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2012年12月23日 (日)

ベートーヴェン 「フィデリオ」 ベーム指揮

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樅の木の匂いも好きです。

大好きクリスマスツリーです。

1年の一時しか楽しめないのが残念でなりませんよ。

でも今日は、クリスマスとは関係ない音楽を。

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  ベートーヴェン  歌劇「フィデリオ」

   レオノーレ:グィネス・ジョーンズ フロレスタン:ジェイムズ・キング
   ドン・フェルナンド:マッティ・タルヴェラ ドン・ピツァロ:グスタフ・ナイトリンガー
   ロッコ:ヨーゼフ・グラインドル   マルツェリーネ:オリヴィア・ミランコヴィッチ
   ヤキーノ:ドナルド・グローベ    第一の囚人:バリー・マクダニエル
   第2の囚人:マンフレッド・レェール

    カール・ベーム指揮 ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団/合唱団

         演出:グスタフ・ルドルフ・ゼルナー

                  (1969、70 ベルリン)


ベートーヴェン唯一のオペラ「フィデリオ」は、わたくしはどうにも苦手でして、驚くべきことに、その音源をレコード時代からいまに至るまで所有しておりませんでした。
その音源をたどると、フルトヴェングラー、クナッパーツブッシュ、ベーム、カラヤン、バーンスタイン、ショルティ、ハイティンク、デイヴィス、アバド、ラトル・・・・・綺羅星のごとくの指揮者たちがその録音を、そのときの名歌手たちを起用して残しております。

それらをひとつも持ってません。
これまでは、FM放送のエアチェック音源で聴いてきましたから、曲の隅々まで把握はしております。ベームのバイエルン国立劇場の上演ライブです。

何故?といわれてもなかなか答えられませんが、モーツァルトのオペラにある人間の心の機微を照らし出したような万華鏡のような先天性、ワーグナーの劇的かつ有無をも言わせぬ壮大な総合劇音楽。でもベートーヴェンのオペラには、そうした力が欠けているように常に思ってました。

新国立劇場での上演も体験しましたが、妙に浮ついてしまった演出が歯切れ悪くて、上記の印象をやはり払拭できません。
そこで投入したのが映像によるオペラ映画としてのベーム盤。
購入3年目にして、ようやく視聴いたしました。

1

懐かしいベームの指揮姿、名歌手たち、それもワーグナー・メンバーの見事な歌唱、リアルで余計な解釈のない演出。
これらがわたくしの「フィデリオ」苦手を変えてくれるか?

そう、結果は上々でした。

これならいいかもです。

2

美しいソロや重唱、劇的なアリアなどが引き立つ無難な映像は、40年前のものとは思えないクオリティで、まるで夫婦愛を唱和するかのようなオラトリオのような「フィデリオ」を楽しむ最良の在り方のように思いました。
CDだと台詞が苦痛だし、当時の因習としての番号オペラの繋ぎと場面の居座りの悪さ、そのあたりがテレビドラマを見るようなこの映像作品では緩和して感じたのです。

初版から最終版まで、9年をかけて、3度も造り直した苦心のオペラだけれど、ベートーヴェンはオペラの世界では、革新性も幕開けも切り開くことができなかった。
でも、いまではそれもベートーヴェンと、納得して微笑ましく、このオペラが持つ素敵なアリアや重唱を楽しむとします。
それと、レオノーレ序曲第3番の挿入は、そのあとがあっけない幕切れだけに、かえって劇性を弱めるものとして不要に思えます。

5

でも、この物語はかなり無理とありえない理想とがありますな。
女性が男装して、娘の許嫁にまでされちゃうという無理。
ちょっと触ればバレますがな。
夫を埋める穴掘り作業についてきて、早く手伝えといわれても、なかなかやらないレオノーレ。しかも女性にゃ、そんな重労働はムリだよな。
極めつけは、悪漢ドン・ピツァロが刃を向け、そこに躍り出たレオノーレ。ピストルを手にしていながら、相手は手ごわい悪代官。そこに偶然、というかあまりのタイミングのよさでもって来訪する正義の味方の大臣さま。でも、ここでの緊迫感と鳴り渡るトランペットの劇的な効果。これは実にすばらしいです。
とってつけたような賛美の合唱によるフィナーレ。。。。
でもこれらを受け入れて真摯にベートーヴェンを聴いていこう。

厳しい眼差しのベームが繰り広げる劇的かつ緊張感の高い指揮によって、この映像はピシリと一本筋が通ってます。

4

若いデイム・ジョーンズの声の張りとその清々しさ。
キングのフロレスタンは、数あるヘルデンによるフロレスタンのなかで最高。

3

わたしにとっての「ザ・アルベリヒ」、ナイトリンガーの貴重な映像ははまり役。
グラインドルもタルヴェラも、いずれも懐かしい60年代バイロイトの充実期を担った人たち。

なんだかんで楽みました「フィデリオ」。
晴れて、アバドのCDを購入してみようか!

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 過去記事

  「新国立劇場 上演 2006年」

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コメント

  お早うございます。佐村河内交響曲演奏会チケットゲットおめでとうございます。
 ブログ主様がフィデリオが苦手とは思いませんでした。でもベームのオペラ映画版で克服できて本当に良かったですね。実は私も5~6年前にベームのDVDフィデリオをネット通販でゲットしようとしたことがあったのですが、品切れで地団駄ふんで悔しがった記憶があります。かわりにアーノンクール指揮チューリヒ歌劇場のフィデリオを買ったのですが、指揮者もオケもカウフマンをはじめとする歌手たちも好演しているのに、フリムの演出がどうしても好きになれなせんでした。主要登場人物のほとんどが拳銃を持っていること自体私には「?」でした。あの後、レニーのDVDフィデリオが入手できて本当に良かったです。
 ベートーヴェンの序曲についても一言。アバド指揮ウィーンの名盤で聴いておられるのがアバディアンのブログ主様らしいです。私はレオノーレ序曲3番はレニーの演奏が好きです。レニーがウィーンフィルと録音してくれなかった1番と2番はジンマン指揮トーンハーレの溌剌とした演奏を愛聴しています。

投稿: 越後のオックス | 2012年12月29日 (土) 09時17分

越後のオックスさん、こんにちは。

フィデリオは、記事のとおり、どうも縁遠かったオペラですが、思い入れ強いベームのこの映像で、完全とはいえませんが、かなり近くにやってきた感じです。
このオペラの場合、変な演出でなく、オーソドックスなものの方が絶対にいいですね。

序曲全曲を録音しているのは、あとカラヤンですが、いまは廃盤でしょうか。
ジンマンのベートーヴェンは一部しか聴いたことがないのですが、出た当初は鮮烈でしたね。

投稿: yokochan | 2012年12月30日 (日) 12時37分

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