ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第2番 マイスキー
なんだかよくわからないけど、紫陽花。
6月の梅雨は、この花があるから救われる。
日本情緒ゆたかな植物。
いろんな種類も楽しめるし、梅雨ならではの、ブルーとピンク主体の淡いパステルがとてもお洒落。
でも、赤や黄色は、品種改良でもご法度ですな。
ショスタコーヴィチ チェロ協奏曲第2番
チェロ:ミッシャ・マイスキー
マイケル・ティルソン・トーマス指揮 ロンドン交響楽団
(1993.8@ロンドン)
まだやります、この鬱陶しい天気に迎合するように、哀しみ、絶望、救い少なめの音楽。
ショスタコーヴィチに癒しとか、心温まるとかいう言葉はまずありません。
シニカルを標榜してはいても、その実態は、どこまでがその本質か不明。
実はなんのことはなかった、単なる彼の作風の常套であったのかもしれないし、もしくは本当に時の体制への隠れ蓑だったのかもしれないし・・・・。
これこそが謎なんでしょうな。
一方で、しっちゃかめっちゃかな、破れかぶれともいうべきハメを外したかのような明るさ。
そのどちらも、ショスタコ。
東西もなくなったいまに、タコさんが生きていたとして、その音楽はどんなだったでしょうね。
ショスタコの交響曲はすでに制覇し、それを聴けば何番ぐらいにはわかるようには、なりました。
協奏作品とオペラも大体に同じ感じ。
しかし、弦楽四重奏を始めとする室内楽作品はまだまだ。
だいたいに、メロディや曲の雰囲気だけを知ってもままならないのがショスタコの音楽。
暗さと明るさ、深刻と軽薄、深淵と表層、憂鬱と明朗、絶望とユーモア、悲観と楽観・・・・、あらゆる反対語がその音楽からは聴こえてくるようだ。
そのどれもがショスタコーヴィチの音楽の姿で、実はそれ以上のこともない、なんのこともないのではないかと思ったり。
わからん、いまだに不思議なオッサンです。
こうして、理解できない欲求不満におちいり、鼻を抓まれた印象で終わってしまう気分が、それこそショスタコーヴィチの音楽なのでしょう。
かの激烈な「ムチェンスクのマクベス夫人」なんかも悲惨このうえないけれど、あらゆる皮肉と希望への願望が満載なのだから。
総論はともかく、こちらの1966年製第2チェロ協奏曲のたっぷり暗澹さの詰まったアイロニー500%ぶりは、聴く者をマイナスオーラにしっかりと包んでくれます。
と同時に、ショスタコらしい打楽器満載の五感に訴えてくるリズミカルな爆音もあります。
よくある内面的で暗く、とっきの悪い1楽章。
続く2楽章はスケルツォ的なアレグレット。悲壮感抜群であります。
そして終楽章にもこの流れは続き、ますますとりとめがなく、自分はいったい何を聴いてるのかわからなくなります。
2楽章で出てきて、終楽章にも引き継がれる妙に劇画チックな旋律。
90年代初頭から、どうも聴いたことがあると、思っていた気になる旋律。
そう、小田和正の「ラブ・ストーリーは突然に」に聴こえるんですよ、私には。
だから、ずっこけちゃう。キターーッですから。
しかし、そんなこといいながら、なんだかんだで、終結部はますます謎と混迷を深めていって、ユーモアと皮相感たっぷりに突然に(?)曲は死んじゃいます。
第4と14、15番の交響曲の終わりにも似たり。
この作品、時に交響曲では13と14番の狭間、弦楽四重奏では11番と同じ年。
わたくしは、8歳の小学生。
関係ないけど、バイロイトではベームのリングとトリスタンのライブ録音の年。
日本初演は、ロストロポーヴィチがたしかN響で、71年ごろ?。
テレビで見ましたが、子供だったワタクシ、「へ~んなの?」でお終いでした。
酸いも甘いも、の歳となった今。
「わからんが、キターーーッ」でございます。
マイスキーとMTTは、むちゃくちゃいいと思います。はい。
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コメント
お早うございます。長岡は、冬はドカドカ雪が降り、夏は暑く、梅雨時は体を動かすのがウザッタクなるほど湿気に苦しめられる街です。なんだかんだ言って私はこの町が好きなのですが。梅雨時に聴く音楽というとティルや古典交響曲など肩がこらなくて爽快な曲がいいと私などは思っておりましたが、ブログ主様はシブい曲をお聴きになりますね。MTTとマイスキーはタコさんの曲に最も合う組み合わせかもしれませんね。私はナクソスのマリア・クリーゲルのチェロとアントニ・ヴィット指揮ポーランド国立響の演奏で聴いています。ナクソスやブリリアントには、知名度こそあまりないものの、隅には置けない力量を持った演奏家がよくいますが、クリーゲルやヴィットもそういった人たちなのではないかと思います。タコさんのチェロ協奏曲第2番はヴァイオリン協奏曲第2番同様、交響曲第15番をコンチェルトに作り替えたような、何が言いたいのかよく分からない、でも何度聞いても哲学的なまでの感銘を受ける不思議な音楽ですよね。
投稿: 越後のオックス | 2013年6月22日 (土) 09時27分
越後のオックスさん、こんばんは。
長岡は、冬に夏に行ったことがありますが、たしかにそのようなイメージでしたが、わたしは好きな街のひとつですよ。
この曲は、当盤とロストロしか聴いたことがないのですが、結構お腹いっぱいになりますので、その後の聴き比べまではいかないのが現状です。
時間が許せば、ほかの演奏も聴いてみたいものであります。ご紹介ありがとございます。
まったくミステリアスな曲ですが、不思議と癖になる音楽のひとつですね。
投稿: yokochan | 2013年6月24日 (月) 21時57分