ウェーベルン 6声のリチェルカーレ ブーレーズ指揮
高層ビルを望みつつ、江戸時代よりの由緒ある寺社。
こちらは、港区三田の寺社院が密集する坂の多いアリアです。
幽霊坂、暗闇坂、蛇坂、大きなところでは魚藍坂。
なんでも、江戸城開闢いらい、城周辺より移転してきた寺社群だそうです。
都会の中でのコントラストが東京=江戸ならではです。
ウェーベルン (バッハ)
「音楽の捧げもの」〜6声のリチェルカーレ
ピエール・ブーレーズ指揮 ロンドン交響楽団
このジャンルになると、圧倒的にブーレーズのおハコです。
思えば、ブーレーズがいなかったら、新ウィーン楽派や、バルトーク、ストラヴィンスキーなども、いまみたいに、ふんだんに聴くことができなかったかも。
60年代後半に作られた、ブーレーズのウェーベルン全集。
DGに、ベルリンフィルを中心とした二回目の全集を録音はしたが、そして収録曲が微妙に異なるものの、1回目のエッジの効いた鋭い、そして問題意識に富んだ全集は、レコード録音芸術史上に名を残す名盤なことは衆目の一致するところであります。
ウェーベルンは63歳の生涯だが、短命ベルク(50歳)とともに、師シェーンベルク一門にあり、そしてともに、その作品数は限られております。
シェーンベルクが、後期ロマン派風の甘味なる音楽からスタートし、無調、表現主義、十二音と進んで行ったのと、ほぼ同じ足跡を歩みます。
がしかし、その作曲ジャンルは、室内的な作品や合唱作品が多く、管弦楽作品は、いまならCD1枚に収まるぐらいのものしか残さなかった。
ブーレーズの監修全集も、CD3枚。
大作はなく、ミニアチュア的、独創的な短編が多くて、それら緻密極まりない音楽が後世に与えた影響ははかりしれないものがあります。
こちらのブーレーズも、その作曲家としての音楽は大いに影響を受けてます。
武満徹を代表として、日本人作曲家の多くもそうかもしれません。
そして、ウェーベルンの音楽の源流は、ほかの新ウィーン楽派作曲家たちと同じく、ブラームスとマーラーの、そう伝統と世紀末音楽との流れを汲むウィーンの本流なのです。
バッハの「音楽の捧げもの」は、自由な発想で演奏できる柔軟な形態でありながら、やはりバッハゆえに厳格で孤高の側面も持っている名品。
その一部であるリチェルカーレを、ウェーベルンは、大オーケストラの作品に編曲。
原作以上に、透き通った響きを醸しだし、次々に現れる明滅するようなオケの各楽器が浮かんでは消えて、やがて、フルオーケストラの響きに収斂してゆくさまは、ウェーベルンのオリジナル作品として、しっかり受け止めながら聴いている自分を最後は見出すものだ。
ジャズの領域までにも許容範囲のあるバッハの音楽の素晴らしさと、ウェーベルンの透徹した音楽造りが結びついた、これまた名品にございます。
ブーレーズの演奏は、のちのベルリン盤よりは、こちらのロンドンでのものの方が好き。
あとは、歌と色があるアバドとウィーンフィルも!
そして、神奈川フィルでは、次週から2定期連続でウェーベルンが聴けます。
新ウィーン楽派の音楽のライブは、なかなか聴く機会もありません。
横浜へ是非!
ウェーベルン オーケストラのための6つの小品
R・シュトラウス ホルン協奏曲第2番
Hr:プシェミスル・ヴォイタ
ブラームス 交響曲第2番
伊藤 翔 指揮 神奈川フィルハモニー管弦楽団
2012年 9月15日(土) 14:00 みなとみらいホール
明日も、新ウィーン楽派いきます。
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コメント
こんにちは
お書きになられた以下の文
『原作以上に ~ 見出すものだ』
まさにドン☆ピタリの表現をなさっていると感じました
バッハのフーガが、空間に紐解かれていくような、そんな快感がございますよね
投稿: Booty☆KETSU oh! ダンス | 2013年2月 4日 (月) 15時58分
Booty☆KETSU oh! ダンスさん、こんばんは。
この曲は、昔、NHKFMの現代の音楽のテーマ曲になっておりまして、当時まだ中学ぐらいだった自分には、完全なる現代音楽として定義され聴こえたものです。
バッハの偉大な原曲があってこその名編曲ですね。
投稿: yokochan | 2013年2月 5日 (火) 21時50分