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2013年4月 6日 (土)

シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲第1番 ニコラ・ベネデッティ

Hirayama_5

先週末、千葉の平山大師。

この紅枝垂れだけが咲き残っておりました。

鮮やかな色合いです。

昨日は、寝不足に加え、いろんなことがおきて、ドラマティックな一日でした。

そのことは、いずれまた、その思いを書いておきたいと思います。

Benedetti_symanovsky

  シマノフスキ ヴァイオリン協奏曲第1番

        Vn:ニコラ・ベネディッティ

    ダニエル・ハーディング指揮 ロンドン交響楽団

                  (2004 @ロンドン)


カロル・シマノフスキ(1882~1937)は、分裂時のポーランド生まれ、その生没年からわかるとおり、世紀末系の作曲家。
55歳での死去は、いまからすれば早すぎるもので、なかなかに劇的なその人生は、その早世を肯かせるものでもあります。

裕福な家庭に育ち、ふんだんな音楽教育を受け、ポーランド音楽界の新たな流れの会にも影響を受け(カルウォヴィチの後輩)、その後ヨーロッパ各地を楽旅。
帰還後、ロシア革命の一派による襲撃を受けるなどして、裕福だった家も没落してしまい、困窮と病の中に亡くなってしまう。

その人生を裏付けるように、シマノフスキの音楽作風はそれぞれの時期に応じて変転し、大きくわけると、3つの作風変化があるといいます。

後期ロマン派風→印象主義・神秘主義風→ポーランド民族主義風

その人生にあてはめると、裕福時代→楽旅時代→帰国後の苦難時代、という風になるかと思います。

まだシマノフスキ初心者のわたくしで、多くは聴いてませんが、4曲ある交響曲のうち以前取り上げた第3番「夜の歌は、真ん中の印象主義・神秘主義風時代のもので、ペルシャの詩につけたミステリアスな交響曲でした。

そして、今回のヴァイオリン協奏曲第1番も、まさにその時期に位置する実にナイスな存在なのです。
1915~16年に作曲。
ポーランドの哲学者・詩人のタデウシュ・ミチンスキの詩集「5月の夜」という作品に霊感をえた作品。
ミチンスキの詩集「星の薄明かりのなかで」という作品に、先に6つの歌曲をつけていることから、この詩人を知ることになったとされます。
その詩を是非読んでみたいと思います。
音楽を先に知り、その元となった文学作品を確認するというのも、なかなかに好奇心をあおるものでして、ことにこのシマノフスキ作品のようにいろんな要素が多面的に織り込まれているところを聴くとなると、ますます知りたくなります。

曲は単一楽章で、約27分の標準協奏曲サイズ。
打楽器多数、ピアノ、チェレスタ、2台のハープを含むフル大編成のオーケストラ編成で、それに対峙するヴァイオリンも超高域からうなりをあげる低音域までを鮮やかに弾きあげ、かつ繊細に表現しなくてはならない、難易度の高いソロです。

鳥のざわめきや鳴き声、透明感と精妙繊細な響きなどドビュッシーやラヴェルに通じるものがあり、ミステリアスで妖しく、かつ甘味な様相は、まさにスクリャービン。
そして、東洋的な音階などからは、ロシアのバラキレフやリャードフの雰囲気も感じとることができます。
これらが、混然一体となり、境目なく確たる旋律線もないままに進行する音楽には、もう耳と体をゆだねて浸るしかありません。
こんな聴き方をすること、瞬くような流れの音楽、こうした類の音楽に、わたしはいつも快感を覚え、脳内細胞が時には活発になり、そして時には緩やかにほぐれていくのを感じとることができます。

ともかく、わたくしの音楽嗜好にストレート・マッチしたシマノフスキのヴァイオリン協奏曲なのです。

そして、わたしの大好きなニコラ・ベネデッティが弾いているんだもの。好きになりますわな。
DGデビューのこの音源は、実は録音してすませていたところ、最近ちゃんと購入したら、レーベルがデッカになって、その刻印がジャケットにしっかり押されてました。
ビュジュアル派のヤワな存在とは違う本格派の彼女。
先生のひとりがポーランド人だったこともあり、この方のサジェストでシマノフスキを知ることになり、レコーディングに結びつきました。
時に奔放に、時にロマンテッィクに、でもニコラらしい健康的なヴァイオリンがとても清々しく、曲の魅力とともに、何度聴いても飽くことがありません。

Nicola_1

カワユク美しいニコラたん

少し前、日本に来てたんですねぇ。

過去記事

「コルンゴルト ヴァイオリン協奏曲」

「プロムス2012 ブルッフ スコットランド幻想曲」

「プロムス2012 ブルッフ ヴァイオリン協奏曲」

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コメント

今晩は、よこちゃん様。 ニコラたん、美しいですねぇ(ため息) シマノフスキさんは、あまり馴染みがなくコメント出来ず申し訳ないです。
今日はベイスターズの勝利とラミちゃんの大記録達成おめでとうが言いたくての書き込みです。
ラミちゃんも、すっかりベイスターズの顔となりましたね。あの明るいキャラクターはベイに必要不可欠となりつつあるのかな?
この調子で先ずはAクラス入りと参りますか。

投稿: ONE ON ONE | 2013年4月 6日 (土) 21時38分

ONE ON ONEさん、こんにちは。
そうなんですよ、ニコラたん。美しいのです。
実物を拝んでみたいです(笑)

で、ラミちゃん、やりましたね。
中畑とともに、すっかりベイを明るいイメージに刷新しました。負けても面白い、楽しませる。まさにプロです。
で、いまは好調です。
5月には、いつも失速してましたので、まだまだ警戒が必要です。。。

投稿: yokochan | 2013年4月 7日 (日) 11時36分

この曲今朝FMのCD番組の再放送で、聴きました。コンスタンティン・クルカのソロでしたが、ドビュッシーの印象派っぽい響きに、時折バルトークの第2vn協奏曲を思わせる、猛々しい技巧的なパッケージが現れるかと思うと、じょうじょうたる歌う旋律も登場する作品と、聴きました。稚拙で乱暴な印象記で、すみません。

投稿: 覆面吾郎 | 2021年3月10日 (水) 09時55分

シマノフスキ、自分には遅くにやってきた作曲家でしたが、どんぴしゃりの好みの音楽でした。
全4曲の交響曲、四重奏曲、オペラ、合唱作品と体系的に聴いていくと、このヴァイオリン協奏曲の印象主義・神秘主義的な作風のものが一番好きです。
スクリャービンとの近さも好きなところです。

投稿: yokochan | 2021年3月15日 (月) 08時14分

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