ルネ・コロ クリスマス
今年、いろんな街で見たなかで、等身大で捨てがたい魅力を持ったツリーです。
ツリー評論家(?)としては、大きくなくとも、少々華美で輝かしいものが好き。
そして色合いは、近年のブルーやグリーン系のものもいいが、暖かな暖色系がいい。
こちらは、その背景がエルサレムの土や壁を思わせる茶系で、照明も白昼暖色。
さらにもう一枚。
ツリーと並んで、リースも美しいですね。
意外と気づかないかもしれませんが、リースは年中飾られてます。
でも、この冬のシーズンの夢見るような美しさは随一でして、商業施設でのこれらの飾りの行方ってどうなるんだろうと、いつも思ってますよ。
そう、欲しいんですよ!
ルネ・コロ ヨーロッパのクリスマスを歌う
テノール:ルネ・コロ
ジークフリート・ケラー指揮ダラウンケ交響楽団
(1978.6 @ミュンヘン)
不世出のヘルデン・テノールのひとり、「ルネ・コロ」。
ワーグナー好きは、必ずそのタイトルロールが英雄的テノールなものだから、それらを歌えるテノール歌手が好きになるんだ。
毎度、自身の年代を基準に申しますが、わたしのワーグナー・テノールは、ヴィントガッセンに始まり、やはりヴィイントガッセンに終るわけなのですが、その後継者の数人までが、恥ずかしながら今にいたるまでのヘルデンの需要歴なのです。
それは、J・キング、J・トーマス、J・コックスの先輩J軍団。
コロを筆頭として、P・ホフマン、J・イェルザレムの次世代巨頭。
80年代後半以降の、彼らの次の世代たちは、正直いって、個々にはすぐに名前が思い浮かびません。
実際に、実演もCDもDVDも経験してても、その名前が脳裡に残らないのです。
それに比して、ルネ・コロの強烈な個性といったらどうでしょう。
祖父・父がベルリンのオペレッタの作曲家。
ウィーンとも違う、少し硬派な甘味でシニカルなベルリン・オペレッタ。
オペレッタまで、硬軟巧みに歌いまくるR・コロの背景には、そんな環境があるのでした。
トリスタンやジークフリートを歌うテノールが、クリスマスにまつわる伝統的な音楽や、オペラの音楽シーンを軽やかに、そして豊饒な歌声で歌いまくるこの1枚。
1987年に発売以来15年間、クリスマスには必ず聴くCDとなっております。
ドイツのクリスマスは、どこか素朴で、暖炉ばたで、ろうそくの火を家族みんなで囲む、そんな暖かいイメージがあります。
アドベントは、クリスマス4週間前の日曜から、1本ずつ、ろうそくをともしてゆき、クリスマスの日に4本目が灯る。
そしてモミの木のツリーの風習も、ドイツから広まっていった。
きっと、クリスマスを祝う人々は、音楽や歌でもって厳粛かつ親密な雰囲気を楽しんだのでしょう。
数々のクリスマスの歌がドイツやオーストリアから生まれてます。
その代表は近世では「清しこの夜」ですよ。
そのグルーバー作の名曲も、ここではコロの暖かな歌声でもって味わえます。
CDの冒頭は、ミュンヘンのフラウエン教会の鐘の音が鳴り響きます。
次いで、古謡「こよなく美しく鐘は鳴る」が、静かに心に沁みるように歌われます。
全19曲をここでは紹介できませんが、ビゼーの「神の子羊」、プッチーニ「ラ・ボエーム」、モーツァルト「アヴェ・ヴェルム・コルプス」、バッハ=グノー「アヴェ・マリア」などの本格クラシカルから、古謡や有名どころのクリスマスソングがたっぷりと、R・コロの美声でもって味わえるわけです。
おまけに、コロの自作のポップな作品までチョイスされてます。
最後には、こんどはベルリンのグリューネバルト教会の鐘でもって厳かにこのCDは終わります。
テノール歌手のなかで、R・コロが一番好きであります。
来日のたび、ほとんどを聴くことができました。
タンホイザー、ヴァルター、ジークフリート、パルシファル、詩人の恋。
惜しむらくはトリスタンを聴きもらしたこと。
今宵は葡萄酒も効きます。
ほどよい酩酊で、甘くて真摯なR・コロの歌声がとても気持ち良く響いております。
みなさま、メリー・クリスマスです
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