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2012年10月14日 (日)

ブリテン 「ピーター・グライムズ」

201210shinkoku_3

新国立歌劇場の前庭。

右手2階部分が客席ホワイエ。

ブリテンの「ピーター・グライムズ」は今日が千秋楽。

5日、金曜日に観劇して、おおいに感銘を受けて、あのあと手持ちの「ピーター・グライムズ」を聴きまくり。
しかも、いま頭のなかは、4日に聴いたブリテンの「ラクリメ」、ブラームスのピアノカルテット、12日のブラームスのヴァイオリン協、ウェーベルン、エンペラーワルツにラ・ヴァルスがともにそれぞれ渦巻いております。

「4つの海の間奏曲+パッサカリア」も含めて聴いてると頭の中が「海」のイメージで一杯になります。

新国の上演パンフレットを読んだら、来年のブリテン生誕100年のオールドバラ音楽祭では、このオペラの舞台となったその地の海で、「ピーター・グライムズ」を上演する企画があるそうだ。
臨場感たっぷりの凄い舞台になりそうで、あれこれ想像したくなります。

Aldeburgh

 オールドバラがあるサフォーク州のサイトから拝借、いかにも「ピーター・グライムズ」(PG)の世界を感じさせる画像です。

イングランド東部の海岸沿いの街がオールドバラ。そしてその隣町スネイプ。
スネイプにずっとオトモダチのピーター・ピアーズとともに住んだのがブリテン。

夏には、音楽祭が行われ、イングランド有数の避暑地ともなるようですが、冬には北海が厳しい牙をむく場所ともなるそうです。

新国の「ピーター・グライムズ」の舞台にも荒涼たる雰囲気はとてもよく出ておりましたが、あと少し欲を言えば、塩の香りといった生々しさが欲しかったところか。

Peter_grimes1

Pg_most

手持ちの音源は4つと、映像ひとつ。

①ハイテインク指揮 コヴェントガーデン歌劇場
    ロルフ・ジョンソン、ロット、アレン

  なんといってもハイティンクのシンフォニックかつ、ふくよかな音楽が素晴らしい。
  歌手も豪華なものです。
  この音源をついに国内発売なかった罪造りなEMIさん。

②デイヴィス指揮 ロンドン交響楽団
    ウィンスレード、J・ワトソン、M・ムーア


  デイヴィス2度目のロンドン響ライブ。
  幕が進むごとに、熱気をどんどんはらんでくるところがさすがデイヴィスのライブ。
  
③ヒコックス指揮 ロンドン交響楽団
    ラングリッジ、J・ワトソン、オーピ


  オケ・合唱ともにヒコックスの熱い指揮のもとに一体となって迫力満点。
  ラングリッジの性格歌手ぶりも特徴的。逝っちゃってます。

④ブリテン指揮 コヴェントガーデン歌劇場
    ピアーズ、C・ワトソン、ビーズ


  作者と共同作業者によるスタンダード盤。
  なにもいうことはございません。
  かつては、ブリテンの音楽はブリテンの演奏しかなかった。
  いまや、多様な演奏者によって、いろんな側面の演奏も認知されるようになった。
  ブリテンやバーンスタインの音楽は、自演がスタンダードなのでなく、
  その音楽がいまやスタンダードになったのだ。
   ピアーズのように、PGを歌う歌手はもういないかも。

⑤ウェルザー・メスト指揮 チューリヒ歌劇場
    ヴェントリス、E・マギー、ムフ


  ずっと未開封で忘れていたDVD、かれこれ3年。
  ワーグナーかシュトラウスでも上演できそうなメンバー。
  パウントニーの演出。
  最初だけ見たけど、どうにもドイツ臭ただよう雰囲気。
  近く視聴予定。

あと、作曲者以外の初録音となったC・デイヴィスの1度目のフィリップス録音が欲しいです。映像で見れますが、J・ヴィッカースの入魂の歌唱は、ワーグナーやヴェルディで感じる粘っこい違和感を微塵も感じさせず、むしろピーターの特異性を浮き彫りにしてます。

こうして、いくつも音源を揃えてしまうのは、音楽が素晴らしいからです。

わたくしの場合、ワーグナーといい、R・シュトラウスといい、そしてプッチーニも、その音楽が大いにすきだからずっとハマっているのです。
それに加えて、その音楽とドラマが不可分となってなりたっている作品存在の素晴らしさが並々ならないからです。ブリテンやコルンゴルトもそのひとりとして最近は加わってます。

