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2013年7月 3日 (水)

チャイコフスキー 「マンフレッド交響曲」 ハイティンク指揮

Landmark

ミスト発生中のランドマーク下、横浜美術館。

都会のあちこちに、ミストシャワーを見受けるようになりました。

今年は、ますます活躍しそうであります。

新築のビルなんかは、外壁に、そんな機能がもう埋め込まれていて、壁からミスト発生中でしたよ。

そのうち、自動打ち水マシーンなんかも出てきそうですな。

暑い夏を、冷房に頼らずにクールダウン。

それは音楽を聴くことでも、達成可能ですよ。

さしずめ、ロシア・北欧・英国系の音楽など。

わたくしのように、ワーグナーやヴェルディは、暑さを煽る、もってのほかの音楽なんでしょう。

Tcahikovsky_haitink

   チャイコフスキー  「マンフレッド交響曲」

 ベルナルト・ハイティンク指揮 アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

                        (1979.10@アムステルダム)


ハイティンクのチャイコフスキー全集は、タワレコが復刻しましたが、わたくしは、レコード時代、交響曲のみのこちらの全集を、廉価盤化されて7枚組で、1枚1500円の9500円だったか?・・・・でした。
いずれにしよ、毎月1枚1枚発売されたシリーズを我慢して、全集化されたときに満を持して購入。
LP時代末期、80年頃だったでしょうか・・・。
もうあれから30年以上が経過して、その後にCD化され再購入した全集には、管弦楽作品もたっぷり収められていて、ハイティンク&コンセルトヘボウのチャイコフスキーの集大成となってました。
それもまた20年くらい前。
いまや、驚きの価格で再復刻されたことに、もはや驚きは覚えませんが、その安さはどう考えても合点がいきません。
あふれかえる再販CDの数々。
安くなければ売れないのはわかりますが、何でもかんでもとはまた・・・。
それほどに、ハイティンクのチャイコフスキーは圧倒的なまでに素晴らしい存在なんです。
ヴァイオリン協奏曲や、旧録の4番や6番も併納するくらいの徹底ぶりを示して、高付加価値=見合価格でよかったのじゃないかな。

すいません。
かつて無理してまで資金投入してきたもので、いつも損してばかりの女々しい感慨にふけってしまうものですから。

さて、チャイコフスキーの交響曲シリーズ。
最後は番号なしの、標題交響曲。
「マンフレッド」は、1885年、4番と5番の中間、その充実期にあったチャイコフスキーがバイロンの詩劇につけたダイナミックな交響曲です。
1882年頃に、バラキレフの強い勧めによって書き始め、完成作は、そのバラキレフに献呈されております。

1~3番の交響曲の持つ、ロシア的な情景描写と心象風景。
4~6番のヨーロッパとロシア、しいてはマーラーにも通じる作者の心象を映し出したかのような私的・主観的な観念の融合。
この「マンフレッド」は、そのどちらの側にも通じる、いかにもチャイコフスキーらしい甘味かつ壮麗な音楽なのです。
バラキレフは、老大家ベルリオーズにも打診したらしいが、期せずして、「チャイコフスキーのマンフレッド」も、4つの楽章からなりながら、ベルリオーズを思わせる田園情緒とはちゃむちゃな悪魔的な饗宴風景をダイナミックに描いた作品との側面もあります。

>アルプス山中の城の主マンフレッドは、懐疑的思想に取り付かれ、絶望のうちに魔女から妖術を学び取る。これで救いを得られないマンフレッドは山中をさまよい死を追い求めるが、それも与えられない。やがて、かつての恋人で自殺したアスタルテの亡霊と会うが苦悩のうちに救われないまま死を迎える・・・<

こちらは過去記事から引用しました。

この題材をモティーフにした作品では、シューマンの劇音楽もありますが、あちらはかなり晦渋な雰囲気で、チャイコフスキーのような劇性は薄目ながら、なかなかの作品だと思います。

ハイティンクとコンセルトヘボウは、このめんどくさい人物の物語を、大真面目に、スコアを真っ向勝負で挑んだ、どこからどこまでも堅牢な佇まいと、ヨーロピアンな木目調の美しさに満ち溢れた超名演を成し遂げているんです。
6曲の交響曲に負けず劣らずの名曲に聴こえるから、素晴らしい演奏の強さは、こうして説得力があるものなのです。
終楽章の最後に、それまで何度も登場してきたマンフレッドの動機が、ヒロイックに歌われるとき、このハイティンクの演奏ほど孤高の域に達しているものはありません。
そのあとに出るオルガンにも派手さはなく、音楽のうえからの必然性を感じ取ることができるのです。

