012」 勝手に部分総括
まだまだ暑いけれども、晩夏はどこか寂しいものがあります。
バイロイト音楽祭も、28日でもって千秋楽を迎えます。
かつては例年、舞台の様子も不明で、話題を呼んだ新演出などは新聞や音楽誌で知り、年末のFM放送で音楽を知るというパターンだった。
ところがここ数年、ネット環境の大幅なる進化によりまして、開幕のほぼリアルタイムで舞台も音楽も味わうことができるようになりました。
加えて、テレビでも放送が、オンデマンドでも視聴ができるという夢のようなことも可能になった今。
でも、年末やイースター(パルシファル)の思い出深い風物詩だったエアチェックのスリルと楽しみは、遠い過去のようになってしまった・・・・。
しかし、またそれも復活せざるを得ないのが、高音質ネット配信を牽引してきた、ハンガリーのバルトークラジオの音質劣化と、ストリーミング期間の大幅短縮。
これは困ったもので、実は油断してたら、今年の演目の半分は聴き逃してしまった。
「さまよえるオランダ人」・・・・・既報のとおり。
録音して数回聴いたが、やはりティーレマンの重厚なオケは凄いけど、あの舞台写真が脳裏にあるからそれとのバランスが・・・・・。
ユンとピエチョンカは、とてもいいと思います。
「トリスタンとイゾルデ」
今年聴けたなかで、一番よかったかも。
去年で終りかと思ったら、リングなしのため、異例のロングラン。
大植英次のプリミエが大昔のことに思える。
シュナイダーの指揮の安定感が圧倒的で、分厚いオケからワーグナーのうねりが聴かれる。スミスのトリスタンも年々、力強さと歌の味わいが増してきた。
テオリン様も相変わらず威力ある声だが、少し揺れが気になりましたが、それは贅沢な注文。
ブリートとラシライネンのブランゲーネ、クルヴェナールもいい。
「タンホイザー」
タンホイザー、カーテンコールのティーレマン。
ヘンゲルブロックが、降りてしまい、ここでもティーレマン。
ティーレマンのタンホイザーは前回アルローのプロダクションでも登場済みだが、パウゼを多用し、劇的で堂々たる内容は、今回も同じ。
それ自体は立派なワーグナーだけど、これまた変な演出の画像が脳裏にあるから、ちょっとそぐわないような・・・・。
ヘンゲルブロックの透明感と躍動感あるワーグナーの方が、新鮮だったな。
来年のタンホイザーは、ティーレマンの名前が入ってないから誰だろう。
あと交代は、トルステン・ケルルのタンホイザー。
破滅的なところも持ち合わせつつ、クールな歌唱で私の好きなテノールです。
そのイメージ通りの素晴らしいタンホイザーだったと思います。とりわけ、ローマ語りは見事に決まった。
ニールント、グロイスベルク、ナジィいずれもバッチリの歌手陣。
そのバイオハザートっぽいと想像するその舞台は、おそらく来年あたりビデオ収録されるのでは。
「ローエングリン」
ピンクのねずみ、カーテンコールの歌手たち。
お騒がせ、ノイエンフェルスも真ん中に。
音楽面では、充実期を迎えるローエングリンだけど、無念なことに、2幕途中までしか聴いてません。
油断してたら、ストリーミング期間終了につき。
それでも、ネルソンス指揮のオーケストラの躍動感あふれる鮮烈な響きは感じ取ることができましたよ。
「パルシファル」・・・・・未視聴
フィップ・ジョルダンの初登場だけど、この「パルシファル」は、来年はお休み。
新演出は2016年ネルソンスの指揮で、ということなので、ヘアハイムのパルシファルは、再登場ありかもです。
2013年は、ついに「リング」新演出。
フランク・カストルフの演出に、キリル・ペトレンコの指揮。
歌手はどうなるんでしょうねぇ。
あとは、オランダ人、タンホイザー、ローエングリンのロマンテックオペラ3作。
2014年は新演出なしで、パルシファル復活、2015年は、カタリーナ&ティーレマンのトリスタン・・・・と続きます。
あれこれ、文句つけても、それは想像してるだけで、死ぬまでに一度、かの地へ。
元気に頑張って、毎年ワーグナーを楽しみにしなくっちゃ。
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コメント
今晩は、よこちゃん殿。2日続けて音楽ネタじゃなくてゴメンよm(_ _)m
BSでベイVS巨人戦見てますが6回で0-11ですぜ~。昨日の粘りはいったいどこへ…高校野球じゃあるまいし。見る気が失せてきますぜ、旦那。あ~ぁ(ため息)
このあと、昨日の様に頑張れるか?
