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2013年4月20日 (土)

ストラヴィンスキー 「春の祭典」 ブーレーズばっかり

Torigoe_2

新緑が映えるニッポンの神社。

こちらは、台東区にあります鳥越神社でございます。

日本武尊を主尊に祀るこちら、お祭りも有名ですな。

さて、4月26日(金)の神奈川フィルハーモニーの新シーズン開幕は、ブーレーズとストラヴィンスキーです。

  ブーレーズ       「ノスタシオン」 Ⅰ~Ⅳ

  ストラヴィンスキー  バレエ組曲「火の鳥」

                バレエ音楽「春の祭典」

    金 聖響 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団


果敢かつ魅力的なプログラムでしょ。
でもオーケストラはさぞかし大変。
聴く側でよかった。

で、今夜は、録音のもっとも多いと思われるブーレーズの指揮で4種類の正規音源を聴いてみたのです。
さすがに、この曲を連続聴きすると疲れます。

Boulez_stravinsky_ch

ピエール・ブーレーズの名を最初に高めたのが、1963年コンサートホール録音盤。
フランス国立放送管弦楽団を指揮したもので、ブーレーズ38歳の若さみなぎるこの演奏は、録音がかなりイマイチですが、相当にぶっ飛んでて、切れ味も鋭いです。
冒頭のファゴットは、それこそ苦しそうで、作曲者の思いに一番近いのではないかと思われる。ついで登場する木管楽器も同じようにショボく聴こえるのは、やたらとオンぎみに録られた録音のせいばかりではなく、ブーレーズの狙いだったかも。
音の悪さは正直苦痛ですが、思いきりのいい推進力と無慈悲なまでの愛想のなさは、だんだんと快感になってくるから不思議なものだ。
しかし、音は悪くても解像度は抜群で、あらゆる楽器が明快に聴こえてくるところがスゴイ。

Boulez_le_sacru_du_printemps

1969年録音のクリーヴランド管弦楽団盤
ブーレーズ44歳、このレコードが発売された年に、セルとともに来日した。
録音も良くなり、さらにオーケストラが超一流になったことで、前回にも増して、音の解像度はあがり、見通し抜群、切れ味アップです。
乱暴な迫力という意味では後退していますが、広大なダイナミックレンジを感じさせ、第2部の最初の方のミステリアスな雰囲気は、いまだに恐怖すら覚えます。
中学生の頃に聴いた時は、突然わき上がるような打楽器の炸裂音に心臓が飛び出るほど驚いたものだった。
いまでも、この精度の高い演奏には、驚きと愛着を感じます。
最終エンディングのドンピシャ的な決まり具合も最高。
ブーレーズの愛想なし・無慈悲ぶりはこの頃がピークだったかもしれない。
鋭い眼力を全曲くまなく感じるクリーヴランド1号なのでした。

Stravinsky_printemps_boulez_dg

1991年録音のこれまたクリーヴランドDG盤
ブーレーズは66歳になりました。
当時関係良好のシカゴで録音してくれればよかったとも思いますが、ここでもまたクリ-ヴランド超高性能で、録音も素晴らしい。
無慈悲ぶりはかなり薄まり、余裕すら感じる自在感がある。
鋭い分析的な演奏という意味でも健在ですが、音のエッジが少し丸くなった分、面白みも後退し、大人の演奏になっちゃったクリーヴランド2号。

Salzburg_1_5

1997年、ザルツブルク音楽祭におけるライブ録音は、マーラー・ユーゲント・オーケストラを指揮してのもの。
ブーレーズは72歳になりました。
歳を感じさせない若々しい演奏。
前回のスタジオ録音よりも若返ってしまった?
それは、ライブという高揚感もさりながら、若いオーケストラのはちけれんばかりの瑞々しさと満々のやる気が初老のブーレーズに火を着けてしまったみたい。
冒頭のファゴットの美しいこと。1回目録音から40年近く経過し、ブーレーズにも歌心がわいてきたのか。
春のきざしの迫力の刻みもナイスだし、1部の終結部の荒れ具合は、1回目録音にも匹敵するかも。
音像がでかいホールのため、遠くにあって2部の神秘感は2回目録音のようには出ていないが、それでも太鼓連打に始まる巨大な迫力は、立ち上がりも抜群で、スピード感あふれる怒涛のような最終局面となります。
これは実にいい演奏です。
この音源には、自作の「ノスタシオン」も収録されていてありがたい。

そして、いまのブーレーズの「ハルサイ」を聴いてみたいです。

でももう88歳。気をつけて長生きして欲しいから、それはなしにしましょう。
血圧上がりそうな音楽の最たるものですから。

ともかく、ブーレーズというご仁はすごいのでした。

 ① フランス国立放送盤(63)       15’39”/17’04”

 ② クリーヴランド盤(69)          16’38”/17’58”

 ③ クリーヴランド盤(91)          15’55”/17’27”

 ④ マーラー・ユーゲント盤(97)      16’02”/18’17”


過去記事けっこうあります

 「春の祭典 70年代乱れ聴き」

 「シモノフ盤」

 「マゼール盤」

 「バーンスタイン盤」

 「サロネン盤」

 「アバド盤」

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