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2012年11月29日 (木)

ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 マリナー指揮

Tokyo_tower_201211

冬の寒気が入った11月のある晴れた日の東京タワー。

やはり、東京にはなくてはならないこのタワーの居住まいの正しさ。

キリッとしてます。気持ちよかです。

Beethoven_sym3_marriner

  ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」 変ホ長調

     サー・ネヴィル・マリナー指揮

           アカデミ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズ

                      (1982.6 ロンドン)


写真にもお似合いの、気持ちいい爽快「エロイカ」を。

わたしのフェイヴァリット指揮者のひとり、ネヴィル・マリナーの指揮する、いわゆるアカデミー室内管弦楽団の演奏で。

重厚でもなく、淡白でもなく、ベーレンライターでもなく、ピリオドでもなく、ごくごく普通のエロイカ。
英国紳士が、何のこだわりもなく、見通しのいい、ちょっと小ぶりの編成のオケで、サラサラっと演奏してしまった感のあるエロイカ。

いつもマリナーのことを、あっさり君とか、さらさら、とか言ってしまい、そこが大好きっと言い放つワタクシですが、ここでも半ば同じことが言えまして、楽譜を真っ正直に音にして、さらに、歌い回しも過剰にならずに、最低限にとどめる劇性は、何度も繰り返し聴くのに、まったくほどいい按配。
2000年くらいまでは、そんなマリナーの美質が、この手兵との演奏の数々では毎度いえること。
昨今のN響への客演や、スペインのオケとの共演などでは、劇性とメリハリをかなり増して、驚くばかりのダイナミズムを効かせた演奏を披歴するようになった。
長老巨匠として、行き着いた境地なのだろうか。
小粋な演奏を聴かせる一方で、ベートーヴェンやブラームスに熱い想いをぶつけるような強い音を鳴らすようになった。

それもこれも、愛すべきマリナーなのですが、本当は、それ以前のいわゆる、アッサリ君のマリナーの方が、かねてよりのマリナー、親しんできたマリナーなのかなと思うワタクシなのです。

そんな思いが、しっかり叶えられる音源のひとつが、フィリップスレーベルへのベートーヴェンです。
先に述べたような印象が全部聴いてはおりませんが、しっかり味わえますものの、それゆえ個々に、ベートーヴェンの音楽の作風変化もこうした演奏だからこそ、ちゃんと味わえます。
妙に、先鋭的になったり、これみよがしにグワッーっと鳴ったりすることもなく、中庸の枠組みのなかに、室内オケ的な見晴らしの良さと独特なリズム感が実によく生きてます。
普通誰もここがいいと言わないであろう、3楽章が何故か、むちゃくちゃ素晴らしかったりしました。
快速テンポでスイスイ進むスケルツォは、ピリオドのようなせわしなさはなく、軽快そのもの。オケの小回りの良さも特筆もので、こんな気持ちいいエロイカ3楽章はないです。
 連続する終楽章も、ノリの良さは抜群で、やはり快速急行。
各変奏場面、フルートソロに刻まれる背景オケの軽やかさは、透明感にそのまま通じるもので、終始爽快に、薄目に、快調に運ばれ、一気に最終を迎える寸法だ!

繰り返しを励行した1楽章は17分の長さだが、明るく俊敏で、健康的。
2楽章でも、テンポは落としつつも、透明感を保ちつつ終始重たくならないスマート葬送行進曲だ。

約50分の演奏。
少し軽めな印象に書いてしまいましたが、これはこれで、音楽する喜びと、それを受け止め聴く喜び、双方がナイスな気分になる、ある意味内容の豊かなベートーヴェンだと思いますよ。
あれこれガチガチに考えず、ベートーヴェンは、ときに、軽やかな気分で演奏することも大事ではないでしょうか。

1804年の作。革新さと巨大さ、ナポレオンにまつわる逸話。
そんなことは、あまり気にせずに、交響曲第3番な演奏がマリナーでした。

マリナー&アカデミーのベートーヴェンは、なかなか入手難でして、わたしもまだ6曲しか聴いてません。
タワレコあたりが、全集として復刻する予感ありですよ。

Marriner1jp

マリナーの過去来日公演の様子~レコ芸より

過去記事~「マリナーの第9」

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コメント

マリナー卿による英雄ですね。素敵です。おっしゃるとおりあっさり味で好ましい。3番も何度も演奏会で弾きました。かなりつらい曲です。9曲の中でも神経を使う曲です。みんな知ってるし失敗が許されない。その割りには技術的に難しいのです(私にとってです)。
1回でも弾いた曲は全体も部分も知り尽くしているので、他の演奏を聴くときも深いところまで聞くことができて楽しいです(素人レベルですが)

投稿: モナコ命 | 2012年12月 1日 (土) 17時15分

モナコ命さん、こんにちは。
おお、さすが、演奏者の方の見解は深いですね。
たしかに、これだけの名曲となりますと、聴く側も曲を知り尽くしているので、演奏の内容に耳が向きますので、奏者のみなさんは大変ですね。
そんな風に思ったことはなかったのですが、たしかにそうですね。

でも、演奏する皆さんのようには、もしかしたら聴けてない自分もある意味悲しいような気もしてしまいました。。。

投稿: yokochan | 2012年12月 2日 (日) 12時00分

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