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2012年11月24日 (土)

神奈川フィルハーモニー 第285回定期演奏会 金 聖響指揮

Landmark

ランドマークプラザのツリー、今年は、デビュー40周年、「Yuming Tree」。

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ハートには、ユーミンの歌がメロディとともに書かれておりますよ。

誰しも、思い出をきっと持ってるユーミンの歌を心に浮かべながら、みなとみらいホールへ向かいましたよ。

Kanaphill_201211

  ベートーヴェン  ピアノ協奏曲第5番「皇帝」

         Pf:ゲルハルト・オピッツ

  R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」


      金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

              (2012.11.23 @みなとみらいホール)


たくさん埋まった休日の定期公演。
前半は、皆さま待望のオピッツを迎えての「皇帝」。
わたくしにとって初オピッツ。

ステージに登場したオピッツさん、ふくよかな大きい方で、にこにこといかにも感じのよさそうな雰囲気ですが、やはり一流奏者としてのオーラを感じさせるものが早くもありました。
でも、白いお髭でサンタさんみたい(いつもいい香りで惑わされるシュークリームのオジサンも)と思ったわたしはいけませんかね。
鎌倉にも居をかまえて、日本滞在を楽しむ親日家のオピッツさんに、登場した瞬間とても親しみを覚えました。

そして冒頭弾き始めから驚いたそのしなやかなタッチと音色の美しさ。
まったく予想外でした。
ドイツ本流筋という認識にあったものですから、がっちり堂々たる威容でせまりくるピアノを想像してました。
たしかに、フォルテや早いパッセージなどは、余裕のある強い音をしっかり響かせてますが、それらも含めて、音の表現の幅がとても大きく、聴くわたしたちに、ともかく安心感を与えてくれるピアノ。
そんな柔軟でリリカルなピアノの響きが最高に美しかったのは、第2楽章。
歳を経て、ベートーヴェンの緩徐楽章に魅力を感じ始めました。
そんな思いを優しく包んでくれる包容力と内省的な語り口に溢れた素晴らしいオピッツさんの演奏でした。もう、涙が出そうになりましたよ。
この人のピアノでなら、シューベルトは間違いないでしょうね。
ドイツ的・ドイツ本流なる曖昧なる言葉の無意味さを感じたオピッツのピアノ。
それは、暖かく親しみと、曖昧さのない明晰な美しさでした。

オピッツのCDは恥ずかしながら、誰もが聴かないであろうスクリャービンの協奏曲しか持ってませんでした。これからもっと聴いていきたいと思いますね。

聖響&神奈川フィルは、誠実に、そしてこのオケならではの美しさでもってバックをつとめておりました。
3楽章コーダでの、ピアノとティンパニとの対話が静かななかでありますが、ホールに響くティンパニの音がとても印象的でした。
だがしかし、この場合はバロックティンパニでなく、そして配置も対抗に合わせた右端でない方を聴いてみたかった気がしますね。

後半は、ステージぎっしり、ゴージャス・シュトラウス。

ベートーヴェンの「皇帝」から「英雄の生涯」までの年月は87年。
ひと一人の人生のほぼ一生分の月日は、音楽の変化について例えると途方もなく大きい。
ロマン派の幕を開いたベートーヴェンに、後期ロマン派として行き着いてしまい、ロマン派の幕を降ろしたR・シュトラウス。
この対比が耳にも、歴史的なお勉強を経た脳裏にも刺激的なるコンサートです。

ベートーヴェンもいいが、わたしにはやはりシュトラウスの方が好みです。
34歳にして書いた最後の交響詩。
このあと、あの味わい深いオペラたちをずっと作曲してゆくことになるのですから恐ろしい才人であり、職人です。

