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2012年9月16日 (日)

神奈川フィルハーモニー 第283回定期演奏会 伊藤翔指揮

Minatomirai

まだまだ暑い土曜日の昼のコンサート。

都内でも、魅力的なコンサートやオペラもたくさんのこの日。

本格シーズンのスタートです。

そして、神奈川フィルから巣立つ若い指揮者を眩しい想いで、聴くことができました。

Kanaphill_201209

   ウェーベルン  オーケストラのための6つの小品

  R・シュトラウス ホルン協奏曲第2番

  スラヴィッキー  ソロ・ホルンのための音楽~第3楽章
                           (アンコール)

       Hr:プジェミスル・ヴォイタ

  ブラームス   交響曲第2番

   
       伊藤 翔 指揮 神奈川フィルハモニー管弦楽団

              (2012.9.15
 みなとみらいホール)

伊藤翔さん、というか翔クンと呼んだ方が、神奈川フィルを聴いてきたファンとしては、親しみがあります。
ウィーンに学び、著名指揮者に師事、今年3月まで神奈川フィルの副指揮者をつとめるかたわら、昨年は、ルトフスワフスキ指揮者コンクールで2位受賞した、1982年生まれの若い翔クンです。

神奈川フィル定期デビューは、実に堂々と、そして爽やかなものでした。

「マーラーとその時代、爛熟ウィーンへの旅」が今シーズンのお題。
昨シーズンのマーラー特集を汲んでの内容。

今回は、シーズン当初にブラームスのハイドン変奏曲から、ウェーベルンへと曲目変更がありました。
これまた、実に見識高いもので、次回も再びウェーベルンは実に嬉しい。
精緻で、緻密な構成のウェーベルンの音楽は、ライブで聴くと静寂のピアニッシモがとりわけ美しく感じられ、オケの皆さんとともに、われわれ聴き手も、その緊張感を共有できる。
この日の「6つの小品」は、音楽の中にある静寂の間と、音色の美しさ、ピアニッシモから最強フォルテまでの鮮やかな対比。
多分に慎重な出だしだったけれど、そのあたりが見事に決まっておりました。

次いで、チェコ出身のヴォイタ氏のホルン。伊藤氏より若くて、はるかに大きいヴォイタ君は、83年生まれ。
ベルリン・コンツェルトハウス管(旧ベルリン響)のソロから、今秋はベルリン・シュターツカペレのソロに転じる、若き注目株。
若書きの1番の方ばかりを聴いてしまう傾向があったが、こうしてじっくりと、後年の2番を聴いてみると、シュトラウス晩年の澄み切った心境の作風の刻印を随処に聴くことができました。
まず、なによりも、いい曲だなぁ、と思わせる演奏。
さりげなく演奏しているけれど、実は難易度がむちゃくちゃ高い。
大きい人だから、ホルンがおもちゃみたいに見えちゃうし、あんまりにもスイスイすらすら吹くもんだから、唖然としている暇もない。
これ誉めてるんです。こんだけ余裕を持って演奏されるとヒヤヒヤせずに、曲に没頭できます。そして何より、確かな技巧もさることながら、その音色の美しさに感嘆。マイルドで輝かしいそのホルンは、R・シュトラウスにぴったり。
このホルンで、アルペン交響曲や月光の音楽を是非聴いてみたい。
 で、神奈フィルの煌めくシュトラウス・トーンは、この曲でも健在。
ことに第2楽章の緩やかで、優しい旋律は、前回定期の「インテルメッツォ」や「家庭交響曲」とも相通じるほのぼのと達観した名品でした。
若いオーボエの佐藤君、見事でした。
 ソロと指揮者の二人の大小コンビはとても相性よく感じましたね。

