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2013年1月29日 (火)

ブラームス ピアノ三重奏曲第1番 ピリス

Snow_morning_20130128

1月28日の朝、6時過ぎに出発のためカーテンを開けたら、まだ暗い外は銀世界でした。

千葉県のそれも一部がこのような積雪で、東京は降っても千葉は雨とかいうことが多かっただけに早出の機先を制されました。

ただ、新雪のサクサク感は気持ちよかった。

東京と逆方向に向かう息子の学校は、この日、休校になったそうな。

Bragms_pianotrio_pires

  ブラームス  ピアノ三重奏曲第1番 ロ長調

        Pf:マリア・ジョアオ・ピリス

        Vn:オーギュスタン・デュメイ

        Vc:ジャン・ワン

               (1995.4@ベルリン)


寒波が緩んで、少し暖かく感じる晩に、ブラームスの室内楽を。

先般の神奈川フィルでは、ピアノ四重奏曲のシェーンベルク編曲版を堪能し、その先、去年の10月にはバイエルン放送響のヴィオラ首席とわれらが神奈フィルの山本さんご夫妻でその同じ四重奏曲を聴きました。
ヴィオラを外して今度は3三重奏。

ブラームスの室内楽は、3曲セットが多いです。
ピアノ四重奏曲に、この三重奏曲、そして弦楽四重奏曲、ヴァイオリン・ソナタ。
あと、2曲セットが、弦楽五重奏曲に弦楽六重奏曲、チェロ・ソナタ、クラリネット(ヴィオラ)・ソナタ。
あとは単品で、ホルン三重奏、クラリネット三重奏、ピアノ五重奏、クラリネット五重奏。

こうやって並べて俯瞰してみると、そのどれもが完全無欠の作品ばかりで、わたくしのブログではまだ手薄いこの分野を、これらの音楽が少しずつ埋めていくかと思うと、気持ちがほのかに高鳴る思いがします。

この1番のピアノ・トリオは、作品番号8で、1954年、ブラームスまだ21歳の音楽。
ところが、その36年後、最円熟期の1991年に大幅に改訂していて、それが今聴けるこの第1番の姿となっている。
その初版はどんなだったか、聴けるんでしょうかね?
若さみなぎるその頃の作品は、ピアノソナタや少し後の協奏曲の1番があり、ピアノを中心とした作曲ならびに演奏の活動中だった。

その若書きを、晩年に足を踏み入れた頃に手を加えるとは、よほどにこの曲に愛着があったのか、それとも最円熟期の筆致で持って姿を変えてみたかったのか。
2番と3番と順番が逆とも思える風格を確かに感じます。
38分という演奏時間や曲の構えからしたらそういうことになりますが、もともとさらに長かった部分を短縮して、しっかりとした構成感をもたらしたことからでしょう。

しかし、ここに聴くあふれかえるくらいのロマンと、若々しい芽吹きのような清々しい旋律線は完全に若き筆によるものと思わせます。
ことに、第1楽章第1主題の旋律。まずピアノに始まり、次いでチェロが情感が徐々に高まるようにして歌う最高潮で、ヴァイオリンがそこに加わり、3者のユニゾンとなるとき、まるで深呼吸したくなるようなあまりの気持ちのよさに、目も潤むくらいです。
大きな1楽章はこの主題を軸に、少しばかりの晦渋さもまじえて進みます。

そして、スケルツォの第2楽章では、中間部のトリオが愛らしくとても素敵。
3楽章では、ベートーヴェンのソナタの緩徐楽章的な深遠さを感じさせる出だしで、どこか傷つきやすいシャイなブラームスって感じですが、この感受性豊かな音楽も悪くない。
後年のしかつめ顔は窺われません。
若さの横溢と晩年の抑制された様式とが同居したような終楽章は、ちょっと難しく感じますが、何度も何度も聴くと、若いブラームスの熱気が勝るような気がしてきます。

ピリスとデュメイの名コンビに、ジャン・ワンを加えた清新なブラームスは、実に素晴らしい1枚であります。
 ワンさんが明るく飛び出しそうなところを、デュメイの登場でかっちりと収まるような感じもありますが、3人が、曇りなく、どこまでも繊細かつクリアーな音色で、ともに同質の内面的なブラームスを根差しているのがわかります。

名曲・名盤といっていいですね!

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コメント

 今晩は。ブラームスの室内楽は、どれもいいですが弦楽四重奏曲とピアノ三重奏曲は特に好きです。四重奏曲はアルバン・ベルク旧盤とボロディン、ピアノ三重奏曲は、カッチェン・シュタルケル・スークの演奏で聴いています。ブログ主様がブラームスの曲を取り上げられるのはワーグナー、R・シュトラウス、世紀末音楽、英国音楽と比べると少ないですね。お嫌いではもちろんないのでしょうが…
 ピリスというピアニストはすごい人だという噂はよく耳にするのですが、いまだに演奏を聴いたことがない不届き者が私です。モーツァルトのソナタなんか「音色の美しさに涙が出た」なんて書いてる方がいましたね。
  ブリリアントのブラームス室内楽全集が欲しくなっており、購入するかもしれませんが、こういう全集を買ってしまうとコツコツと買いそろえる楽しみはなくなってしまいますね…

投稿: 越後のオックス | 2013年1月30日 (水) 18時59分

大変素晴らしい盤を採り上げて下さり、うれしいです。ブラームスの室内楽、非独墺人の演奏が結構はまる事が多いと思います。デュメイとピリスのヴァイオリンソナタもいいですね。

投稿: faurebrahms | 2013年1月30日 (水) 19時24分

越後のオックスさん、こんばんは。
ブラームスは無論好きですが、どうしても交響曲とドイツレクイエムに偏りがちです。
室内楽と器楽の森には、これから向かいますのでよろしくお願いします。
ピリスは、やはりモーツァルトから入りましたが、病後のDGにおける痛々しいまでの感受性の高さには本当にまいりました。
まとめ全集は、いい面となおざりにしてしまう面と功罪ありますが、音楽を楽しむ気持ちに変わりはないですよね。
いいと思います。

投稿: yokochan | 2013年1月31日 (木) 23時07分

faurebrahmsさん、こんばんは。
この演奏は、世評が高いですね。
お二人のソナタも愛聴しております。
逆に独墺系の演奏が珍しくなってきている昨今ですね・・・・。

投稿: yokochan | 2013年1月31日 (木) 23時09分

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