ディーリアス 「夏の夜、水のうえにて歌える」 エリジアン・シンガース
先週のお盆休みにドライブした山中湖。
実家から1時間30分くらいで高速を使わずに行けました。
平日ならもっと空いてて、思い立ったらすぐに行けるところが嬉しいのでした。
わたしに、ゆったりした老後がやってくるか不明ですが、もしそんな時が来れば、実家近くに戻って、海や山に囲まれた余生を送りたいものだ・・・・・。
そんなことすら贅沢に思える、昨今の厳しい日常の日本国。
なんて、慌ただしく殺伐とした日々なんだろ。
そんな日々に安らぎを覚えるのが、盆や正月のお休み。
そして、愛おしいディーリアスの音楽。
ディーリアス 「夏の夜 水の上にて歌える」
~ふたつの無歌詞・無伴奏のパートソング~
エリジアン・シンガーズ・オブ・ロンドン
T:ステファン・ドウズ
(1992.9 @ハンプステッド・カレッジ・スクール、ロンドン)
パートソングは、英国でいう無伴奏の合唱作品で、世俗的な歌から聖歌風のものまで、気の置けない家族や仲間で、つつましく親密に歌う合唱作品をいうのです。
ディーリアスをはじめ、英国の作曲家は、このジャンルに涼しげで、懐かしい曲調の音楽をいくつも残しております。
そんな中でも、一番に夏向きで、聴いた瞬間のクールダウンをお約束できるのが、今宵の「夏の夜 水の上にて歌える」です。
2つの短い無伴奏・アカペラ・パートソングからなるこの曲。
1917年のディーリアス55歳の作品で、後世にずっと過ごした、フランス、グレのシュールロワンの流れるともない河のほとりの邸宅にて作曲された音楽のうちのひとつ。
1曲目は、合唱だけで、どこか寂しげな短調で、「Ah~」と歌われる。
泣きたくなるほどに美しく、哀しく、夏の夜の川辺での物憂いアンニュイを感じます。
2曲目は、合唱とテノール独唱。今度は、「La~LaLa・・・」です。
この流動感と、少し浮き浮きする川遊びの楽しさ思わせる清涼感。
でも、その終わりはどこか寂しく、思いは遠い子供時代に飛んでゆくようだ。
夏の終わりは儚いもの。
そんなひと時の移ろいゆく美しい瞬間を、ディーリアスの音楽は巧みにとらえております。
ディーリアスは、日本人の情緒的な心意気にぴったりと寄り添う音楽に思います。
四季それぞれに、ディーリアスの音楽は、わたしの心を慰めてやみません。
故三浦淳史先生の名タイトルほど、この曲の雰囲気を伝えるものはないですね。
かつて、ロンドンレーベルから出た川面がキラキラする美しいジャケットのレコードが忘れられません・・・・・・。
過去記事
「レッジャー&キングスカレッジ」
「エリジアン・シンガーズのパートソング」
youtubeにありましたので、是非ともお聴きください。
ただし、テノールがかなりイマイチです。
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