「皇帝」と「英雄の生涯」 神奈川フィル定期前夜祭
街にはイルミネーションがあふれてまいりました。
以前より書いてます、「わたしはイルミ男、ルミヲ」です(笑)。
冬の楽しみは、夜の街を美しく飾るイルミネーション。
節電の厳しさも、LEDで解消できるようになり、今年はまた鮮やかな冬が期待されます。
もちろん、懐厳しく、取り巻く環境も尋常でないけれど、イルミに癒されるのは事実ですし、心にともし火を忘れちゃいけません。
こちらは、千葉そごうのJR入り口です。
明日は、神奈川フィルハーモニーの定期演奏会。
月に一度の楽しみであります。
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
2012年11月23日 (金・祝) 14:00 みなとみらいホール
11月25日 (日) 14:00
グリーンホール相模大野
コンサート前日、これらの曲の、わたくしのいま好きなCDを聴いてみることにしました。
ベートーヴェン ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
Pf:フリードリヒ・グルダ
ホルスト・シュタイン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(1971.ウィーン)
これは、いまではなく、ずっとずっと好きな「皇帝」。
いや「皇帝」はおろか、ベートーヴェンの5つの協奏曲は、みんなこのグルダの演奏が好き。
国内LPのオリジナルジャケットはもう手に入らないけれど、録音当時のグルダの様子がよくわかるものでした。
どこかお茶目で、なにかをしでかすかもしれないという期待も感じさせるグルダの演奏姿。
その姿は、演奏にも反映されていて、キラキラとゴージャスにいくと思えば、あっさりと通りすぎたり、かと思うと、じっくりと立ち止って内面から磨き上げたような渋さを表現してみたり。油断ならないいつものグルダなのですが、それがモーツァルトやベートーヴェンの場合、自分の音楽としてしっかり消化して極め尽くしているから説得力が高い。
威圧感をまったく感じさせない、ノリのいい「皇帝」です。
シュタインは金管をガンガン鳴らすものの、小回り豊かなな小粋さもウィーンフィルとともに表出できていると思います。
ワーグナー指揮者だけど、そのお姿とは程遠い、センスのいい指揮者だった。
ともに、鬼籍に入ってしまったのが信じられないコンビです。
R・シュトラウス 交響詩「英雄の生涯」
クリスティアン・ティーレマン指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(2002.9 ウィーン)
このCDが発売時、即購入したのが多分2004年だったかと思います。
私生活が超大変で、ティーレマン、そう、シュトラウスね・・・って感じで、流して聴いてしまい、じつはこの11月まで忘れ去っていた1枚です。
それがなんということでしょう、聴いてみたら驚きの強演!
いまをときめくティーレマンは、10年前からなんの変わりもなかった。
聴くわたくしの耳も変わった(?)
かつて感じた時代めいた腰の重さと、押しの強さ。
ワーグナーのオペラでも、意図的に加えるパウゼの多さに辟易としていた頃で、さすがにオーケストラ作品ではそんなことは少なかったものの、どこかそのイメージが、あの剛直な指揮ぶりとともに印象として刷り込まれていたように思う。
バイロイトでのワーグナーの諸作、ことに「リング」でのもの凄い集中力と巨大で緻密な相反する音楽づくりに度肝を抜かれてから、ティーレマンは侮りがたい存在として、再び、わたしの中で記憶されることとなりました。
そんな耳で聴いた「英雄の生涯」は、まさにそうした印象をしっかりと刻印させる見事なもので、くどいほど、崩壊寸前なほどに強調されるクライマックスに、むちゃくちゃ心動かされてしまったのです。
こういう風に感じる聴き方、そして、世にティーレマンが絶賛されること。
これは、音楽の受け止め方、聴き方が変わりつつあることなのでしょうか・・・・。
即断はできませんが、この人の存在は、そいした意味でも大いに着目し続ける必要があると思いました。
ですから、崇高なる戦いの腹の底まで達する太鼓の圧力や、その半面として愛情あふれる濃厚な愛の場面などは最大公約数的なまでの見事さです。
ウィーンフィルという名器が、難なくそれらをこなしていることは申すまでもありません。
間違いなく、神奈川フィルで聴かれる演奏とは、「皇帝」も「英雄の生涯」も別世界的な演奏を選択しました。
いずれも名曲。音源も相当あります。
皆さまの、愛聴盤はいかがでしょうか。
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コメント
こりゃまた挑発的な!
ベートーヴェンの第五協奏曲はそれほど好きな曲ではないのですよ。けれど、「皇帝」っぽくなくて逆に清々しく壮麗な演奏ということであれば
①ペライア
②シフ
です。ちなみにバックは・・・というとyokochanさんも絶対納得のハイティンクであります。①がコンセルトヘボウ、②がSKD。これで感動しなかったら嘘ですわな。
ちなみに、グルダの演奏は、シュタインの指揮の素晴らしさとグルダのピアノの切れで、デッカの往年の鍵盤の師子王の演奏より好きでした。高校のころ、友達のおじさんの家で聴いたんですけれどね。
「英雄の生涯」は、ライヴで3回聴いてます。
バレちゃんとシカゴ、ティーレマンとウィーン・フィル、そしてハイティンクとシカゴ。
その中でも最高だったのは、「当然」ハイティンクでありました。シカゴ(ベアーズよ頑張れ!)としては80%程度の音量でありましたが、みなとみらいより小さなりゅーとぴあで聴いたティーレマンとウィーン・フィルや、多目的ホールの新潟県民会館の記憶など木端微塵に粉砕してしまった圧倒的なパフォーマンスでありました。ロバート・チェンのソロもキュッヒェルの演奏がかわいく見えて(聴こえて)しまったなぁ。まぁ、ティーレマンとハイティンクを比較すること自体おこがましいですが。
音源としては20枚程持っていると思うけれど、そのシカゴ・リザウンドのハイティンク=シカゴと、やっぱりカラヤン。それも70年代の最も「らしかった」演奏ですかね。デジタル録音の「英雄の生涯」は、ベルリンの音色やアンサンブルに疲れが見えて痛々しいです・・・。
投稿: IANIS | 2012年11月23日 (金) 01時29分
IANISさん、まいど、こんにちは。
わたしも、皇帝は、さほど好むわけでなく、今年始め10年ぶりぐらいに真剣に聴きました。
しかし、ハイティンクは、奏者からひっぱりだこということもあって、ベートーヴェン録音がともかく多いですね。
あげられた2種に、アラウとブレンデルですから。
シフはまだ聴いたことがありません、SKDゆえに興味シンシンです。
そして、シカゴとの英雄の生涯は、わたしのほうはサントリーホールで聴きましたが、オケは全開、指揮者は少し力を抜きながらも誠実きわまりない演奏でした。
そう、わたしもカラヤンは忘れがたいですね。
それもEMI録音のもの。
重厚でデラックス、皮ジャン着たカラヤンはカッコよかった!
投稿: yokochan | 2012年11月23日 (金) 11時47分