シェーンベルク 管弦楽のための変奏曲 ブーレーズ指揮
いならぶコンテナを臨むことができるレインボーブリッジからの眺め。
田町、浜松町方面、東京タワーも。
東京湾の対岸に目を転ずれば、高層マンションの間からスカイツリー。
東南アジアか中国のどっかの都市みたいだ。
シェーンベルク 管弦楽のための変奏曲
ピエール・ブーレーズ指揮 シカゴ交響楽団
(1991.12@シカゴ)
後期ロマン派、表現主義から無調、そして次ぎに来る12音技法。
1928年、フルトヴェングラーとベルリン・フィルによって初演された「管弦楽のための変奏曲」は、オーケストラによって初めて書かれた12音技法作品。
この技法の少しばかりしかめっ面をしたシビアな音楽を、かのフルトヴェングラーが初演しているところが面白い。
そして、ちなみに日本初演は1974年の朝比奈隆と大阪フィルによるもの。
こちらもまた面白い。
オクターブ内の12音を均等に使用する技法。
音列(セリー)の原型とその展開系を上げたり下げたりの組み合わせ。
それらが変奏として展開してゆくのであるが、9つの変奏をそれぞれに分析して、理解してゆくのは、わたしごときには至難の技であります。
室内楽的なソロの活躍する場面と、フルオケが鳴り響く場面、それらが交互に変転してゆく音楽に、素直に身を任せて聴き入るのみ。
それでも、主題の部分の原型音列を耳に入れておくと、各変奏にその変化形がちょろちょろと確認することができて、なんとなくわかったような気分になります。
そして、変奏部分が終り、最後の長めの終曲では、明快に主題原型が力強く登場してくるので、完結感もある12音全鳴らしの結末を迎える。
よく出来てるし、理論先行の頭でっかちに陥っておらず、音楽がまだしっかりあるところがよい。バッハのカノンも見受けられるのでよけいにそう感じる。
12音技法の創設者であるシェーンベルクには、まだ音に色があり、弟子のウェーベルンになると、無色で無音の静寂が、ベルクには歌と熱が。
それぞれに違うイメージを持ってる新ウィーン楽派たちの12音。
新旧ブーレーズ盤を聴いてます。
新シカゴ盤は、奏者の腕前の鋭さが目立ち、オケの全奏となると圧倒的な威力を発揮。
それを司るブーレーズの指揮ぶりも精緻そのもので、かつ明快・明晰。
対するBBC響は、70年代のブーレーズの切れ味の鋭さがビンビン響いてくる演奏。
エッジは強く、かつ音塊は熱い。音符に力を感じる。
BBCの無機質ぶりもよし。
実は、BBCの方が好きだな。
あと、超絶素晴らしいのが、ミトプーこと、ミトロプーロスとベルリンフィルの冷徹極まりないオカルト的な演奏。
そして、神奈川フィルでは、次週から2定期連続でウェーベルンが聴けます。
新ウィーン楽派の音楽のライブは、なかなか聴く機会もありません。
横浜へ是非!
ウェーベルン オーケストラのための6つの小品
R・シュトラウス ホルン協奏曲第2番
Hr:プシェミスル・ヴォイタ
ブラームス 交響曲第2番
伊藤 翔 指揮 神奈川フィルハモニー管弦楽団
2012年 9月15日(土) 14:00 みなとみらいホール
明日も、新ウィーン楽派いきます。
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コメント
さすがです!シェーンベルクか。。。おじさんの私には全く楽しめないのです。ウェーベルンも同様です。矢代秋雄も無理なんです。。。あ!八代亜紀なら大丈夫!
この程度なんですよ。。。。
さまよえる様の守備範囲の広さはすごいと思います。
ストラビンスキーはごく限られた作品だけ、バルトークは今でもあまり。。。
これではイカン!と思って購入したレコードやCDも一度聴いただけでそれっきり。「2500円も払ったんだから!」と自分に言い聞かせて一度は聴いてみるけど、どの1枚も2度目がないのです。
そこで質問です。
1=さまよえる様が初めましての作品に接して好きになっていく方法は?
2=それが現代作品だった時の方法は?
3=好きじゃない演奏家のレコードを繰り返し聴きたくなるこつは?
今後の私の鑑賞態度の指針とさせてください。
(前にも同じことを教えてもらったような。。。^^;)
投稿: モナコ命 | 2012年9月 7日 (金) 20時50分
モナコ命さん、こんばんは。
またまた、難しいお題を頂戴しました。
大きくお答えしますと、わたしも好きなものしか聴かないのですが、毎度書いてますように、聴くジャンルの大きな括りがありまして、その延長を好奇心でもって開拓してゆくのです。
それと、こうしてブログをやり始めて、体系的・関連性のある素材選びをするようになり、なおかつ文章にするからには、オリジナリティを出すためにも、調査もし、そして、何度も聴くようになりました。
音楽の聴き方が、ブログによって変わったかもしれません。
1・・・そんなわけで、初聴きは、関連性を求めてますから、最初から受け入れ体制あり、かつ何度も聴いてしたしむのみなのです。
2・・・現代ものでも同じです。多くの場合、アバドとか好きな演奏家がやるから聴く的なとっかかりです。
3・・・好きじゃない演奏家〜正直キツイですが、これもまた、ブログというツールがあるからこそ、それをネタにしてしまい、楽しんじゃうんです。
な〜んて、アテになりませんこと言ってすいません。
モナコ命さんの、音楽の聞き方も、わが方は刺激を受けておりますよ!
投稿: yokochan | 2012年9月 7日 (金) 23時18分
お早うございます。シェーンベルクの十二音技法を使った曲は、モーゼとアロンもヴァイオリン協奏曲もピアノ協奏曲も苦手なのですが、管弦楽のための変奏曲だけは非常に好きです。中学3年の時に初めて聴いたときはなんじゃこりゃでしたが、今はブラームスのハイドン変奏曲の20世紀版を聴くような感覚で楽しんで聴けます。カラヤン、メータ&ロサンゼルスフィル、ブーレーズ新盤などが好きです。若き日のメータのしたたかな才人ぶりには舌を巻かされます。ブーレーズ新盤は、カップリングされているペレアスも最高です。ヘンなたとえかもしれませんが、曲技飛行チームのアクロバット飛行のような快演だと思います。完璧という言葉はこの演奏のためにある言葉なんじゃないのと思うほどの名演だと思います。カラヤン&ベルリンフィルももちろんものすごく上手いですが。ウェーベルン編曲の6声のリチェルカーレは、私もブーレーズ旧盤がベストだと思います。アバドは未聴です。小澤さんとボストンのも素晴らしい演奏です。
投稿: 越後のオックス | 2012年9月 8日 (土) 06時44分
越後のオックスさん、こんばんは。
わたしも正直、十二音は苦手で、無味乾燥の色なしの展開は厳しいのですが、「モーゼとアロン」の舞台を観て、鮮烈な印象を受けました。
雄弁な音楽に思う演奏でこそです。
メータも録音ありましたね、まだ聴いてません。
あと、カチカチのショルティも面白いです。
それと大昔、チェリビダッケのFMライブを録音して何度も聴きました。あの唸り声も聴こえて、なんかすごい曲だなという思いを植え付けられました。
ウェーベルンは、アバドとブーレーズの独壇場だと思います。
投稿: yokochan | 2012年9月 8日 (土) 23時59分