ブラームス ヴァイオリン・ソナタ第1番 グリュミオー
群馬県の榛名富士と榛名湖。
昨日(10月24日)に、親類の3回忌を兼ねた墓参に行ったおりに身内だけで行ってまいりました。
紅葉は三分ほどでしたが、ご覧のとおりの青空にも恵まれ、とても美しい光景でした。
上州ならではの風も吹き、気温もかなり下がりましたが、澄んだ空気と、この美しさは、日頃のモヤモヤや不安をいっとき晴らしてくれるものでした。
下山して、そして都会に舞い戻ると、もうそこは嫌なくらいの別世界で早くも辟易としてしまうのでした・・・・・。
ブラームス ヴァイオリン・ソナタ第1番 「雨の歌」
Vn:アルトゥール・グリュミオー
Pf:ジョルジ・シェベック
(1976.2 コンセルトヘボウ)
深まる秋に、ブラームス。
もうベタですけれど、澄んだ空気と景色も朱色やブラウンに変わりつつある光景には、ブラームスやフォーレ、シューベルトの室内楽や器楽曲がとてもお似合い。
3つの傑作ヴァイオリン・ソナタは、いずれも壮年期以降の作品だけに、どこもかしこも我々が思うあのブラームスの刻印がしっかりとなされている。
第2交響曲やヴァイオリン協奏曲の頃の作品だけに、明るいムードのなかにも、気品と旋律線の豊かさが溢れ出ていて、何かの拍子に、ふと脳裏に浮かんだりするこの曲の1楽章の素敵なメロディだったりするんです。
「雨の歌」のタイトルがどうもしみついてしまい、窓辺から見る小雨そぼ降る秋の日なんてイメージも妙にしっくりきて、思索にふけったりしてしまいたくなるのもこの曲だったりします。
もちろん、このタイトルは自作の同名の歌曲の旋律が3楽章に用いられているからなんですが。
全編にただよう、しみじみ感は、たまらなく魅力的です。
1楽章に続く2楽章での嘆息ともとれる哀しみ誘う憂愁。
3楽章での思わぬ短調での展開から、完結感がじわりじわりとにじみ出てくるラストに移ろってゆくさま、そして静かなエンディングがとても美しい。
グリュミオーの芳醇なるヴァイオリンで聴くブラームスもまた、この秋にピッタリでした。
美しい音色は常に気品とともに慎ましさも一筋通っていて、とても好ましいものです。
フィリップスのアナログ最盛期のアムステルダム録音がまた耳に心地よろしいものでしたね。
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コメント
よくぞこの演奏を採り上げて下さいました。この演奏のLPを学生時代に購入、以来30年、ブラームスのソナタはグリュミオーが基準・最高です。
投稿: faurebrahms | 2012年10月25日 (木) 22時52分
シェベックの公開レッスンが昔、大学でありました。あまりの凄さに驚愕でした。
ブラームスのこの美しい作品はやはりこの演奏につきるように思います。艶やかなヴァイオリンにシェベックの重厚で深い響き…。良いですねぇ〜。
投稿: schweizer_musik | 2012年10月25日 (木) 23時12分
faurebrahmsさん、こんばんは。
LPは、フランクとともに2枚組でしたね。
発売時はフランクのみFM放送を録音したのみで、ブラームスはCD時代になってから聴くことができました。
数々のブラームスを聴きましたが、たしかに、このコンビの演奏は最高といえますね!
投稿: yokochan | 2012年10月26日 (金) 00時06分
schweizer_musikさん、こんばんは。
シェベックについて触れずじまいでしたが、ここでのこのピアノはグリュミオーのヴァイオリンに奥行を与えているようで、万全のサポートですね。
実際にお聴きになられたことはさすがです。
ソロ音源は少ないようですが、伝説級のピアニストかもしれませんね。
投稿: yokochan | 2012年10月26日 (金) 00時18分