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2013年1月 9日 (水)

シベリウス 交響曲第2番 オッコ・カム指揮

Sagamiwan

相模湾に浮かぶ一艘の小さな漁船。

子供の頃、大磯港から出る釣り船に乗ったことがありますが、あいにくと波が高く、もう生きた心地がしない。
船酔いの恐ろしさは、二日酔いの比ではないのでした。

Oshima

目を転じれば、この日は大島がクッキリと見えておりました。

最近でこそ大島と言えば、貞子の島で、ちょっと怖いイメージもありですが、椿の島はこんな近くに見えるんです。

郷里の小山からの眺望です。

子供の頃から登っていたけれど、こんな景色は覚えていないところが子供の目線だったのでしょうかねぇ。

Siblius_sym2_kamu

  シベリウス 交響曲第2番 ニ長調

   オッコ・カム指揮 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

                 (1970.2 ベルリン)


その昔、ともかく気に入った交響曲がシベリウスの2番。
またもや70年代少年男の繰り言ですが、音楽入門はベートーヴェン、新世界、ジュピター、未完成・・・。
いまの若い方々は普通にマーラーやブルックナーから入りますよね。
でも、通常名曲かた入った、そんなわたしには、シベリウスの2番との出会いは鮮烈でした。

それは70年の万博の年に来日した「セル&クリーヴランド」の演奏会のテレビ放送でしたよ。
小学生でしたから、テレビでしか接することのできなかった綺羅星のごとく来日した外来演奏家のなかの一番が「セル&クリーヴランド」。

シベリウスの2番はこれが初聴き。
左手を水平にして指揮するセルの真摯な指揮姿もまぶたに鮮明に覚えてます。
終楽章の何度も訪れるクライマックスがやたらと印象的でした。
そのライブCDはすでに出ていて有名ですが、ちょっともったいなくて買う気がしなくていまに至ってます。
そのかわり、コンセルトヘボウとのフィリップスのレコードは聴いてましたが、そちらは、そっけなく味気もなく思ってました。
そんな思いから、かつての思い入れが崩れるのを怖がって、件のライブCDに手を出さないのかもしれませんね・・・・。

さて、長い昔話からかわって、でも、今回は古めの音源からですが、日本でもおなじみの、シベリウスの本場フィンランドのオッコ・カム。

しかも、カラヤン・コンクール優勝の余波をかっての当時、カラヤン以外は門外不出のベルリンフィルを指揮しての録音。

かつて、ヘルシンキ・フィルとやってきて、渡辺暁雄と振り分けたシベリウス・チクルスに夢中となったのが1981年。
大いに注目されはしましたが、その後はご当地指揮者的な存在でいまに至ってます。
昨今の音源が不足ぎみなので判断はつきませんが、この人あたり実は味わいある名手になっているのではないかと想像してます。

カラヤンのオケは、どこをとっても高性能で、ほれぼれするくらいに完璧!
それを指揮するカムの意向がどこまでかよっているかは不明なれど、各楽章の随所にあふれる歌い回しの豊かさ。
それがカラヤン的なうまさでなく、大らかで北欧の養分たっぷりみたいな自然の輝かしさにあふれているんです。

お国ものという概念は、われわれ日本人が好むものですが、こういう演奏を聴くと、音楽においては「お国もの」ご当地の方々をあがめてしまう概念がよくわかります。

北欧に行ったことがないのに、かの地のことをあれこれ想像してしまう最大公約数の景色や風物。

もちろん、わたくしは行ったことがありませんが、ときに鳴りすぎるベルリンフィルから、その威力をもてあましつつも、鼻に抜けるようなクールな寒気を感じさせてくれる2楽章は実に魅力的でした。
堂々たる終楽章では、若さの発露も見られ、熱くなります。

この録音と同年、例外的に行われたカラヤン以外の録音として、アバドのブラームスの2番もあります。
その清々しさと歌の発露は、ベルリンフィルが親分の監視を逃れて、気持ちよく演奏しているさまが聴き取れますが、ここシベリウスでもそれは感じることができます。
唯一の不満は、整いすぎていること。
ヘルシンキとの東京ライブでは、もっと熱く自在な要素もありますから。