チャンネルU20ヤングなでしこに切り替えます。スンマセン。
投稿: ONE ON ONE | 2012年8月26日 (日) 19時46分
もうすぐ「パルシファル」(BS8/25)です。
何か最近「パルシファル」付いていて音楽現代9月号もとり上げていたし、来月、二期会の上演はあるし(16日、参戦します)。何かの巡り会わせとしか考えらないような感じがしますよ。
さて、どんな「変てこな」パルシファル演出か・・・。
投稿: I | 2012年8月26日 (日) 23時44分
ONE ON ONEさん、こんばんは。
さきほど、悲惨な結末を知りました。
いったいこのチームはどうなってるんでしょうねぇ。
あの勝利がまったく活きてこない。
昔から変わらぬこの体質。
慣れ親しんだものとしては、またか・・・ですが、プロ野球史上最多の敗北数だそうですよ。ははは。。。
投稿: yokochan | 2012年8月26日 (日) 23時56分
IANISさん、こんばんは。
パルシファル放送は、オンデマンド放送で楽しむ予定です。
この演出は、新演出時から、さほど評判は悪くなく、画像では、さっぱりイメージのわかないものでしたので楽しみですね。
二期会は行けるかどうかわかりません・・・・。
投稿: yokochan | 2012年8月27日 (月) 00時09分
yokochanさん
はあ、こういう方法でバイロイトの舞台を垣間見て、そして音楽を聴けるんですか。知りませんでした。
拝見する限り、ドイツ全体の傾向なんでしょうか、一同がワンピース風の単色の芋袋みたいな服を着て、あっちへフラフラ、こっちへフラフラ、みたいな演出のようですね。タンホイザーにして、こうなんですか。ベルリンドイツオペラで魔笛を観たとき、みんな白い芋袋を着て、何も置いてないまったいらな舞台でひたすら歌ってましたっけ。ミュンヘンのゲルトナープラッツで売られた花嫁を観たときは、服は普通でしたが、主人公が原付をふかしながら舞台を走り回って吃驚しましたし。
まあ、このバイロイトの写真を見る限り、中では一番マシなんですかね。
投稿: 安倍禮爾 | 2012年8月27日 (月) 01時31分
安倍禮爾さん、こんばんは。
バイロイトの画像は、おもに、ドイツの放送局や各紙のサイトから拝借してますが、日本のややこしさからすると、かなりフリーに掲載されてました。
そして音源は、ネット配信ですが、7月中ならば、各国の放送で聴けるようです。
アメリカもネット放送はかなり進んできてますが、わが日本は、どうにも手枷足枷が多すぎて難しいみたいです。
「あっちへフラフラ、こっちへフラフラ」、まさにそうですね(笑)。
群衆の扱いたかの劣化は世界に蔓延してますね。
人間社会の多様なあり方を反映しているんでしょうか。
そんな上等なものじゃないのでしょうか・・・・。
この前、古いレコ芸を見てて、20年前の記事に、ノイエンフェルスの過激演出の海外レポートが書かれてました。
20年経って、バイロイトは、ドイツの風潮に並んだということになります。
ある意味、ウォルフガンク・ワーグナーの保守性は偉大なことでした。
そういう意味で、バイロイトは、まだマシなんですよね(笑)。
投稿: yokochan | 2012年8月27日 (月) 21時39分