武満 徹 「明日ハ晴レカナ、曇リカナ」 晋友会
鬱陶しいむしむし梅雨空の今日の首都圏。
こんな五月晴れが、ほんとうに眩しく、羨ましく思いだされる1日でした。
ニュースをひねれば、死や暴力、隣国との摩擦、政治家の暴走とあげ足取り、芸能人のつまらん話題・・・・・、そんなのばかり。
そういえば、潮田益子さんが亡くなりました。
まだお若い方でした。
小澤さんとの共演のレコードやバッハの無伴奏もありました。
わたくしの昭和はどんどん過去になっていきます。
武満 徹 混成合唱のための「うた」
~明日ハ晴レカナ、曇りカナ~
関根 晋 指揮 晋友会合唱団
(1992.9.15 @川口 リリアホール)
武満徹が編曲・作曲した無伴奏混成合唱のための二つの作品集からなる合唱曲集。
これを、合唱曲集と呼ばず、「うた」~Songs~というところが武満流。
50~80年代にかけて作曲されたものを90年代前半に曲集として編んだものです。
1.さくら 2.小さな空
3.うたうだけ 4.小さな部屋で
5.恋のかくれんぼ 6.見えないこども
7.明日ハ晴レカナ、曇りカナ 8.島へ
9.死んだ男の残したものは 10.○と△のうた
11.さようなら 12.翼
一筋の流れのようにして聴くこれらの無伴奏合唱。
まさに形式ばらず、肩肘はらない軽いタッチの「うた」。
歌っている詩は、時として、呑気に聴いてらんないシリアスさも内包するけれど、タケミツソングスは、そんなシリアスさも優しく馴染みあるタッチでさらりと聴かせてしまう。
研ぎ澄まされた神経と耳で持って息を詰めるようにして聴かなくてはならない、武満徹の現代音楽ジャンルの作品。
それらと対峙するのでなく、同一の人物がしっかり書いたもうひとつの顔の作品群。
映画音楽のジャンルなどもそうでしょう。
あの泣けるほどに美しい「波の盆」もそう。
こうして、気の置けない雰囲気の合唱は、人々の集いの中で育まれていった英国のパート・ソングを思わせるものがありました。
ディーリアスやホルストたちの涼しげで、田園情緒あふれる庭園音楽たち。
そして日本語の綾なす美しさ。
繊細で細やかな抒情と言葉の意味なすリアルさの妙。
谷川俊太郎をメインに作曲者の詩。
昨日ノ悲シミ
今日ノ涙
明日ハ晴レカナ
曇リカナ
明日ノ苦シミ
今日ノ悩ミ
明日ハ晴レカナ
曇リカナ
今日は、ぐっとキタ
このシンプル・ソング
晋友会のしなやかな美しいハーモニー。
いいじゃないか。
武満ソングスのもう1枚の愛聴盤。
オペラ歌手ゆえに劇性も豊か、でもメゾゆえのきめ細やかさ。
林美智子さんの「地球はマルイぜ」。
ご本人のサインもいただき、大切な1枚です。
心の中はずっとずっと晴レていて欲しいものです
神奈川フィル監修の名曲案内。
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