ホルスト コッツウォルズ・シンフォニー ボストック指揮
暑いときにもカレーがやたらと食べたくなりますな。
スーパーで、昔では考えられないくらいに多彩なレトルトカレーが売ってます。
国立薬膳カレーを食べてみましたよ。
「こくりつ」ぢゃぁなくって、「くにたち」ですから。
野菜だけ、多彩なスパイスとハーブ、低カロリーがうたい文句のすぐれものは、ピリッと爽やかな美味しいカレーでございました。
一度お試しあれ。
ホルスト コッツウォルズ交響曲
ダグラス・ボストック指揮 ミュンヘン交響楽団
(1999.5 @ミュンヘン)
グスターヴ・ホルスト(1874〜1934)といえば「惑星」。
英国音楽の中でも、絶大な人気と実力を誇る名曲ゆえ、オンリー・ワン的な作品となってしまい、ホルスト=惑星ということで、なかなかホルストのほかの作品に親しむ機会がないのが現実でありましょう。
もちろん私も「惑星」から入りましたし、ずっと「惑星」と、せいぜい「セント・ポール組曲」ぐらい。
でも、英国音楽を貪欲に聴くようになって、ホルストのほかの作品も次々に聴いております。
記事では、まだまだ惑星ばかりですが、これまでに聴いた「雲の使者」や「パートソング」、「イエス讃歌」、オペラ「サーヴィトリ」、「エグドン・ヒース」、「ピアノ作品」など、とてもいい曲ばかりですよホルストさん。
今日の「コッツウォルズ交響曲」は作品番号8で、1900年、ホルスト26歳の若い作品。
王立音楽院を卒業後、スコテッシュ管弦楽団やオペラのオーケストラでトロンボーンを吹きつつ、作曲活動を開始していた時期。
同郷のヴォーン・ウィリアムズと親交を結んだ頃でもあり、ふたりでイギリスの各地方の野辺を散策しつつ、民謡の採集に勤しんでもいた。
そんな背景も感じさせる、どことなくのどかで、親しみあふれる30分くらいのシンプルな交響曲は、オーケストラの編成もさほど大きくなく、シンフォニエッタみたい。
若き日々はワーグナーの影響下にもあり金管の扱いなどにそんなことを匂わせる。
でも基調は、師匠のスタンフォードを思わせるし、ブラームスのように古典風で、ドヴォルザークのように民族風でもあります。
明るい色調で拍子抜けの場面もありますが、この交響曲の白眉は、第2楽章エレジー。
ウイリアム・モリス(William Morris)の思い出に・・・と題されております。
モリスは詩人でありデザイナーであった人で、ホルストのこの交響曲が作曲される前、1896年に亡くなっていて、それに触発されてのこととも言われます。
そのデザインは、東洋風な装飾で、サンスクリット文化をも後に愛するようになるホルストがきっと好んだものでありましょう。
あと、解説によりますれば、この時期は、イギリスは海外覇権も盛んで、南アフリカでボーア戦争を行っていて、コッツウォルズ地方からも戦地に赴く人も多く、それを思っての楽想であるともいいます。
ボーア戦争は、英国びいきとしては、極めてよろしくない戦でして、アフリカの金やダイアモンドの利権争いが生んだ人間の暗黒面を映し出したもの。
強制収容所まで作ったりで、ナチスもびっくりの蛮行も行われたという。
このあたりのことを、わたしは小説で読んだことがありまして、あんまりいい気分はしなかったものです。
ともあれ、そんな現地のことはホルストは知る由もなかったはずで、純粋に戦争に赴き、名前を失ってゆく人々のことを思ってのレクイエムだったのです。
ともかく美しく儚い音楽です。
ボストックとミュンヘン管は、この手の珍しい作品をたくさん残してくれました。
ありがたい。
最近、ナクソスからも出たみたいです。
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