その次ぎ、多様な演出の解釈や、演奏・歌の違いを楽しむようになるのです。
でも行きすぎた解釈は困りもの、なにもそこまで風の過剰演出がドイツを中心に常態化してしまい、バイロイトまでもその後追いをするありさま。
アメリカは、メットも徐々に脱保守をはかりつつあるようだが、まだまだ安心の領域。
そして、ほどよくちょうどいいのが、わが日本の劇場かもしれません。

モネ劇場からレンタルを受けた今回のプロダクション。
同様に、コヴェントガーデンでも上演されていて、すでに完成された舞台は、簡潔ながらも求心力が高くて、装置や読替えによる役者なみの演技などが伴わなくても、群衆の凝縮された動きと、それに対峙する人物、それひとつでブリテンの音楽に雄弁な奥行きを与えてやみませんでした。
素晴らしい上演でした。

ブリテンのオペラは全部で16作。もう少し長生きして欲しかった生涯にわたって、手掛け続けたジャンルです。
「ピーター・グライムズ」を含む初期のものは規模も大きく、旋律線も豊かで聴きやすい。
やがて、より緊張感の高い室内オペラを編み出し、明快でユーモラスさも加味したり、ミステリーや文学作品を素材に選び、さらに宗教色濃い渋い世界にも足を踏み入れ、自身の多様なオペラのスタイルを確立。
ここにあるのは、常のテーマとする「キリスト者の目線、無垢でピュアな存在、平和希求、社会的疎外者への理解」などとわたくしは理解してます。

わたくしのブログでとりあげた作品は10作(※)、あと6つ。
来年の生誕100年には、全作制覇したいと思ってますが、入手できない音源もあり難渋してます。

  ①「ポール・バニヤン」       1941
  ②「ピーター・グライムズ」     1945    ※
  ③「ルクレティアの凌辱」     1946  ※
  ④「アルバート・ヘリング」          1947    ※
  ⑤「ベガーズ・オペラ」               1948   
  ⑥「オペラを作ろう」                  1949
  ⑦「ビリー・バッド」                    1951  ※
  ⑧「グロリアーナ」                    1953  
  ⑨「ねじの回転」                      1954  ※
  ⑩「ノアの洪水」                       1957
  ⑪「真夏の夜の夢」                  1960   ※
  ⑫「カーリュ・リヴァー」               1964   ※
  ⑬「燃える炉」                          1966  ※
  ⑭「放蕩息子」                         1968    ※
  ⑮「オーウェン・ウィングレイヴ」   1970   ※
  ⑯「ヴェニスに死す」                  1973


聴きでがあり、探究しがいのあるブリテンのオペラです。

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コメント

じわじわと舞台の感動が甦ってきましたブリテンであります。あの観終わった後固まってしまった観劇の記憶は、そう容易く消えるものではありません。
そうなると、ブリテンの少なくとも出版された95作品全てを入手せずにはいられなくなりました。買ってきたCDは全部Accessに入れて整理してますが、抽出したところ、未だ30/95という状態。オペラも10/16(「黄金の虚栄」をオペラとするなら17)。先は長いし手ごわいが、異版を除けば未だ14作を残すロッシーニに比べれば、まだ先は見えたようなもの。
「燃える炉」「オペラを作ろう」「ノアの箱舟」「放蕩息子」は廃盤でもアマゾンUSAで中古が入手可能なデッカのボックスⅢ、「こじきオペラ」はカーニー指揮のシャンドス盤、「ポール・バニヤン」もヒコックス指揮でシャンドス盤があり、いけそうです。

投稿: IANIS | 2012年10月15日 (月) 22時01分

IANISさん、こんばんは。
わたしもまだ引きずってます。
オペラ以外を網羅して数えたことはありませんが、こちらも相当集まったと思いますが、おそろしいのは同じ演奏のダブル購入であります。
それと、ブリテンの場合、未出版作品がまだまだ相当数ありますので、未知作品との遭遇も楽しみであります。

オペラ手持ちは12作品で、あと4つです。
「オペラ作り」「ベガーズ」「ノア」「ヴェニス」の4つです。
わたしもamazonで目星を付けてまして折をみて、クリックするのみですが、オリジナルジャケットがどうも欲しくて躊躇してるところです。
それにしても、ヒコックスの死はこんなところでもイタいですね。RVW、ディーリアス、ウォルトン、ティペットなどのオペラを全作やってくれたはずですからね。

投稿: yokochan | 2012年10月16日 (火) 23時11分

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