冒頭、「英雄の旋律」は、もう少し深い「えぐり」が欲しかったが、すぐに音は温まってきて全開の心地よさ。おォ~、シュトラウス!って感じで、もうワタクシの心は舞い上がってしまいましたよ。
メンバーも変わりつつあるのかしら、でも相変わらず鉄壁の木管群が鮮やかだった英雄の敵たち。
それからいよいよ登場、石田コンマス!
いやぁ、千両役者ですね。完全にオケ引っ張ってましたが、ソロで出てくるとホールの空気をその繊細かつ艶やかな音色でもって一変させてしまう。
 濃厚にならない、神奈川フィルの魅力満開の極美の世界でもって聴くシュトラウス・サウンドは、この愛の場面でもって早くも最高潮に達した感があり、わたくしは泣いてしまいました。
 対する戦闘の場面では、もう、もう手に汗握る大スペクタルに興奮の坩堝。
聖響さん、いつもの動きながら、意外と冷静に振ってますが、出てくる音楽が超かっこいいもんだから、聴いてる方はじっとしていらんない。
思わず手が体が動き出すのをとどめるのに必死でしたよ。
 そして、英雄の動機が力強く晴れやかに回帰するところでは、もう感動は最高潮。
大きく体を揺らしながら音楽に入り込んで演奏しているオケの皆さんを見ていると、さらにその感動も高まってきました。
 散漫になりがちな、過去作の回顧の場面は、しっかりとそれらの旋律や、隠れたところでささやかれるように鳴る一節が、実によく聴こえてきて見通し抜群です。
若い佐藤さんのコールアングレがよかった隠遁と平安の場面。
石田ソロがここでも最後、素晴らしくて、有終の美を飾るように、儚くも後ろ髪引かれるようで、だんだんと切なくなってきて、ここでもまた泣きそうになってきました。
若いホルン女子も、しっとり艶やかに決めてくれました。
弦楽器は動きを止めて、管と打楽器だけでのフィナーレは研ぎ澄まされるように、音がどんどん清涼感を増してゆくのが見事でした。

そこで訪れた静寂は、緊張感と満足感を楽しむ素晴らしい瞬間でした。

そのあと、ホールはブラボー混じる大喝采となりましたことは申し上げるまでもありません。

やっぱりよかった聖響&神奈川フィルのR・シュトラウス。

来シーズンは「アルプス交響曲」(沼尻指揮)、「ばらの騎士」(ゲッツェル指揮sign01)が控えてます。
神奈川フィルのシュトラウスは最高ですよsign01
在京オケをお聴きの方、是非とも、来シーズン聴きにいらしてくださいnote

興奮さめやらぬなか、喉の渇きも覚えつつ、定期演奏会に伴う有志の懇親会に移動。

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メンバーのおひとりがまるで店長さんのよう(?)な、横浜地麦酒「驛の食卓」へ。

おいしい数々の鮮度高いビールを飲みました。

初めての方、楽団の方をお迎えして今宵もコンサートの続きがまだ続いているかのような楽しいひと時でした。

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2軒目も行きます、ハイボール。

外飲みですよ。

こうして、昼のコンサートなのに、終電近くまで過ごすといういつものパターン継続中なのでした。
月一回の楽しみです。

皆さま、お疲れさまでした。
そして、多忙でも、いつも素晴らしい音楽を聴かせていただいている神奈川フィルにも感謝ですnote

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コメント

今日は。私めは、オピッツ氏のCDはブラームスのピアノ独奏曲全集しか持っておりません。外連味の無い、いい演奏ですが。スクリャービンを録音していたことは知りませんでした。
 友人で宮城県の某所に住んでいる者がいて、地元の仙台フィルを応援しております。ブログ主様が神奈川フィルを応援するのと同じぐらいの気合が入った応援の仕方です。
 地元に応援できるプロの立派なオケがあるクラヲタの人が羨ましいです。
 ベートーヴェンもシュトラウスも聖響さん&神奈川フィルならではの名演だったようで何よりです。
石田コンマスとホルンの女性奏者の方も素晴らしい演奏をしてくれたようですね。
私は、今日、懸念のシュトラウスのダナエの愛とダフネとコンロン指揮のマクベス夫人のDVDを買いました。感想などは後日書かせて下さい。某通販サイトに書くと例の変な人にからまれますので。ああいう御仁には「見っともないからおよしなさい。もっとでっかいことなぜできぬ」というクレージーキャッツの歌の歌詞をお贈りしたいですね。

