ベートーヴェン ピアノソナタ第14番「月光」 ケフェレック
お地蔵さんに、葉桜に、東京タワー。
夜間は街路灯やスポットの光で、全篇オレンジカラーでした。
日にちの移り変わりにおける生活の日々の流れ以上に、自然の移り変わりは容赦なく、こちらの情緒の思いとは裏腹にやたらと激しく、早い。
桜は散り、季節はどんどん巡ります。
ベートーヴェン ピアノ・ソナタ第14番 嬰ハ短調 「月光」
Pf:アンヌ・ケフェレック
(2004.10 ナント)
俗に言う、いわゆる「月光ソナタ」を聴きます。
そのタイトルは後付けではあるにしても、やはりこの曲の第1楽章の幽玄かつ幻想味あふれる音楽は、いまでも、えも言われぬロマンティックな感情を呼び覚まします。
そう、初めて聴いたころの中学生時代の自分の思いを遠くから呼び覚ますような感じ。
いまやどこからどこまでも完璧極まりないオッサンになってしまいましたが、俗に言う、いわゆる思春期ってヤツですよ。
もの思いにふけったり、大そうに人生などを考えたり、女子のことを思ったりなどなど。
そんなときに、この「月光ソナタ」は絶好のバッググランドミュージックだったわけ。
これ聴いて、ほわ~んとしてたんですよ。
あの頃に戻って、一から出直したいもんだ。
でも、もしかしてクラヲタ君にならなかったかもしれないので、それは困るから、いまのままのオッサンでいいや。
そんなことを妄想しつつ「月光ソナタ」です。
3つの楽章のメインたる第1楽章がないともいえる、緩急急の少しばかりいびつな存在が、これまた幻想風な佇まいなわけです。
今日の演奏は、やはり中高時代に、あこがれた、おフランスの美人お姉さま、アンヌ・ケフェレック様です。
しっとりとエレガントな貴婦人のようなアンヌさま。
エラート時代のレコードもそこそこ集めましたよ。
当時、女流ピアニストというと、アルゲリッチのような奔放系や、ラローチャのようなおばさま系で、本物の美人系のしっとり派はあまりいなくて、わたくしは子供心にアンヌ様の登場をむちゃくちゃ喜んだものです。
同様に、クリダとかコラール、ピリスなどのフランス・ラテン系の方々にも心惹かれましたね。
ケフェレックは、このところ毎年のように日本にやってきてくれますが、どうもタイミングが合わず聴けずじまい。
なんとか、そのステージに接してみたいものです。
メインの第1楽章も麗しくも素敵な演奏ですが、わたくしは以外にも第2楽章の小粋な軽やかさがとても気にいりました。
あの頃のケフェレックさま。
わたくしも若かった。
月光ソナタ 過去記事
「ルービンシュタインのCD」
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コメント
今晩は。私が初めて聴いた月光ソナタはホロヴィッツの演奏でした。中学生時代のことで、悲愴や熱情とカップリングされたカセットテープでした。アシュケナージのソナタ全集はもちろんアシュケヲタの私ですから持っておりますが、彼のベートーヴェンのソナタはあまり好きではありません。メータと共演した協奏曲は大好きなのですが。アシュケのピアニストとしての本領はベートーヴェンよりもショパンやラフマニノフにあるような気がします。今好きなべト・ソナタ演奏は、以前にも書いた覚えがありますがグルダの演奏です。モダン・ピアノで弾いているのに古楽器ピアノのような不思議な弾き方をしています。最初聴いたときは「何この弾き方?」と思ったのですが、何度も聴いているとヤミツキになる演奏です。
余談ですが、たった今、直木賞作家・東野圭吾氏の代表作の一つ「白夜行」を読了しました。この人ははっきり言ってミステリ作家としては松本清張の再来かもしれません。それほどすごい人です。800ページの大長編があっという間でした。この小説にはマクベス夫人やルルに匹敵するほどの恐ろしい女性が出てきます。知り合った男(女性さえも!)皆破滅させてしまう、絶世の美人で、しかも悪魔です。私は今夜怖くて眠れないかもしれません。この記事でブログ主様が載せておられる夜景の写真を見ていると彼女が写っていそうで怖いぐらいです(笑)。
投稿: 越後のオックス | 2013年4月10日 (水) 23時37分
越後のオックスさん、こんばんは。
やはりアシュケナージをお聴きですね。
指揮をし始めてから、アシュケ離れを起こしてしまいましたが、若いころの彼のピアノはとてもよく聴いてました。
ともかくピアニシモが繊細できれいだという印象で。
ベートーヴェンがいまひとつ、とうことは同感ですが、もしかしたら今弾いたらもっと違う印象になるかもしれないと思います。
そして、グルダですね。
アマデオの全集は聴いたことがないのですが、同時期のコンサートホール盤はよく聴きました。
ヤミツキになるというその演奏、いずれしっかりと聴いてみなくてはなりませんね。
東野圭吾は、タイトルを忘れましたが、1冊だけ読んでます。
物忘れのひどい私は内容まで覚えてないのですが、やはり一気に読んでしまうようなスリルあるものだったと思います。
ルル好きのわたくしですから、それはまた読まなくてはなりませんね。お薦めありがとうございます。
投稿: yokochan | 2013年4月11日 (木) 00時48分
Merci pour tout autre poste merveilleux. Où d'autre peut-on obtenir ce genre d'informations dans une telle approche idéale de l'écriture? J'ai un exposé la semaine suivante, et je suis à la recherche de ces informations.
投稿: cheap red bottom shoes | 2013年4月11日 (木) 03時53分
懐かしい写真が掲載してあって久しぶりに筆をとりました。アンヌ・ケフェレックですね。魅力的な容貌とその正にフランス的な名前に心ひかれ彼女のLP買いました。シューベルト、スカルラッティ、シューマンもあったかな?日本録音のバッハも買いました。中でもよく耳にしたのがラヴェル。二つの協奏曲の魅力に気づかされました。指揮はアラン・ロンバール、今はどうしているのでしょうか? また当時ベートーヴェンのソナタでレコードデビューした若者ピアニストいましたね。デジェ・ラーンキしかりラド・ルプもそうでした。懐かしいLPでした。故吉田秀和が若いピアニストへエールを送っていました。
投稿: ornellaia | 2013年4月11日 (木) 11時03分
ornellaiaさん、こんばんは。
コメントどうもありがとうございました。
ケフェレック様の当時の画像に反応いただけますとは嬉しいです。
そっくり、こちらも年を重ねてますが、彼女はいつまでもエレガントで若いです。
バッハは私も持ってますが、あれは日本録音だったですね。
CDでいずれもおいおい買い直そうとは思ってます。
そしてラヴェルの協奏曲は、CDでも聴いてます。
あの眩さはいいですね。
ロンバールは、ボルドー管との音源などは希少なものが多いですが、最近は名前を聴きませんね。
エラート時代のストラスブールとの録音の数々は、音もよかったし、懐かしい思い出がこれまたあります。
デンオン・フンガトロンでのハンガリー3羽鳥、ルプーなどなど、男子系も当時は新鮮でしたねぇ。
いやはや、懐かしいです。かさねて、ありがとうございました。
投稿: yokochan | 2013年4月12日 (金) 00時30分