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2013年9月29日 (日)

神奈川フィルハーモニー第292回定期演奏会 沼尻竜典指揮

Minatomirai

日が落ちるとひんやりしてきました。

秋が急速にやってきてます。

音楽シーズンです。

そして、夏のブランクを経て神奈川フィルの定期演奏会です。

9月に入って、トマの「ハムレット」、ワーグナー「ワルキューレ」と大作で大忙しの神奈川フィル。
フルメンバーそろっての定期は、これまた個性的なプログラムかつ、大曲での締め。

わたくしの好きなところを次々に攻めてくれる神奈川フィルだけど、楽員さんも大変だと思います。

Kanaphil201309

   ストラヴィンスキー  詩編交響曲

             神奈川フィル合唱団

   グラズノフ       ヴァイオリン協奏曲

   チャイコフスキー   感傷的なワルツ

             Vn:石田  泰尚

       R・シュトラウス    アルプス交響曲

       沼尻 竜典 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団

                 (2013.9.27 @みなとみらいホール)

ことし、日本のオーケストラは、「アルプス」ブーム。
神奈川フィルしか聴いてないけど、ファンとしてはプログラムの面白さと、指揮者との1か月間にわたる共同作業の積み重ねでもって、神奈フィルの勝ち、と勝手に宣言したい。
 そんな素晴らしい演奏会でした。
アルペンもいいが、3つの曲の組み合わせが織りなした世紀末直後の音楽の様相を、一夜にして聴くことの意義を痛感しました。

おわかりの人は、このプラグラムを見て、ひと晩では長過ぎと思われるかも。
合唱・変則編成→ソロ協奏曲→最大編成
このようにステージの準備も大変だから、そのインターバルを入れると終演は、9時25分と予測してましたが、アンコールがあったことを加味してだいたいその通りになりました。

すばらしい充実度。コンサートを聴く喜び、ここに尽きる、の一夜でした。

ヴァイオリンとヴィオラを廃し、ハープとピアノをヴァイオリンの位置に持ってきた特殊編成。クラリネットもない。そこに合唱。
見た目もユニークだけど、出てくる音塊が素のままに原初的でかつピュア。
キリキリのリズム感と、鋭角ななかにも甘味なまでに神への帰依を歌ったこのユニークな曲を沼尻さんは、丁寧に簡潔に仕上げてます。
山本さんが、コンマス的な役割、さすがです。
合唱は、もうすこし人数を絞った方が透明感と鋭さが出たような気がします。
3つめの楽章の、興奮と祈りの静けさの対比、それが平安のうちに終結する場面では、心から感動しました。

2曲目は、石田コンマスをソロにむかえてのグラズノフの協奏曲。
CDでは、太いロシア的なソロで聴くことの多かったグラズノフのこの曲。
ところが、予想通りといいましょうか、石田さんのソロはまったくいつもの石田流のキラキラ・スリムサウンド。
20分間の間、その音色にほとほと感心しましたよ。
あまりに繊細すぎるその甘味なる音色は、このホールが多きすぎて、それを聴きとるには、とてつもない緊張と集中力を要すると思わせるのでしたが、聴き進むにつれ、石田ならではのパフォーマンス(今回弱め)も伴いながら、完全に目も耳も、彼の世界に引き込まれてしまうのでありました。
この希有のヴァイオリニストは、こうして神奈川フィルの美音の一環を担ってきたわけですが、同質の美感を持つオケとの仲間共演では、最強の美的世界を作り上げます。

グラズノフの音楽は、ロシア世紀末のヨーロッパよりの濃厚なロマンティシズムを持つもの
ですが、一方では骨太のロシアンサウンドも持ち合わせているわけで、そのあたりの表出がこの演奏からは抜け落ちていたかもしれません。
 でも、それは、このユニークな美的サウンドからしたら、ほんの一面に過ぎなく思えるのが石田マジックでしょうか。
コンマス石田&神奈川フィルの次なる次元にも期待しつつ、新しいメンバーの台頭もうかがえる新鮮な神奈川フィルの今後も期待したくなる、そんな演奏でした。
ともあれ美しく素敵な演奏。
その仕上げは、耽美的なるチャイコフスキーにため息ひとつ。

