プロムス2012 尾高忠明指揮
今日の東京タワーのイルミネーションは、金メダル獲得の日なので、ダイアモンドヴェール。
オリンピック開催中は、平日でも、金メダル出ればこうなります。
すさまじい一日だった今日、夜には東京タワーの美しい姿を見てほっと一息入れてます。
(メルボルン響のHPより)
ロンドンのプロムス2012真っ最中。
7月31日には。われらが、オダチューさんこと、尾高忠明が、古巣BBCウェールズ響を指揮して、オール・イギリスものを披露しました。
翌日の、内村選手の金メダルにも増して、うれしいことですよ、これは。
ヴォーン・ウィリアムズ 「タリスの主題による変奏曲」
アイアランド 「These Things Shall Be」
ディーリアス 「村のロミオとジュリエット」〜「楽園への道」
ウォルトン 「ペルシャザールの饗宴」
Br:ジョナサン・レマル(アイアランド、ウォルトン)
尾高 忠明 指揮 BBCウェールズ交響楽団
ロンドン・ブラス
BBC合唱団
BBCウェールズ合唱団
(2012.7.31 @ロイヤル・アルバート・ホール)
イェーーイ、とんでもなく、すんばらしい盛り上がりのエンディングに、ロンドンっ子たちは奇声を発し、興奮の坩堝ですよ
大合唱と独唱をともなったウォルトンの大歴史絵巻の、壮大で輝かしい幕切れでのこと。
バビロニアによるユダヤ民族捕囚の頃、ネブガドネザルの息子ペルシャザールは、ユダヤ国から奪ってきた財宝に囲まれ、その酒器でもって酒池肉林の大宴会。
ところが虚空に指があらわれ謎の文字が・・・・。
ダニエルというユダヤ人が、それを解読し、王の治世の終わりと国の分割と、読み説き、ペルシャザールは死んでしまう・・・・という、旧約の物語。
驕れるものは久しからず・・・・、旧約時代より伝わる提言でございます。
このあらましを、ウォルトンはダイナミックな音楽でもって劇的なカンタータ風にしたてました。
40分あまり、対訳があればなお楽しく聴けますが、最後の歓喜の爆発は、CDで聴いても大興奮だし、コンサートだったらむちゃくちゃ盛り上がります。
尾高さんの緻密な指揮による、着実な積み上げとその爆発は、RAHの聴衆を釘付けにしてしまったようです!
このところ、尾高さんは、この曲に集中していて、秋にも日本で指揮します。
あと、私が注目してたアイアランドの20分を超える独唱と合唱の作品。
この曲大好きなんです。
ヒコックスのCDで何度も聴いて、そのたびに深い感動を味わってました。
それを尾高さんが指揮してくれちゃうなんて。
おそらく初のレパートリーじゃないでしょうか。
第一次大戦もからんだ時期の祖国への愛も歌いこまれた高揚感と、抒情性にあふれた名品。かっこいい前半と、バリトンソロのヒロイックな歌、その後静かな部分を経て、合唱を加えて再び盛り上がる後半での大感動。
静かに消え入るような末尾も素敵なものです。
無二のヒコックス盤より、少しテンポを上げて淡々とすすめるこの尾高演奏、いいじゃないですか!
ただ、ニュージーランド出身のレマルの歌は、わたしには受け入れがたい声の揺れ方でありましたこと申し添えます。
RVWの静謐なタリスに、バルビローリ以上に、ゆっくりと情を込めて優しく進められたディーリアスの村のロミオとジュリエット。
尾高さんは、きっと、日本のことを思って、万感を込めて慈しむように指揮したのではないでしょうか。
あまりにもデリケートで美しいディーリアスです。
英国音楽の伝統を受け継ぐ指揮者がこんな近くにいたことを痛感し、感謝したくなるプロムスでした。
尾高さん、今回で1988年以来、30回目のプロムス登場でした。
タワーを写し込んだ今宵の建物。
「アイアランド」 ヒコックス盤
「ウォルトン ペルシャザール」 プレヴィン盤
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コメント
今晩は、よこちゃん様。尾高さん、今イギリスにいらっしゃるんですね。 「オダチュー」さんと呼ばれているんですね。正しくは「オタチュー」さんでしょ!なんて意地悪を言ってしまいますが…ごめんなさい。イギリスの方も親しみを込めて「チュー」と呼ぶそうですよね。
「サンキュー、チュー」演奏後そう讃えるとか…
チューさんもこの秋で65歳。頭部の後退もなかなかなものとなり、舞台の照明がおでこに反射してピカピカなんて事もあるあるなお年頃に…。八重歯が可愛いかった青年チューさんも円熟の時を迎えています。ますますのご活躍お祈りします。
投稿: ONE ON ONE | 2012年8月 3日 (金) 01時26分
ONE ON ONEさん、こんばんは。
暑中お見舞い申し上げます。
あ、オダチューかオタチューかわかんなくなっちゃいました。
PCの変換だと「おだか」と打たないと変換されませんから、キーボードの癖で、いつのまにかオダ・・となってしまいました。
BBC放送では、しっかり、タダアキ・オタァ〜カと連呼されてます。
チューさんがいいですね、やっぱり。
BBCウェールズは、名古屋フィルを卒業したフィッシャーが指揮者だし、英国とわが邦は、いい関係にありますね。
うれしいです。
尾高さんの、首の持病さえなければ、オペラの方もたくさん聴けるんですが、いまはプロデュースのみで残念です。
黒柳徹子との、あの童顔が懐かしいですね。
投稿: yokochan | 2012年8月 3日 (金) 23時58分
先日、FMで放送されたN響定演の尾高さんの指揮の英国プログラム、参議院選の特番の陰でEテレでやっていました。結果のわかってしまった選挙特番を見たくなかった私には、ありがたいことでした。楽園への道を画像付きで聞けるとは思っていなかったので、高揚しつつ聞きました。
楽園への道のときは、指揮棒を持たず、手で指揮をされていました。曲調ともあった、気持ちの伝わる指揮ぶりでした。
尾高さんは、有名指揮者の合間を、安心して任せられる指揮者…扱いのような気がしてなりませんが、もう少し、一般的な評価が高くなっていいのではないでしょうか?
投稿: udon | 2013年7月23日 (火) 13時02分
udonさん、こんばんは。
日曜のテレビ放送は、やっていることは知りつつも、ちょっと多忙でみることはかないませんでした。
オンデマンドで確認したいと思ってます。
尾高さんの、楽園への道は、実演で2度ほど聴いてますが、いずれも指揮棒を持たず、慈しむように演奏されてました。
きっとN響でもそうだったのでしょうね。
札響ともますます結びつきを深め、メルボルンでも確固とした地位を築いたいま、新国の激務からも解放されて、日本の指揮界の巨匠として、間違いなくなくてはならぬ存在ですね。
尾高さんを、悪くいう評価は見たことありませんから間違いないですよ!
投稿: yokochan | 2013年7月24日 (水) 00時23分