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2013年3月 9日 (土)

R・シュトラウス 歌曲集 サヴァリッシュ

Motomachi2

横浜元町でみつけた花のツリー。

もうセールも終わり、この花のイルミはなくなってしまったかもしれません。

ウォルフガンク・サヴァリッシュの追悼と、あの震災から2年という節目への思いを込めて。

ピアノの名手でもあったサヴァリッシュは、室内楽にリートに、演奏会でも録音でも、精力的に活動しておりました。
オペラハウスの総監督をしていて、勉強も含めて、どうしてそんな時間が作れたか。
これはもう、われわれ凡人の及ぶところではありませんね。

いずれも、サヴァリッシュがピアノ伴奏をしたR・シュトラウスを聴きます。

ずっと以前からの愛聴盤。気がついたらみんなサヴァリッシュがピアノを弾いていた。

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  R・シュトラウス    歌曲集

      ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ

              (1981.10 @ミュンヘン、83.9@ベルリン)


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  R・シュトラウス    歌曲集

       ヘルマン・プライ

              (1972.11 @ミュンヘン)


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   R・シュトラウス    歌曲集

       ルチア・ポップ

              (1984.9 @kloster seeon)


3枚のCDに共通する曲は、作品番号10の、「なにも」と「夜」。

シュトラウス18歳の若い作品の「なにも」は、女性賛美の朗らかな歌。
同じ時期の「夜」では、夜と森。ドイツならではのしじまを感じるロマンティッシュな作品。

明るい明晰な声と、言葉の意味合いの歌いだしの素晴らしさがフィッシャー=ディースカウ。

同じ明るい声でも、言葉への思い入れがもっと伸びやかで、近くにいつもいるお兄さん的な安心感のあるプライ。

蠱惑的なまでに、魅惑の声のポップは、微細な揺れ具合が抜群に愛おしい。
この方の声も、隣に住む気の置けないお姉さん声だった。

これら、わたしたちにとって、お馴染みで、いまや懐かしい歌声たちのピアノ伴奏を、名手サヴァリッシュは、その声を100パーセント理解したうえで、つかず離れず、巧みな在り方でもって、歌を引き立て、そしてシュトラウスならではの地中海的なクリアーさでもってもりたてています。

ほかの曲では、二人に共通して収録される曲で、あとこっちがあれば・・というような思いを抱く名唱・名曲があります。

FDとポップによる「帰郷」は、恋と故郷という懐かしい思いを感じさせてくれます。

シュトラウスの歌曲の中でも、もっとも好きな「明日には」~「Morgen」。
ここでは、プライとFDのふたりの素敵なバリトンで聴くことができます。

  そして、明日には太陽は再び輝き出るだろう

  そして僕の歩んでいく道すがら

  太陽は再びあの人に会わせ、幸せにしてくれるだろう

  日の光りを一杯に浴びている、この大地で

  そして、広々とした青い波の打ち寄せる岸辺に

  ぼくたちは静かに、ゆっくりと近づいてゆくだろう

  そして僕たちは黙って、目を見交わし合うだろう

  そのとき沈黙の密やかな幸せがぼくたちを包んでくれる・・・・。

               (ジョン・ヘンリー・マッケイ)


ここでも、耽美的なまでのピアノには、ほとほと参ってしまいます。
シュトラウスが描く世界は、ピアノ1台でも、極めて甘味でして、オペラの世界に通じるものです。
プライとFD、どちらも青春の切ないひとこまの、その一瞬を見事にとらえております。
切ないまでの美しさです。
願わくは、ポップの歌声でも聴きたかった。

同じく、ピアノのアルペッジョが魅惑的な「セレナーデ」は、これもFDとプライ。

有名な「献呈」は、わたしも歌いたいくらいの素敵な歌曲。
シューマンと並んで、大好きな歌曲を、ここでは真摯なプライと可愛いポップの歌で聴けます。サヴァリッシュのピアノは、ドラマティックかつ、オペラの一節のようです。

ほかにも、「万霊節」、「君を愛す」、「子守唄」、「ひどい嵐」などなど、伸びやかで屈託のない明るいR・シュトラウスの歌曲の魅力が味わえる名唱がそれぞれに味わえる3枚のCDなのでした。

