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2012年10月28日 (日)

バッハ ミサ曲ロ短調  ヘンゲルブロック指揮

Harunasan_momiji

先週行った群馬県の榛名山にて。

色付き始めた紅葉。

この週末は、さらに濃くなってることでしょう。

雨の降り出した日曜、部屋から見える公園も黄色やオレンジの葉が増えてきましたよ。

今日は、そんな窓の外を見ながらロ短調ミサを。

Bach_mass_hengel

     バッハ  ミサ曲 ロ短調 ニ長調

   トーマス・ヘンゲルブロック指揮 フライブルク・バロックオーケストラ

                        バルタザール・ノイマン合唱団  

                   (1996.10 @ゲーニンゲン、福音教会)  


調性がふたつ表記されてます、このヘンゲルブロック盤。
ご承知のとおり、自作からの転用も多いバッハ作品だが、このミサ曲も数々の引用がなされております。
さらに、ミサ曲として一貫して書かれたわけでなく、1724年から最晩年の1749年にかけてのものを集大成した作品群である。
このあたりは、多説あり、ややこしくて、わたくしも不明です。
いろいろ詳しく書かれてますので検索するとたくさん出てきますね。

そして、基調となる調声はニ長調で、全5部27曲の大半。
ロ短調は、冒頭のキリエほか、シリアスな決めどころで登場。
ここにある調性併記も納得できる処置ですが、やはり「ロ短調」は「ロ短調」。
「ロ短調ミサ」と呼び親しんできたわけなので、「ロ短調・ニ長調ミサ」ではどうもね・・・・。

もう15年も前の録音ながら、今年入手して、気に入って折に触れて聴いてきたのが、このヘンゲルブロック盤。
ヘンゲルブロックは、昨年のバイロイト音楽祭で「タンホイザー」を指揮したが、そのバイロイトデビューを知った3年ほど前に、遅ればせながら知った人。
その「タンホイザー」は、すっきりと軽快、見通しのよい演奏で、数年間のプロダクションがどう熟してゆくか楽しみだったけれど、1年で降りてしまった。
練習時間などで劇場側と意見が合わなかったとされますが、真相は不明。
(ヘンテコな演出を嫌ったのかも・・・・、ちなみに、今年はティーレマンがピンチヒッターで、来年は若杉さんのその任にあったライン・ドイツオペラのアクセル・コベル。)
そのヘンゲルブロックは、現在は北ドイツ放送響の指揮者となり、契約も延長され順調なようで、今年、来日も果たしていて、その折も好評だったそうな。聴きたかった。
 古楽から現代音楽まで、指揮者であると同時に舞台プロデューサーでもあるマルチ芸術家なのだ。

この「ロ短調ミサ」の演奏は、シュヴェチンゲン音楽祭で舞台ステージ付きのバージョンで上演されたあと、ゲーニンゲンの教会で録音されたもの。
そのステージ写真がジャケットを飾っていて、9人のアクターがこの曲のイメージをそれぞれ演じるもののようです。
演出は、アハイム・フライヤーとヘンゲルブロック。
フライヤーは、ちょっと奇抜で前衛的な演劇系の演出家で、どこかで見た名前だと思ったら、84年のハンブルクオペラの来日公演でのドホナーニ指揮「魔笛」を観てました。
青い舞台に、妙な衣装に、手品のような演出は私が初めて観る、普通じゃない演出でありました(笑)。

今回は、音だけなので、この赤い舞台は気にせずに。

ピリオド系の演奏なので、キビキビとメリハリある早めの展開で、全曲は1時間50分。
ノンヴィブラートもここまで練れているとまったく違和感なく、むしろ暖かみと潤いさえ感じる境地に至っております。
全編に感じる、軽やかな透明感は実に魅力的でして、数ある古楽系の演奏の中でも、そのナチュラルぶりは出色のものと思いました。
合唱はリブレットの名前を数えると27人と少人数で、その中からソリストが曲ごとに入れ替わって担当しているので、ソロの方の記載はこちらではしませんでした。
しかしながら、それぞれ実に見事なもので、全員がソリストといってもいいくらいの優秀な合唱です。
ですから、ソロと合唱が均一な統一感があって、これもまた全体に落ち着きとバランスのとれた安定感を及ぼす結果となっているように感じる。

それと同時に、ともに同じヘンゲルブロックという指揮者を仰ぐオーケストラと合唱のこれまた均一感。どちらも、過剰なヴィブラートを配し、見通しのよい透明感あるサウンドを根ざしており、教会の澄み切った残響が実によく映える美しさに心洗われる思いがします。

バッハの音楽というのは、その演奏方式も多彩で、それぞれを受けとめ、逆に音楽が演奏そのものを包みこんでしまう懐の大きさがあるのでは、と思います。
従来より多くの名演を生みだしてきている「ロ短調ミサ」のなかでも、ヘンゲルブロック盤は、なかなかにユニークで美しい演奏なのではないかと思います。
宗教観や高度な芸術感とはまた別の次元で、音楽の楽しみと日常の営みなども融合させたかのような格式張らない普遍さもあります。

峻厳なるリヒター、優しさに溢れたヘルヴェッヘ、歌と明るさのアバド(FM録音)、祈りの音楽の高みなる境地に達したシュナイト(ライブ)。
まだまだ少ない「ロ短調ミサ」のレパートリーに、もうひとつ追加です。
軽やかな透明感のヘンゲルブロック。

次ぎは誰の「ロ短調」を聴きましょうか。    

  ヘンゲルブロック 過去記事

 「ヴォジーシェク 交響曲」

 「バッハ マニフィカト」

 「ワーグナー タンホイザー」

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コメント

今晩は。近況報告のメール、お読みいただけましたでしょうか?少しショッキングな内容で驚かせてしまって申し訳ありません。気持ちはメールを書いたころに比べると大分落ち着きました。
 ロ短調ミサはバッハの声楽作品の中で最も好きな曲のひとつです。高校時代にリヒター指揮のCDで初めて聴いて、「神の声を聴くような曲だな」と思いました。ヘンゲルブロック盤は、2008年に出たDHM50周年記念ボックスでもっています。リヒターとは全く違うけど素晴らしい演奏ですよね。ヘレヴェッヘは未聴ですがこれも素晴らしそうですね。シャイー&ゲヴァントハウスがこの曲を録音してほしいと思っています。マタイがユニークだけど実に面白い演奏でしたから。

投稿: 越後のオックス | 2012年10月29日 (月) 22時44分

越後のオックスさん、こんばんは。
ご加減はいかがでしょうか。
ばかで、みょうに元気なわたくしには、お掛けする言葉も見当たらず、申し訳なく存じますが、ともかく明るいお気持ちを捨てず、そしてなにより音楽を忘れてはいけません!!
絶対、なんとかなりますよ。
後にメールいたしますね。
で、バッハの音楽はどんなときにも、心を支えてくれますね。
この日曜日はヘンゲルのロ短調を一日聴きました。
どんな演奏でもきっとロ短調はロ短調で、わたしはカラヤンでもリヒターでも感動はおんなじだと思ったりもしてます。
シャイーもきっと求心力あふれる演奏を聴かせてくれるのでしょうね。

投稿: yokochan | 2012年10月29日 (月) 23時25分

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