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2013年2月 1日 (金)

メンデルスゾーン 交響曲第1番 サヴァリッシュ指揮

Matsuya1

キリっと凛々しいお蕎麦屋さんの店構え。

ここは、「神田まつや」でございます。

蕎麦やでお酒を飲むという行為を、まさにこちらで学びました。

もう30年近くになります。

神田の某財閥グループの再開発から免れているこの須田町一帯にある由緒ある名店の中で、一番庶民的だし、誰もかれも等しく受け入れてくれるお蕎麦屋さん。

コンビニでコラボのカップ麺が出たり、なによりも充実のHPも最近はあったりして、古くからのお気に入りとしては、ちょっと不安になるのですが、でも、お店に行って盃を傾け、蕎麦をたぐれば、昔も今もかわらない良さが実感できます。

ちょっとレトロな紺色の制服を着たお姉さん(?)方の素晴らしい動きと、いい意味での客あしらいの見事さ。

ほんと気持ちのいいお店ですよ。

Mendelssohn_sawallisch

   メンデルスゾーン 交響曲第1番 ハ短調

    ウォルフガンク・サヴァリッシュ指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団

                      (1967.6 @ロンドン)


忘れてはいけない颯爽とした名曲と全集の一環のサヴァリッシュの名盤。

メンデルスゾーン(1809~1847)は、38歳の短い生涯に、オペラも数曲まじえ、あらゆるジャンルに幾多の作品を残した才人です。
 いくつかの曲しか聴くばかりの気がしますが、その音楽とともに、生涯を知り、掘り下げることも、そのユダヤ人としての出自と合わせ、そして革新と発見をいくつか行った背景なども含めて知ってみたい意外と未知な作曲家なのです。

1番の交響曲は、彼が残した交響曲のジャンルの番号でいうと第13番。
早春のような、弦楽のための交響曲があるためです。
こちらもいくつか録音があるものの、まったく聴かれることの少ない作品群です。
しかし、そんなにたくさん作っておいて、本格の1番を書いたのは、なんと15歳ですから。
モーツァルトやシューベルトに匹敵する早熟の天才なのです。

曲は、しっかりとした4つの楽章による均整のとれた聴き応えのある交響曲で、大人びた表情のなかに、明るく、そして音楽の諸先輩の影響と敬意を込めたシリアスさをもみなぎらせております。

ユダヤの血は流れていても、そして一族はビジネスで大成功して裕福であったとしても、メンデルスゾーンはドイツ人としての認識を強く持って、先達の偉大な作曲家たちの雰囲気を継承しつつ、メンデルスゾーンならではの伸びやかで屈託ないサウンドで独自性を作り上げたのであります。

その先輩の響きは、わたしには、ウェーバーが一番近く感じられましたが、上褐のとおり、後年も知るわたしたちには、まごうかたないメンデルスゾーンの音楽との認識しか持てません。
オペラの序曲のような、これから始まるドラマの予見みたいな1楽章
たおやかな2楽章は、後の「真夏の夜の夢」の午睡を誘うような雰囲気でロマン的。
中間部が、ベートーヴェンの第5のような運命的な兆しのあるユニークな3楽章。
急速で切迫感ある終楽章は、あふれるロマンと心情を抑えがたいような激情でもって進行するものの、コーダは短調転じて、長調となり妙に軽いコーダのエンディングとなる。
このエンドのパターンは、のちにもスコットランドで使われる感じですが、そちらとくらべるとまだまだの感がありなところが、若い兄ちゃん的なのでした。

サヴァリッシュがシューベルトとともにフィリップスに録音したこちらのメンデルスゾーンの全曲は、放っておくにはもったいない名演。
当時、クレンペラーのオケだった、ニューがついたフィルハーモニアのオケの爽やかさは、ロンドンのオケならではのものです。
気分いい演奏であります。

わが神奈川フィルでも、聴いたことがありるのですが、この曲は中途半端なピリオドではまったくいけませんでした。いまならいいかも。です。

おまけ画像

「まつや」のやきとり。

Matsuya3

「まつや」のもり。

Matsuya2

あ~、いま食べたいぞぉ!

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コメント

まつや、いいですよね(^^

凄い蕎麦を食べさせる訳ではありませんが
昼からお酒と蕎麦が気兼ねなく楽しめる
俗に言う「憩えるお蕎麦屋さん」ですよね
ビールの小瓶が置いてあるのがまた素敵です\(^o^)/

投稿: パスピエ | 2013年2月 2日 (土) 19時38分

こんにちは。
神田まつやさんの若旦那?は、実は私の幼馴染なのです(私より年上ですが)。
たまにテレビに映ったりすると「おお、こんなに立派になって」と思います。でも何か恥ずかしくて一度もお店には行ったことないです。変装して行ってみようかと母と何度も話しているんですが。あはは。ナイショですよ。

投稿: naoping | 2013年2月 3日 (日) 12時05分

パスピエさん、こんにちは。
まつやファンの声をこちらで聞けてとてもうれしいです!
確かに、ストイックなお蕎麦屋さんの高尚な味とは違いますが、まさに「憩える蕎麦屋」さん。
サラリーマン時代、昼を避けて、あえて遅くひとりで行くことがありました。
その時は、もりと、ごまの2枚。
懐かしさと妙な悔恨を感じるそんな蕎麦屋さんです。
小瓶のあとは、菊正の熱燗ですね!

投稿: yokochan | 2013年2月 3日 (日) 21時51分

naopingさん、どうもです。
まさかの幼馴染ですか。
もう何年も通っている「まつや」さん。
おばちゃん以外に、新卒風の若い女の子。
奥にはおじちゃんと、若い店主風な人がいました。

こうなったら、ヲタ会で行きましょうぞ!

投稿: yokochan | 2013年2月 3日 (日) 22時20分

yokochanさん

 ふうむ、こういう良いお店を沢山ご存知ですね。まさにクラヲタ会に最適では?

投稿: 安倍禮爾 | 2013年2月 4日 (月) 19時58分

安倍禮爾さん、こんばんは。

いや、これはクラヲタ会にはちょっと厳しいと思います。
自分を棚にあげて何ですが・・・・、あの会の酒量といったら半端なく(笑)、静かに、ささっと粋に飲む蕎麦屋酒のようには・・・・・・(爆笑)

でもいけそうな店は脳裏にありますので、今度検討していただきますね(笑)。

投稿: yokochan | 2013年2月 5日 (火) 21時57分

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