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2013年4月18日 (木)

ベルリオーズ 幻想交響曲 コリン・デイヴィスを偲んで

Hamamatsucho_201304_a

ちょっと遅くなりましたが、4月の小便小僧は、ピッカピカの1年生。

めちゃくちゃ可愛いですな。やはりこういうのが一番似合ってる。

去年は紺色(こちら去年記事)、今年はグレー。

昼のせいもありますが、とても明るく前向きな感じです。

Hamamatsucho_201304_b

はい、お背中も完璧なお姿。

新幹線もすっきり、速いです。

ということですが、今回は、ベルリオーズのスペシャリスト、サー・コリン・デイヴィスの逝去を悼んでの「幻想交響曲」です。

Berlioz_davis

  ベルリオーズ  幻想交響曲

 サー・コリン・デイヴィス指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

                     (1974.1 @アムステルダム)


コリン・デイヴィスの名前は、わたしのような、ちょっとオールド入った年代には、モーツァルトとベルリオーズのスペシャリストというイメージが、その聴き始めの70年代にはあります。

ロンドンでのその両方の作曲家の連続録音は、正直いって当時、あまり人気がなくって、情熱的だけど、かなり地味な英国指揮者という印象を持ち続ける結果となりました。

げんきんなもので、なんでもうまく完璧に演奏してしまうロンドンのオケから、コンセルトヘボウやボストンを指揮するようになって、急速にその力量を評価されるようになり、加えて、これまでのロンドン演奏も正当に評価されるようになったということも事実で、日本の聴き手や評論筋の当時のあり方すら窺える結果を残したことも、デイヴィス、加えてハイティンクやプレヴィンの存在なのでした。

ロンドン響との60年代録音は、実は聴いたことがありませんし、このACO盤後のウィーン、LSO再録は未聴ゆえ、唯一のわたくしのデイヴィス幻想が、今宵のコンセルトヘボウ盤です。

フィリップスが、ハイティンク以外の自社アーティストをコンセルトヘボウに振り分けるようになった70年代半ば。
急速に評価を上げたハイティンクとともに、デイヴィスもコンセルトヘボウとボストンで大ブレイクしました。(ついでマリナーも)
このオケとは、この「幻想」に始まり、グリュミオーとのベートーヴェン、ハイドン、ストラヴィンスキー、ドヴォルザーク、展覧会など、いまでもその鮮度が瑞々しく保たれている名演を次々に残したデイヴィスです。
 当然に、ハイティンクとも仲がよくって、ハイティンクが自分はもう歳だし・・とか言えば、ベルナルトは、わたしより若いのだから何言ってんのと笑ったりする関係でした。
1927年生まれのデイヴィスに、1929年生まれのハイティンク。

こちらの「デイヴィスの幻想」は、コンセルトヘボウのコクのある音色が最大限に楽しめる端正なベルリオーズであるとともに、曲が後半から、さらに終楽章に向かっていくにしたがって、デイヴィスならではの情熱が燃え盛りだして、最後は圧倒的な終焉を迎える、聴かせる演奏なのです。

コルネットとハープの響きが効いてる2楽章のワルツは、意外や、優美さにかけてはこの演奏がかなり上位です。コンセルトヘボウのホールの響きも実に美しい。
 さらに美しい「野の情景」は、オーケストラという有機体の存在すら感じさせないくらいに音楽そのものの再現に徹して、そこに見えてくるベルリオーズの抒情があります。
いつも書きますが、歳を経てこの田園情緒あふれる楽章が、とても味わい深く聴こえるようになりました。その最右翼のような演奏の一つがこのデイヴィス盤です。

克明・丁寧に捉えられた「断頭台」はファンファーレも、意外にあっさり。
そのあと、ジワジワと燃え盛るように進行する「ヴァルプルギス」は、実に圧巻です。
怒涛のような終結は、このコンビのあの「ハルサイ」をさえ思い浮かばさせる圧倒的な演奏でございます。

フィリップス系の指揮者は、コンセルトヘボウとの相性が抜群だったということが、あらためてここでわかりました。
ヨッフム、イッセルシュテット、ハイティンク、デイヴィス、マリナー、ワールト・・・・。

サー・コリン・デイヴィスの懐の大きさと、自在な音楽性が実によくわかった「幻想」でした。

サー・コリンへの哀悼の念をこめて。月イチ幻想でした。

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コメント

今晩は。遅まきながら佐村河内交響曲演奏会観劇お疲れ様でした。今日、やっとイタリア・デッカのデイヴィスのベルリオーズ・ボックス13枚組を入手することが出来ました。今、馬鹿売れしている商品のようで一か月待たされました。デイヴィスのベルリオーズは結構聴いているのですが、晩年のドレスデンやロンドン響レーベルのCDが多く、60~70年代の若き日の勢いあるデイヴィスのベルリオーズは意外に聴いていないので今からこの聴きごたえのあるセットを聴くのが楽しみです。幻想交響曲の音源ではブログ主様の足元にも及びませんが、マルティノンやバレンボイム指揮ベルリンフィルは私も持っていますので拙ブログで取り上げる機会があるかもしれません。

投稿: 越後のオックス | 2013年8月22日 (木) 21時28分

越後のオックスさん、こんにちは。
ありがとうございます。充実の演奏会でした。

そして、サー・コリンのベルリオーズボックスですか!
トロイやベネディクトを始め、聴きものは、廃盤久しい、今井信子さんとのハロルドじゃないでしょうか。
あれだけは、いまだに聴いたことがないのです。
録音も素晴らしいはずです。
おっしゃるとおり、サー・コリンの魅力は、この時代のベルリオーズに集約されると思います。
お聴きになられた印象をまた記事にされること、楽しみにしております。

投稿: yokochan | 2013年8月22日 (木) 23時43分

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