カムさんは、日フィルの常連ですが、このところご無沙汰。
そろそろ、シベリウスのチクルスなどをまたやって欲しいところです。

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コメント

いつも読んでいます。
セル唯一の1970年来日初日公演、大阪フェスティバルホール10列一番右端の席に座っていました。プログラムもチケット半券もあります。オべロン序曲、40番ト短調シンフォニー、シベリウスの2番、アンコールのスラブ舞曲、演奏会冒頭の君が代も、耳に残っています。団員が退場した後、鳴りやまぬ拍手にこたえてマエストロが独りステージに姿を見せ、舞台下からさし出す聴衆の手を握っていました。忘れられないコンサート体験です。そして高校時代の思い出でもあります。

投稿: ornellaia | 2013年1月10日 (木) 11時23分

ornellaiaさん、こんばんは、はじめまして。
ご覧いただき感謝です。

あの伝説の演奏会をお聴きになられたとはまったくもって、伝説級の経験をお持ちでらっしゃいますね。
曲目もそうです、それでした。
テレビ観劇の私には、子供ゆえモーツァルトは印象薄く、シベリウスとオベロンが鮮烈でした。
オベロンは後年、ザンデルリンクとドレスデンという刷り込みもテレビ観劇の経験でした。

セルは音源でしか体験していないファンのなかで、ともかく希少なご経験です。
セルの名前がそういえば最近薄れつつあるようです。
CBSのオリジナルジャケットで、集大成化をあらためて行って欲しいものです。

貴重なお話をコメントいただき、まもとにありがとうございました。
今後もまたよろしくお願いいたします。

投稿: yokochan | 2013年1月11日 (金) 22時30分

高校生時代からセルの音盤が大好きでした。英雄や第9、ブルックナー8番、ギレリスとのベート-ヴェン、モーツァルト39番40番、ドヴォルザーク8番などなど、レコードで繰り返し聴きました。セルとクリーヴランドオーケストラの実力、録音された音でずいぶん損をしていたように思います。最近SACDでセルの音盤を聴き直しています。高価ですが音は格段によくびっくりするほどの違いです。実演を彷彿とさせます。残念なのはタイトル数が少ないことです。特にベートーヴェン、ブラームス、ブルックナーあたりがSACDになって耳にできればと願っています。

投稿: ornellaia | 2013年1月13日 (日) 11時33分

ornellaiaさん、こんにちは。
セルがお好きなのですね。
私の方は、レコード時代、廉価盤となったときにかなり集めました。
たしかに音は1枚ヴェールがかかったようで、イマイチの印象が残ってます、CD時代初期の復刻もそれはかわりませんでした。
SACDは、いずれは導入してみたいと思いますが、そんなにいい音なんですね。
きっと聴いてしまったらもう後戻りできなくなっちゃうのでしょうね。
セルの音源の高音質化がますます進むといいですね。

投稿: yokochan | 2013年1月14日 (月) 11時46分

数年前、家の改築を機に地下室にオーディオルームとワインセラーを造った友人が埼玉にいまして、そこで初めてSACD体験をしました。信じられないことをやる友人です。簡単に表現すると音のベールが1枚も2枚もめくれて透明になりしかも柔らかくなります。早速DENONーSA1(定価50万が30万を切る価格で)を購入し今にいたっています。CDの音もよくなり且つSACDも聴けるようになり大満足です。セルの盤演だけでなくワルターの田園やブラームス4番、ポリーニのエチュードなどなど、CDの音を飛び越えた演奏を耳にすることができ大満足です。ソフトの数は十分でありませんがぜひチャレンジを!

投稿: ornellaia | 2013年1月16日 (水) 10時28分

ornellaiaさん、こんばんは。
埼玉のご友人は、まさにワタクシの理想郷のようなものをおつくりになったのですね!
そしてornellaiaさんも、夢のようなSACDを。
ヨダレが出てきてしまうようなお話ばかりです。

いまのわたくしの環境では、物理的にも金銭的にもハードルがあまりに高いことですが、それを目標に頑張りたいと思います!
SACDはともかく聴いたら虜になると言われてましたから、その暁まではじっと我慢です。

投稿: yokochan | 2013年1月16日 (水) 23時48分

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