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2013年3月 3日 (日)

神奈川フィルハーモニー第288回定期演奏会 金 聖響指揮

Landmark

横浜ランドマークタワーには、クリスタル桜がお目見え。

枝には、スワロフスキーのクリスタルがふんだんに咲いておりました。

春はもうそこまで。

Kanaphill201303

   池辺晋一郎  シンフォニーⅧ「大地・祈り」 
               (神奈川フィル委嘱作 世界初演)

   レーガー    ヒラーの主題による変奏曲とフーガ

   ラフマニノフ  交響曲第2番

     金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

             (2013.3.3 @みなとみらいホール)



今シーズン最後の神奈川フィルハーモニー定期演奏会は、ご覧のような充実濃厚プログラム。
初演ものに、めったに演奏されない秘曲、ロシアン・ロマンティックサウンドの極。
それぞれ、25分、40分、50分と、超ロングなタイムで、休憩時間も短縮、ラフマニノフもいまや普通となった完全全曲版でなく、カット短縮版。
こうまでしても、コンサートが終ってホールをあとにしたのは、5時少し前。
ほぼ3時間、みなとみらいホールにいたこととなります。

まず、池辺さん、8曲目の交響曲の初演に立ち会うことができました。
みなとみらいホールの館長であり、神奈川フィルの評議員としてもわれわれにお馴染みの存在。
シリアスな今回の交響曲は、これまで社会の中での「個」の存在を探求してきたというが、「3.11」を受けて、自然と人間の係わりを見据えることなり、この作品が生まれたとご自身で解説を書かれております。

3つの章からなり、現代音楽然としたところがなく、とても聴きやすいもの。
オーケストラが入場してきて、、オヤっと思ったのが聖響さんのこだわる対抗配置でなく、通常配置であったこと。
その答えは、この池辺8番の冒頭、チェロとコントラバスの長いユニゾンにあったのでは、と思います。対抗配置で分断してしまっては効果がでないから??
この曲の詳細は流れるように聴いてしまったので、ここに記すことはできませんが、打楽器も多数登用し、フル編成のオーケストラによるサウンドは、ピアノからフォルテまでの幅広いレンジで効果満点。オーケストラを聴く醍醐味も味わえます。
大地、すなわち自然、最後は祈り。
中間章は無題で、そのイメージは聴き手にゆだねるとしてますが、解説をまったく読まずに挑んだもので、願わくはもう一度聴かせていただきたいところです。
佐村河内さんの音楽に魅せられているわたくし、しかも先の月曜に作者にも会い、その実演にも接したばかり。
不遜ながら、佐村河内音楽とだぶって聴いてしまったことも事実です。
最終場面で、ハープのグリッサンドが救いをイメージさせ、祈りが重なり倍増し、フルオーケストラは徐々にクレッシェンドしていきクライマックスを築く。
そこで終わりかと思ったら音は急速に弱まり、和風テイストとなって終了。
なかなか、印象的な曲でした。
繰り返しですが、再演を望みたいです。
池辺作品は、このあと9番が、この8番の理念を引き継いで書かれていて、独唱をともなうその曲は、9月に初演が予定されております(下野&東響)。

次いで難物レーガーのヒラー変奏曲。
この曲は昨年、この日のお勉強のために買ったヤルヴィ&コンセルトヘボウを、それこそ何度も何度も聴いて耳になじませておりましたので、思ったよりも楽に、そして楽しく聴くことができました。
モーツァルトと同じ頃に活躍したドイツの作曲家ヒラーのジングシュピール「花輪の収穫」の旋律を元にした主題と11の変奏とフーガ。
わたくしは、主題からひとつひとつ、指折って数えてましたが、なんと途中で分からなくなってしもうた。
急緩、強弱、相対比する音楽が次々と現れては、次へと移り変わってゆく。
モザイクのように張り巡らされ、情報量、音符の数も、ともに過多。
しかし、慣れてくると、こんなに面白い作品はない。
愛らしいヒラー主題が、ときにはその愛らしさそのままに、弾むようにしてときおり登場するのも楽しい。
刻みがやたらと多くて弦の皆さんはとくに大変だったのではないかと思われますが、オルガンも意識させる複雑さの裏にあるレーガーの充実した手法を堪能できました。
そして文字通り最後のフーガはバッハにも通じる壮大さでした。
よくぞ、このような曲を取り上げてくれたものです。
オケの皆さんは大変でも、出てくるその音色は、いつにも増して輝かしい神奈川フィルそのもの。
指揮がなにをしようとも、ちゃんと神奈川フィルだから安心して聴けるというものです。

前半でオケにはお疲れ様でしたと声掛けしたくなるほどの超ロング版。
休憩時間はもう3時30分。
ロビーには、池辺さんの次のN響アワーの進行役だった、作曲家西村朗さんもいらっしゃいました。

後半は、聴衆もオケもお手の物のラフマニノフ。
以前、現田さんの指揮する神奈川フィルで聴いた演奏が忘れられない。
そして今回、神奈フィルらしさが回帰しているのを確信できる美演でした。
ただ長く歌い継がれるメロディーの宝庫のこの作品。そのメロディーの橋渡し的な場面や、間の在り方が少し性急すぎるような気がして、連綿たる抒情の連続や色合いの変化に区切りがあるような結果にも聴こえた。
そのあたりは、のんべんだらりとした指揮に責任があるように思われる。
この曲を溺愛する私ゆえ手厳しいのです。