さて後半のブラームスの2番。
心持ち早めの運びで1楽章。わたしの好みは、もう少しゆったり目。
この楽章では、オケももっと心地よく歌わせた方がよかったかも。
でも、新芽の息吹を感じるようなフレッシュな表情のブラームスは悪くないぞ。
木管とピチカートの終結部では、安心して夢見るような気分に浸ることができましたよ。
 思いのほか渋く、じっくりとまとめた第2楽章は、堪えた寂しさと若々しい抒情が交錯する素晴らしい演奏でした。
さらに、鈴木さんが戻ってきた3楽章の優しいオーボエを中心とした木管と弦の掛け合いの妙は、神奈フィルの音色の美しさを堪能できました。
 終楽章へは、トゥティで突入して欲しかったけれど、爆発は最後のお楽しみで、淡々と着実な歩み。もっとギラギラと爆走するかと思ったら、好漢翔クンは、浮足立つことなく、大人のブラームスを目指してまとめ上げている。
しかし、歓喜爆発のエンディングでは、テンポもみるみる上げて、これまで押さえ気味だった金管も全開となって、ホール一杯に喜びが響き渡る晴々しい旅立ちを飾る終結となりました。
もちろん、大ブラボーの拍手喝さいでございました。

指揮者を讃える、オーケストラのみなさんの暖かい足踏みと拍手もとても印象的。好ましい指揮者の門出。
気持ちのいい、素敵なコンサートを聴くことができました。

Yokohama_beer

これもまたお楽しみ。アフターコンサートは、応援メンバーに楽団のおふたりをお迎えして、横浜地麦酒、「驛の食卓」で。
こちらの常連さんのメンバーのお骨折りで、目もくらむ料理の数々、そして劇ウマの各種ビールをたくさんたくさん飲んで食べて、音楽を語りました。

来季は構想中とのことですが、客席も日に日に埋まるように見え、ブルーダル基金も右肩あがり。
中国公演の延期は、情勢を鑑み残念なことですが、神奈川フィルの明るい展望がうかがえるような、初々しいコンサートを楽しむことができ、元気をもらったようで感謝の気持ちで一杯です。

Moheat

2軒目突入。ガイジンさんもたくさんいるバーで、モヒートbar

本日を締めくくる爽やかな一杯でした。

でも、調子に乗り過ぎ、電車は途中までとなりました・・・・・。

みなさま、お疲れさまでした。

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コメント

お伺いするのが遅くなってすいません。
いいコンサートでしたね。
身内の羽ばたく様をあたたかく応援する、オーケストラというものがまさに有機体であることが嬉しくなるひとときでした。
正直前半こそちょっと固いかなとも感じましたが、ブラームスはどんどんのっていき、後半2楽章なんてもちろん好みもありましょうがなかなかの集中力と思いました。
これから翔君がどう成長してゆくのか、それにどう神奈川フィルが関わってゆくのかが楽しみです。
それにしても、独欧系の世紀末シリーズ、楽しいプロですね。次回も楽しみです。

投稿: yurikamome122 | 2012年9月18日 (火) 06時28分

yurikamomeさん、こんばんは。
こちらこそ遅くなりました。
ひとつの贔屓オーケストラを見守ってゆくなかには、別れや旅立ちもありますが、今回は、実に前向きかつ、期待と楽しみが増す本格デビューでしたね。

あのブラームスを知ってしまった耳で聴いても、近時、久方ぶりの神奈川フィル本来の音色に嬉しくなりました。
来月もまた知的かつ爆発的なコンサートになりそうですね。

投稿: yokochan | 2012年9月18日 (火) 23時17分

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神奈川フィルハーモニー管弦楽団第283回定期演奏会 公演日:2012年09月15日(土) 開演:14:00 会場:横浜みなとみらいホール 指揮:伊藤翔 ホルン:プジェミスル・ヴォイタ ウェーベルン/管弦楽のための6つの小品 R.シュトラウス/        ホルン協奏曲変ホ長調作品86 ホルンアンコール  スラヴィッキー/         ソロ・ホルンのための音楽より              第3楽章 ~~休憩~~ ブラームス/交響曲第2番ニ長調作品73... [続きを読む]

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