ベートーヴェン 交響曲第5番 ボールト指揮
秋葉原もずいぶんとオフィス街が増えたし、中央のメイドさんがたくさん立ってる通りを逸れれば落ち着きのある都会的な街並みへと変貌したものだ。
朝などは、サラリーマンやOLさんが驚くほど降りる街になりました。
この街を歩く人々の雑多といってはなんですが、多様ぶりは世界レベルでもユニークなものではないでしょうか。
ベートーヴェン 交響曲第5番 ハ短調
サー・エードリアン・ボールト指揮 ロンドン・プロムナード・フィルハーモニック
(1957? ロンドン)
何をかいわんや、第5です。
いまや第5は、マーラーとチャイコフスキーも、まったく無視できない第5となってます。
本家ベートーヴェンの方は、苦難を経て歓喜へという、ここから始まる交響曲の常套的な構成理念の大御所作品ゆえに、聴いてて恥ずかしくなってしまうくらいにわかりきった作品となっております。
ですが、さすがは古今東西、誉れ高い名曲。
ピリオドやノンヴィブラート奏法、ベーレンライター版などの数種の版。
それらを経てのち、いまこそ新鮮に、そして本流に聴こえる従来型ブライトコプフ版。
鳴りきる音楽の豊かさと、たっぷりとした響きに、ロマン派の芳香。
それが5番あたりになると、こうでなくっちゃ、っと思います。
英国紳士ボールトの高貴なるベートーヴェンのちゃんとした音源は、ヴォンガード時代に数曲あって、今回の5番もそのひとつ。
以前にも、少年時代のダイアモンド1000シリーズの懐かしさを吐露した、「英雄」の記事を書きました。
CD化された英雄とのカップリング曲が第5で、こちらはCDになっての初聴きでした。
手兵の実態ロンドン・フィルとの息のあった端正な一筆書き的な演奏は、この前の「英雄」とその心象を同じくするものであります。
冒頭から余裕をもったテンポで、じんわりときます。
決して慎重であったり、鈍調であったりすることはなく、英国演奏家ならではの中庸とおおらかな表現であります。
2楽章では、内声部の動きも実によく聴こえ、半世紀も前の録音と演奏にはとうてい思えないくらいのクリアーさです。
こんなところが、このボールトの演奏の特筆すべきところです。
加えて、3楽章から終楽章にかけては、思わぬほどの熱烈ぶりを示すところが、ボールトの剛毅なるところの一端でありましょうか。
それにしても終楽章のテンションの高さはなみなみのものではございません。
お得意のエルガーの交響曲は何種類か聴いてますが、淡白さと情熱が入り乱れるその演奏は、エモーショナルが一番に立つバルビローリのものと違って、ちょっと複雑に感じております。
これらのベートーヴェンも、熱き音楽の吐露と、少し覚めた高貴さとが不思議な配分でもって感じられる味わい深いもに思う。
いずれにしても、ボールトのベートーヴェンは、へたな最新の演奏を聴くよりも、いろいろなことを開陳してくれる素敵な演奏なのです。
1808年、6番といっしょくたになっての作曲で、4番ともラップ。
協奏曲、ソロ、室内楽、声楽にオペラ。
あらゆるジャンルに充実した作品を送り出した傑作ぞろいの年月過ごしたベートーヴェン。
そして、これより苦悩もますます増えてまいります。頑張れベートーヴェンと言いたい。
いま、ヤンソンス&バイエルン放送響がベートーヴェン連続演奏を行って列島を席捲中。
そんな旬の話題をとりまぜながら、楽しいクラヲタ飲み会でしたよ。
おいしい各地の地ビールと、まさにビールに合う一品の数々。
ワーグナーを熱く語ってしまいました・・・・・。
みなさま、どうもお世話になりました。
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