しかし、このオーケストラの魅力は、ラフマニノフやチャイコフスキーなどのロシア西欧タイプの作品を聴くとてきめんに感じ取れるものです。
煌めきとしなやかさ、そして華奢で都会的なスリムさ。
分厚い音で圧せられることがなく、強大な音でもすみずみまで透き通って聴こえる。
事実、普段聴かれない埋もれてしまうフレーズや主旋律以外の各声部がこの日、実によく聴こえたものだ。

そしてオーケストラのみなさんが、気持ち良さそうに演奏しているのを観ながら、この絶美の音楽を聴くことは、最高のご馳走でした。
石田コンマスを筆頭に弦のみなさんは、体を揺らせながら弾いてらっしゃる。
甘い旋律を奏でる木管やホルン、そんな仲間を見つめる弦のみなさん。
すっかり手の内に入ったこの曲ゆえに、わたくしも、一緒になってこの音楽に入り込み、身も心もラフマニノフと一体化してしまった感があります。

寄せては返すロマンと抒情の波のような第3楽章は、ともかく素晴らしかった。
斎藤さんのクラリネットも楚々・連綿、若々しいサウンドをたっぷりと聴かせてくれました。
随所にあらわれる石田コンマスのソロも曲を引き締め、思わず息を飲むような美しさ。
合わせるのが意外と難しい2楽章の終り方。チェロの山本さんと、石田コンマスとの間で、アイコンタクトがなされたように感じました。
わくわく感がつのり、迎える最後の大団円は、いつもライブでドキドキしてしまう最高の高揚感を味わう個所。
この日も神奈フィルの盛り上がりは最上級の素晴らしさでした。
情熱的に歌い上げる弦楽器、うなりをあげる低弦、金管の高らかな咆哮、木管の全奏、高鳴る打楽器。これでもかというくらいに、盛り上がりました。
定番、「じゃんじゃん」のラフマニノフ・エンディングのばっちりと決まった心地よさ。
思わず、ブラボー献上!

いやぁ、神奈川フィルのラフマニノフ2番は天下一品でございます!!

かくして長かったコンサートは心地よい疲労感とともに、大団円を迎えたのでした。

Umaya

終演後は、土曜日にはお馴染みの「横浜地麦酒~驛の食卓」へ移動。

第1ヴァイオリンの平井さんにもご参加いただき、まだ少し明るいうちからずっと飲み、食べて、そして音楽のことを皆さんで語りました。
ほんとうに楽しく、有意義なひと時を過ごせました。
ここの麦酒は本当に美味しい。
ここで造られたものを、即座に飲める、その高鮮度の味わい。
神奈川県の食材ばかりのお料理も最高。
いつも、Iさんのおかげで、心行くまで楽しめます。
気がついたら、もう終電の心配をする時間ですから、どんだけ。

Minatomirai2

みなさま、今回もお世話になりました。
      

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コメント

先日はどうもありがとうございました。
そしてコメント遅くなり申し訳ございません。
神奈川フィルの素晴らしさは、いつでもこの水準は絶対お約束と言うことですよね。
このオーケストラの個性はやはり一層抜きん出ていると思いました。
それはラフマニノフでは威力を発揮していましたね。
このオーケストラをここまで育てたオーケストラの皆さんには心から敬意を表したいです。
池辺さんの曲は、実はあとからボディーブローのように効いてきました。昨日、ニュースでフクイチのことやっていましたが、思うように進んでいないようですね。
あそこで働いている友人の奥さんもよく知っていますが、家族の気持ちを思うと胸がつまります。
あの曲の初演に立ち会えたこと、感謝したいです。
レーガーは、これぞレーガーでしたね。あの可愛い旋律を、よくもまぁあそこまでこね回したものだと。
棒がもう少しと思うところはいっぱいありましたが、オケが最高に頑張っていました。
このオーケストラのいいところ、なんだか実感した演奏会でした。

投稿: yurikamome122 | 2013年3月 6日 (水) 09時24分

yurikamomeさん、こんにちは。
ご返事遅くなってしまいました。
ラフマニノフを神奈川フィルで聴く喜びは耐えがたい喜びですが、たしかにyurikamomeさんがおっしゃるとおり、あの(わたしは定期ではなかったのですが)演奏が耳に残るのはもうどうしようもありませんね。
レーガーの音楽に、興味がわき、ほかのオケ曲やオルガン曲なども聴いてます。
人見知りするような音楽ですが、スルメ系でもあります。
ですが、記事にはすこぶるしずらい手ごわさです。
オケの頑張りは、目を見張るものでした。
 それと池辺作品は、もう一度聴きたいですね。
あの日以来、いろんな思いを音楽に抱くようになりましたが、まさにこの初演作も人によっては抉るような内容を伴っていたように感じました。

投稿: yokochan | 2013年3月 7日 (木) 13時06分

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