録音もまた、言わずもがな、厚みと繊細さ、豊かな響きを完璧に捉えてます。

この曲で、復活して欲しいのは、プレヴィンとアロノヴィッチの両LSO盤です。
それこそ、タワレコさま、頼みます。

これにて、チャイコフスキーの交響曲シリーズ終了。
なんだか、とっても寂しい。
いつも聴き続けていたいチャイコフスキーなんですよ。

過去記事

「シモノフ&ロンドン交響楽団」

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コメント

はじめまして。いつも楽しく読ませていただいてます。マンフレッド交響曲は最初に聴いたのがアーロノヴィチ指揮のLSOでそれで好きになりました。思い出の演奏なのですが今は持っていません。調べてみたらタワレコで演奏者バラバラのチャイコフスキー交響曲全集の一環として2007年にCD化済みでしたが敢えなく廃盤とのことでした。残念です。曲そのものも全集からはじかれることも多くて不憫。けっこういい曲だと思うのですが。

投稿: kaz-kka | 2013年7月 4日 (木) 00時37分

kaz-kkaさん、こんにちは、こちらこそはじめまして。
いつもありがとうございます。
マンフレッド交響曲のファンがいらっしゃって、心強く嬉しいです。
お聴きになられたアーロノヴィチは、放送で1度聴いたきり。あのころのDGのロンドン録音なら、いまでもきって鮮烈だろうなと、数十年もたって夢見てます。
そういえばタワレコ全集に入ってましたね。
ちなみに、あちらの、アツモンとウィーン響の3番も聴きたくてしょうがありません。
6つの交響曲の番外編みたいな扱いですね。
ベルリンフィルやフランスのオーケストラでも聴いてみたい曲です。
コメントどうもありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年7月 4日 (木) 22時30分

70年代のハイティンクは、実はとっても味があると最近認識を新たにしています。
人畜無害で、ヨッフムが補佐しないと務まらない人だという先入観を、以前は持ってしまっていました。
今は、LPOとのベートーヴェンなども復刻して欲しいです。

投稿: faurebrahms | 2013年7月 6日 (土) 19時54分

お早うございます。ヤノフスキのラインの黄金新盤をブログ主様が取り上げられた時も感じたのですが、ハイティンクもヤノフスキもオケの優秀さにのっかっているだけの大したことのない指揮者と昔は言われていましたよね。私が高校生だった頃でさえ彼らは、コンセルトヘボウやドレスデンのオケの優秀さでもっているだけの指揮者なんだみたいなことを書いている評論家センセイがまだおりました。そういう悪評を実力ではじき返した彼らは大したものですね。ハイティンクのチャイコ全集、90年代初めに出た国内盤を持っております。でも今の感覚で見るとかなりずさんな編集の全集ですね。CD4枚に6曲のシンフォニーを収録してしまったので、2番と5番が2枚のCDにまたがってしまっています。しかもマンフレッドが入っていません。今度タワレコから出た7枚組の全集はそういう弱点もなくコンセルトヘボウ時代のハイティンクのチャイコの素晴らしさを存分に堪能できる全集のようですね。これから買う方々が羨ましいです。マンフレッドとクレルヴォは番号が付いてないばっかりに番号つきのシンフォニーと比べると物凄く冷遇されてますよね。番号なくても大地に歌はあんなに人気があるのに…

投稿: 越後のオックス | 2013年7月 7日 (日) 10時14分

faurebrahmsさん、こんばんは。
70年代当時、ハイティンクが好きで、いろいろ聴いてましたが、いまの方が、自分でもあの当時の演奏をしっかり受け止められていると思います。
LPOとのベートーヴェンは、協奏曲も交響曲もともに、素晴らしい出来栄えでしたので、わたくしも復活を渇望しております!

投稿: yokochan | 2013年7月 7日 (日) 23時28分

越後のオックスさん、こんばんは。
ハイティンクもヤノフスキもオーケストラビルダー的な存在でもありますね。
いろんなオケからお声がかかり、急場を救うこともしばしです。
それと、協奏曲などの合わせものでも、共演者からの信頼も高く音源も多いですね。
マンフレッドは、始終聴くには重たいですが、迫力と歌心にも満ちた名曲だと思います。
ハイティンクの指揮だと、そのあたりが自然に引き立ってます。

投稿: yokochan | 2013年7月 8日 (月) 00時09分

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