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コメント

サバリッシュさん、亡くなったんですね。情報が遅い私はこちらのブログで初めて知りました。昨日のNHKの追悼番組で改めてサバリッシュのすごさを再認識しました。
なんといってもN響との演奏がインプットされてる私には「TVで見れるから」という発想でサバリッシュのレコードを買うことは敬遠されていました。最初に買ったのはウィーン響とのブラームスの1番と4番です。なんと、この2曲を1枚のLPに入れてあるんです。演奏よりも「どんな音質になるんだろう!」という観点から購入したのです。イケナイ私。音質も演奏もすばらしい内容で大学生であった私と友人は大いに驚いたものです。チャイコのピアノ協奏曲と悲愴という組み合わせもあったような記憶があります。とにかく組み合わせが無理な録音時間のLPでした。
ご紹介のピアノ演奏もすごい人だったなあ。指揮もお手本になるくらいうまかったし。ワグナーの演奏も好きだった。

投稿: モナコ命 | 2013年3月11日 (月) 12時11分

モナコ命さん、こんばんは。
そうなんですよ、サヴァリッシュさん、先月に亡くなってしまったんです。
いつでも近くに安心感があると、なかなか改まって聴きにいかないものですが、引退してかなりの年月が経ちましたが、いまこの喪失感は大きいものがあります。

あの超ロング廉価盤をお持ちでしたか。
わたしも、レコード店にいっては、手にとって眺めていましたサヴァリッシュのブラームス。
2番と3番も対で1枚でしたね。
いまは、それらはCD2枚の余裕のカッティングで聴いてます。
サヴァリッシュではありませんでしたが、テイチクの廉価盤は、いつもそんな大胆カップリングでしたね。

サヴァリッシュはまさに先生のような指揮者でした。

投稿: yokochan | 2013年3月11日 (月) 23時41分

 お早うございます。演奏会観劇お疲れ様でした。サヴァ先生やデイヴィス卿が亡くなられたのは悲しいことですが、生きてればいいこともありますよね。神奈川フィル本の刊行、マーラー10番のCD発売、神奈川フィルの佐村河内演奏会、そして聖響さんの大活躍…
  「有名人が次々に死んでいく。このままでは有名人がこの世からいなくなってしまう」というジョークを飛ばした作家がいましたが、現実にはそんなことはありません。クラシック音楽界にも新しい人材が着々と育っています(聖響さんのように)。聖響さん、私とx才しか違わないのですよ。
  サヴァ先生が亡くなってからもう早いもので2か月ほどになります。1人で追憶企画をやろうと思い、先生が最も得意としていた「影の無い女」のCDを昨日全曲聴きました。冒頭のカイコバートの動機からもう華麗なシュトラウスの世界に引き込まれました。ルネ・コロやスチューダー、このころはバリバリだったのですね。シュトラウスは200曲も歌曲をつくっていますが、ピアノ伴奏歌曲もオケ伴奏歌曲もまだあまり聴いておりません。サヴァ先生の演奏でこれから聴いていきたいです。サヴァ先生の影の無い女はDVDも持っています。ただ、第2幕の初めのほうのバラクたちがドカドカと階段をおりてくるあたりで「ボスボス」というノイズのようなものが入るのです。マスターテープに起因するノイズであればまだ諦めも付くのですが、ブログ主様のはどうですか?問題の箇所でノイズははいりますでしょうか?
 余談ですが、クライバーのDVDばらの騎士の94年盤が昨日届きました。79年盤以上の出来栄えですね。フォン・オッターが美し過ぎるほど美しいですし、クルト・モルのオックスも傲慢で尊大でアホなんだけど何か憎めないところが最高です。クライバーの指揮には涙が出ました。どんなにわがままでもレパートリーが狭くても気難しくても、そのレパートリーの中でこれだけの演奏をしてくれるのなら許せます!

投稿: 越後のオックス | 2013年4月29日 (月) 08時41分

越後のオックスさん、こんにちは。
連休の狭間で、電話も鳴らず、ヒマなものですから、遅れてしまったコメントをお返ししております。
オーケストラを見ていても、特にテレビ露出度の高いN響あたりを見ると、若い奏者が増えました。
世代変わりは、どこもかしこも、ビジネスでも着々と進行しておりますね。

サヴァリッシュの「影のない女」は鉄壁の音盤ですね。
ベームと並んで、ひとつの指標であり続けると思います。
名古屋上演のDVDは、持ってますが、実はまだ開封しておりません。大昔にテレビで観て、それで終わって、DVDを所有して満足してるだけです。
しかしそのノイズはいただけませんね。
いつの日か確認させていただきます・・・。
カルロスのふたつのばらキシも、実は持ってるだけで、開封していないというていたらく。
どちらもテレビで観ているものですから。
と、こんな風に、時間がなくてどんどん時は過ぎ去り、こうしたコメントを拝見するとやたらと不安になる日々です・・・・。

投稿: yokochan | 2013年4月30日 (火) 10時43分

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