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2013年2月 8日 (金)

グリエール 交響曲第3番「イリヤ・ムーロメッツ」 ダウンズ指揮

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宵闇に包まれるころの、桃色の梅の花。

これまた官能的な香りにあふれてまして、時節柄、猫たちの呼びかけが聞こえてしまいそうな雰囲気でした。

暖かかった昨日の画像ですが、今日は青空がきれいでしたが、うってかわって、冷たい風の吹き荒れる凍るような寒さでした。

西新宿方面に出向いたのですが、ただでさえ強い風がビル風でもって何倍にもなって歩くのにも難渋しました。
おかげで、髪の毛かなり持ってかれて、あと○○本しかなくなっちゃったじゃないか!

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芝増上寺と東京タワー。

ここで、きゃりーぱみゅぱみゅがコンサートやっちゃったんだよね。

シラフでも言えないその名前。
酔って言ったら、オヤジのワタクシには、「きゃりーぴゃぁむぴゃぁむ」になっちまって失笑を買うのでありました。

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  グリエール 交響曲第3番 「イリヤ・ムーロメッツ」

    サー・エドワルド・ダウンズ指揮 BBCフィルハーモニック

                   (1991.9 @マンチェスター


レインゴリト・グリエール(1875~1956)は、ウクライナ出身の作曲家で、その生没年を見ると、スクリャービン、ラフマニノフ、シェーンベルク、シュレーカーなどと同世代で、後期ロマン派の最終地点にあった人のひとりと年譜上は認識されます。

キエフ生まれで、プロテスタント系、モスクワで勉楽し、タネーエフなどに学んだ後に、ドイツ・ベルリンに留学。
帰国後、作曲活動とともに後進の指導をおこない、プロコフィエフやハチャトリアンもその教え子の中に見出せます。
その間、ロシアはソヴィエト連邦となり、グリエールは国の中枢を担う音楽家となったが、そうした経緯もあって、いま、その姿や音楽の大半は目に耳に届きにくいものとなってます。
ソ連邦後は、その音楽が赤系とみなされたりしたことも、その一因だったかもしれません。

バレエ「赤いケシ」、ホルン協奏曲、コロラトゥーラ協奏曲、そしてこの交響曲ぐらいしか目にすることができないグリエール。
子供の頃から、ストコフスキーやオーマンディのレコードで気になっていた今日の「イリヤ・ムーロメッツ」は、気になった時から、ほぼ40年を経て、一昨年入手したCDでその実際を知ることとなり、ときおり聴いて練習してきた音楽なのです。

ドイツ勉学時代は、きっと同輩の音楽家と交流し、まさにマーラーの音楽やワーグナーも聴いたに違いありません。

約80分にもおよぶ4楽章の標題音楽的な交響曲は、あまりに長大で、聴く前に恐れをなしそうな巨大な先入観が伴いました。
しかし、CDで初期のオリジナルの姿が1枚に収まるようになり、なによりも、マーラーの交響曲に慣れてしまった我々聴衆には苦にならない長さと、ほどよい後期ロマン派風な濃厚さ加減。
これは正直、魅力でした。
思ってもみない濃厚サウンドに身も心もやられちまいました。
 第2楽章の緩徐楽章ともいうべき「ナイチンゲール(夜鳴きうぐいす)」の歌であります。
20分にも及ぶ濃厚後期ロマン派サウンドを、こうしてロシア系作曲家の、本格シンフォニー、しかも故国のウクライナの伝承伝記から生まれた音楽に聴くとは思いもよらないことでした。
ともかく素晴らしくロマンティックで、甘~い。
これを予備知識なく聴いたら、シェーンベルクやツェムリンスキー、アルヴェーンなどとわからなくなるくらい。

WIKIや他の記事によれば、Rコルサコフなどの影響も大とされますが、後期ロマン派好きのわたしには、その系統の流れが、とてもうれしく反映さえた音楽と移りました。

「イリア・ムーロメッツ」は、10~14世紀に活躍した英雄「イリア・ムーロメッツ」の物語を音楽化した作品。
え??・・・、何世紀も?
不滅の破天荒な英雄。
ということになるのですが、そこはロシアの物語。

 老夫婦のもとに生まれたときは、ちょっと不具合だったけれど、どこからか旅の老人があわられ、イリアを強大な人物にする薬をさずける。
世直しの旅に出たイリアは、途中、各所で無二の親友となり、その力も授かる男と出会う。
それらの中の悪妻のひとりから無理無理に誘惑され、知らないうちに育った息子には殺されかけてしまいす。
 それよリ戻って、キエフの王様から大いに信頼を得るも、その宴会に招待されなかったことをとがめて、大暴れしてしまうイリアもなんぼのものだろうか。
最後は、天軍に唾棄してしまったこともあり、仲間の勇志たちは石と化し、自らも同じく石になってしまう。


こんな荒唐無稽の物語の一遍を交響曲化してしまったグリエールです。

音楽は、さきのとおりですが、ダウンズ指揮のBBCフィルの明るく、楽譜の隅々が聴こえる演奏は極めて魅力的なのでした。
ダウンズは、ワーグナーやシュトラウス、ヴェルディやブリテンの知られていないオペラを積極的に取り上げる指揮者で、ここでも無類の安心感があります。

ちなみに、この曲をおおいに評価したストコフスキーは作者に依頼し、長い曲を80分から45分に短縮し、演奏や録音に渡った。
オーマンディの録音も、その版によるものです。
ダウンズは、オリジナルの完全版。

この曲が完成されたのは1911年。
初演は翌1912年。
マーラーの没年は、1911年。

独・墺以外でも世紀末の音楽はしっかりと確認できるのでした。

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コメント

グリエールって、私のちょっと苦手なロシア系ど真ん中的(勝手な)イメージがあって聴かず嫌いだったのですが、濃厚な後期ロマン派の香りとなると、これは是非聴いてみないといけませんね。

きゃりーぱみゅぱみゅは、私も勿論言えず、金曜日も若い人達と飲んでいて「きゃりーぱむぱむ」で失笑を買っておりました。「きゃろらりんちゃろんぷ(だったかな?)〜きゃりーぱみゅぱみゅ」というフルネームを噛まずに言えるようにするのが目標ですが、とても無理そうです。

投稿: golf130 | 2013年2月10日 (日) 12時49分

golfさん、こんにちは。
作曲時期にもよるかと思いますが、かなり濃厚でした。
昔から気になっている「赤いケシ」を聴いてみたいと思ってます。

きゃりーは、その長い名前もまったくダメだし、第一覚えられませんねぇ~
どんどん忘れていきますし。悲しい~

投稿: yokochan | 2013年2月10日 (日) 13時33分

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