投稿: 越後のオックス | 2012年11月24日 (土) 16時58分

越後のオックスさん、こんばんは。
予想通り、素晴らしいシュトラウスでした。
オーケストラを聴く喜び、ここに極まれり、そんな感じに尽きます。
それが心から応援する神奈川フィルだからよけいに感動も増しました。
北から南まで、各地にオーケストラはありますが、東京は数が多過ぎて、聴く側も思い入れを込めるオケが正直ないのではないかと思います。
ゆえに、わがオケといえる存在は、東京以外、ということになるのかもしれません。(そうでないという方、すいません)

オピッツは、驚きの初対面でした。
調べたら音源は豊富にありますの。
ご案内のブラームスも全集ありますし、グリーグ全集もあるんですね。
なんだか、どれもこれも聴いてみたくなりました。
困ったものです。

DVDレヴュー、またよろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2012年11月24日 (土) 22時11分

どうもお世話になりました。それにしても、よく飲みましたねぇ。何時間呑んだのでしょう。
それもこれも演奏がよかったからだし、美音に酔って、お酒に酔って、全く幸福なことです。おかげで今日は二日酔い気味の1日、それも心地よしです。
オピッツに「英雄の生涯」大盤振る舞いの演奏会でしたが、明日に行けないのが残念。
もう一度しっかり耳に刻みたかったです。
12月の定期がないのが残念ですが、小田原でまた美酒を楽しみましょう。
ありがとうございました。

投稿: yurikamome122 | 2012年11月25日 (日) 03時12分

今晩は、よこちゃん様。 忘れずに見ましたぜ。「題名のない音楽会」今日の聖響氏、力みのないお顔つきに見えました。
クラシック以外も神奈フィル良いじゃあ~りませんか!
「銀色の道」なんざ泣けますぜ!ううっ(嗚咽)
私、ロシア民謡というかダーク・ダックスが大好きでしてコンサートも数回行っています。緞帳が少しずつ上がっていくその向こうから「とお~い、とおぉ~い、はるかなみちを~。ボンボボンボ」4人のハーモニーが、すばらしくってねぇ…当時はまだ小娘でしたが、それゆえ感激しちゃって。神奈フィルが純粋だった頃の自分を思い出させてくれました。ありがとう。ただ、コーラスのお兄さん方はあまりいただけなかったかな?
やっぱり生神奈フィル聴いてみたいですね。なかなか病気の家族を抱えていると遠出が出来ないので難しいですが、いつかきっと…

投稿: ONE ON ONE | 2012年11月25日 (日) 22時18分

yurikamomeさん、先日はどうもありがとうございました。
自宅PCがついに死亡。
ご返信が遅くなりました。
あれだけ飲んだのも久しぶりですが、やはりいい音楽が聴けてテンションアップしたおかげですね。
オピッツのきれいなピアノ、神奈川フィル総力のR・シュトラウス、いずれも耳を離れません。
小田原計画楽しみですね。
またどうぞよろしくお願いします。

投稿: yokochan | 2012年11月26日 (月) 17時57分

ONE ON ONEさん、こんにちは。
ご覧になりましたか、「題名なし」。
神奈川フィルは、ポップスオケも兼任してまして、こうした演目は得意中の得意なんですよ。
最後の銀色の道には、わたしも虚をつかれました。
ほろりとしましたね。
確かにあの4人のコーラスはイマイチだったかも・・・・。
しかし、トップメンバー勢ぞろいのオケはいつものとおり、いい音してました。

りゅうとぴあに遠征すればいいのですが、もし機会があれば、きっときっと聴いてくださいね!

投稿: yokochan | 2012年11月26日 (月) 18時02分

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