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2012年9月 5日 (水)

矢代秋雄 チェロ協奏曲&三善 晃 ヴァイオリン協奏曲 神奈川フィル

Choumeiji

谷中にあります、日照山長明寺。

日蓮宗のお寺でして、左手にはたくさんのお墓がございまして、由緒あるお山にございます。

つい最近、改築されたようで、ご覧のように、ぴっかぴか。

眩しい青空と、百日紅の色合いも加わって、とても清新で、清々しい。

気温は30℃をゆうに超えてましたが。

Yashiromiyosi

  矢代 秋雄   チェロ協奏曲(1960)

       チェロ:向山 佳絵子

  
三善 晃    ヴァイオリン協奏曲(1965)

       ヴァイオリン:ドゥヴィー・エルリー

   外山 雄三 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

               (1993.9.17、1993.11.19 音楽堂)


神奈川フィルハーモニーの定期演奏会のライブCD。

第111回と、113回の定期演奏会です。

神奈フィル指揮者としては4人目、音楽監督として第2代目の外山さんは、演奏会に必ず、日本人作曲家の作品を載せたとあります。
このCDの演奏会の演目。

  111回 シューベルト   交響曲第1番
        矢代秋雄       チェロ協奏曲
        ドヴォルァーク 交響曲第9番「新世界から」

  113回  ウェーバー   「魔弾の射手」序曲
        三善 晃     ヴァイオリン協奏曲
        モーツァルト   交響曲第41番「ジュピター」

このように、硬軟とりまぜ、真ん中に日本人作品を入れ、聴きやすいように配置し、聴衆にとっても無理なく魅力を感じるプログラムを作ってます。
名曲があることで、それらを完璧にすることで、厳しいトレーナーとされる外山さんの薫陶もきっと光ったことでありましょう。

名曲への人気は、いつの世も根強いものがありますが、一方で、マーラーやブルックナー、世紀末系への嗜好も高くなり、あわせて重厚長大作品が好まれるようになった昨今。
バランス的に、日本人作品を配置するのがなかなか難しくなったような気もします。

でも、過去に演奏された半世紀前のこれらの作品の充実ぶりには、正直目を見張るものがあります。
矢代作品、三善作品、どちらも、ヨーロッパの伝統音楽と日本の文化としての音楽が、高次元で結びついた感があり、西洋楽器を用いて、それは西洋とはまったく異なる世界が築き上げられております。
時に、ベルクやショスタコーヴィチ、ブリテンなども感じさせますが、そのテイストは、濃厚なソースではなくて、醤油や加減のいい出汁です。

矢代作品は、チェロならではの朗々とした響きが全曲を支配する耳馴染みのいい曲で、明快な旋律線はないように感じるが、その独白的なソロは思索的でとても聴き応えがありました。
レント楽章で、フルートソロと繰り広げる独奏チェロのモノローグは、和楽器同士のつぶやきみたいで、深いものがあります。

一方、三善作品の方は、打楽器の活躍も目立ち、オケが満遍なくよく響き高鳴ります。
3つの楽章を持つ伝統的な作りのようですが、その内容はかなり自由で、ロマンティックです。
先に記したとおり、わたしにはベルクの協奏曲を思い起こす音楽でした。

この際お願いしておきましょう。

神奈川フィルに取り上げてもらいたい曲として、このふたつ。

ソロは、もう誰とは申しません、あのお二方です。

指揮は、下野さん、湯浅さん、もちろん聖響さんでも。

そろそろ、来シーズンの演目が煮詰まっているんじゃないでしょうか。

ファンとしては、勝手に提案して妄想する会で、酒が飲めちゃうんですよね。

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コメント

矢代秋雄は早逝されたが、三善晃はまだ現役です。ヴァイオリン協奏曲はベルクに似ている印象ありますが、直接引用はないと思います。でもピアノソナタや交響三章、管弦楽のための協奏曲などあの頃の代表作は高い音楽性を誇っていましたが、ピアノソナタ2楽章の開始からしばらくの中心部分はアンリデティユーのソナタ2楽章と極似、管弦楽のための協奏曲のホルンの旋律もデティユーの第一交響曲に出ている。ここまで似ていてどうして毎日音楽賞や尾高賞を受賞できたのかと考えさせられます。

投稿: はらだ | 2012年10月14日 (日) 21時03分

はらださん、こちらにもありがとうございます。
こちらのエントリーは、曲というより、神奈川フィルハーモニーの音源を聴く一環でとりあげた記事でございまして、ちょっと苦手な日本の現代作品に対する想いや考察は、正直、浅めなところです。
この素晴らしいオーケストラで矢代交響曲、尾高&日フィルで三善交響曲を聴けたことは、大いに喜びでした。

デュディユーの音源は、揃えてはいますが、未消化ゆえイマイチ記事にできません。
ですから、それにまつわるコメントは、ただいま出来ません、申し訳ありません。
これからの課題で、聴いていきたいと思ってます。
ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2012年10月14日 (日) 23時59分

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。

投稿: 志望動機 | 2012年11月26日 (月) 16時29分

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