バッハ モテット「イエス、わが喜び」 ヒリヤードアンサンブル
この連休は、実家でゆっくりしました。
天気にも恵まれ、街中を幼き頃の記憶をたどりながら、海に山に歩きまわりました。
海の風が聴こえる場所にある、わたしの通った幼稚園は、かつて家があった場所から1~2分。
子供の頃に隠れんぼうをしたりした場所に、いまでは、お洒落なイタリアンやレストランが出来てまして、ほんと、隔世の感があります。
この日も、ぼろい格好して散策してたら、ムチャクチャお洒落なおネイサンたちが外車で乗り付けてきて、一瞥されてしまいましたよ。
嬉しいやら、悲しいやら・・・・。
バッハ モテット「イエス、わが喜び」 BWV227
ハノーヴァー少年合唱団
ヒリヤード・アンサンブル/ロンドン・バロック
ポール・ヒリヤー指揮
(1984 @ハノーヴァー)
6曲ある、バッハのモテット。
カンタータとはまた異なる形式による、合唱が主体、コラールを中心に据え、聖書の聖句も引用した複合合唱作品です。
カンタータのように独唱によるアリアもなく、淡々とした合唱がメインの渋い音楽なのですが、そのポリフォニーの綾なす美的な佇まいは、厳粛なバッハの宗教作品の中にあって、以外にも陶酔的な熱とロマンを感じさせてくれます。
もっとも長く、しかも有名なのが、今宵の「イエス、わが喜び」です。
同名のコラールは、同じバッハの「マタイ」で感動的に歌われるものと一緒です。
マタイには早くから馴染んでいた自分が、この清冽なモテットを聴いた時には、マタイのような劇性がすっぽり抜け落ちたこの曲の素直な美しさに本当に感動したものです。
20分ちょっとの中に、このコラールがいろいろと姿を変えて6回(6曲)登場します。
その間に、聖書からの各節(ローマ人への手紙)が織り交ぜられて、微細な変化や異なる印象を感じ取ることができます。
音楽の根底に流れるバッハならではの篤心的な宗教への帰依は、先に書きましたような熱っぽい没頭感を持ちまして、そのバッハの思いは、いまの世の中でも、聴く人の心に意外や熱く届くという寸法です。
ヒリヤードアンサンブルを中心としたこちらの音盤は、とても上手で、見栄え聴き映えともに完璧です。
ほんとうは、ハンス・マルティン・シュナイト師のアルヒーフ盤(レーゲンスブルク)が慎ましくも南ドイツの日常風で、理想的な演奏なのです。
学生時代、朝のバロックをエアチェックして、何度も何度も聴いたものです。
いまはもう昔のことです。。。
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