20分間の休憩で、「We Love 神奈川フィル」メンバーと石田ヴァイオリンに感嘆しつつ、アルプス登山に備えて白ワインを注入。

ぎっしりぴちぴち満員のステージ。
冒頭の夜のしじまから、日の出にかけての精妙さと抜群の盛り上がり。
はやくも、ここで背筋が伸び、ホロ酔いワインが体から抜けてぴきーーンと来ましたよ。
この曲は、こうでなくちゃ、っとばかりの高揚感と感動の高まり。
今、オレは神奈フィルの「ハマのアルペン」を聴いてるんだ、という思いからして感動の一助になる。
その後の、山々の清々しい、清涼感とみずみずしさ。
滝のしぶきは、神奈フィルの音のシャワーを思いきり全身で浴びるようで、マイナスイオンでホールは一杯に満たされます。
この間のオーケストラのソロの活躍は、どこをみても満載なので、あっち向いたりこっちむいたりと、忙しいぞ。
 沼尻さんの指揮のいいところは、その堅実で腰の据わったぶれない安定感。
指揮者のうしろ姿が気にならない、ということも、これもまた音楽がしっかり聴く側に届いているからなのでありましょう。
東西でのワルキューレでの蜜月が生んだ、この最終形としてのオケと指揮者の一体感がこのアルペンでもって結実していると思いました。
 そして迎える、山の頂き!
シュトラウスの心憎いまでの頂点の築きあげ方。
もう感銘にうちふるえて、心から気持ちが解放されて、自ら山のてっぺんに到達したかのような心地よさ。
その後の天候急変、嵐。
このところティンパニにしっかり座っていただいて存在感ありありの神戸さん。
平尾さん、清水さん、堀尾さんにエキストラ交えての打楽器群。
サンダーマシンをバリバリ鳴らすとき、白手袋をするところが面白かったし、あの瞬間のためだけの贅沢な一撃にうれしくなりましたね。
 せわしい下山も、しっかりとオーケストラその個性を出してます。
ずっとずっと弾きっぱなしの弦楽器群は、いろんなところで分奏もするので、ビジュアル的にもいろいろ起きるオーケストラの隅々から目が離せない。
だんだんと、音楽は緩やかになって、しみじみ感も増してきて、日没を迎えるのでありますが、神奈フィルの音色はますます研ぎ澄まされてきて、下山して夜を迎え、オルガンも目立ってくると、別れの切なさが増してきました。

シュトラウスの作り出した聴き手の心くすぐる巧みなエンディングと、帰ってきた、神奈川フィルの美音とのしばしの別れとで、なんだかとても悲しくなってしまった印象的な曲静かな結末でした。

拍手はしばらくなし。

暖かく、熱い拍手が長く続きましたことはここに記すまでもありません。

Seiryumon


アフターコンサートは、いつものとおりに、お店が終わるまで、今宵は、気分がよくって、日が変わっても2軒目まで突入して、朝の電車を待つこととなりました。
お疲れのところ、楽員の方々と事務局のみなさん、ありがとうございました。

わたくしも管理人の一役の、神奈川フィルの公認ファンページ「We Love 神奈川フィル」のフェイスブックページが8月より装いも変えてスタートしてます。
聴き手と、オーケストラを結ぶ存在として、自分たちも楽しみ、その楽しみを皆さんと団員さん、楽団さんと分かち合えればと思ってます。

どなたでもご覧になれますし、イイネもできますヨ。
是非ご覧いただき、なによりも、神奈川フィルを聴きにいらしてください。
感動と驚きをお約束できます、歓待いたします!

次回定期演奏会は、10月18日(金)19:00。

     ブリテン ヴァイオリン協奏曲
     
          Vn:ダニエル・ホープ
 

     ホルスト  「惑星」

          広上 淳一 指揮


「We Love 神奈川フィル」  

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コメント

大学1年生のとき、黒岩 英臣さんの指揮で聞きました。
故山田一雄さんは、渋谷の東急文化村のオープニング企画の一環で、新星日本交響楽団での田園交響曲を聴いています。
音楽監督になって、1ヵ月後に死んでしまいましたね。そのうち聴きに行こうと思って。そごうデパートで買い物したりと思いながら。。バブルがはじけ始めた1991年。が、大学4年。。
それから、卒業して、神奈川県民でなくなって。
僕の父は、昭和11年、現在の相模大野駅の伊勢丹のすぐそばで生まれて。当時は高座郡新磯村(あらいそむら)。僕もその近くに4年間住んで。その間に、相模大野に伊勢丹の隣に大きな複合文化施設もできて、ベルリン国立歌劇場の『魔笛』も見て。O.Suitnerがベルリンの壁崩壊したら指揮活動をやめてしまった時期。

1回しか行ってないけど、なんかバブルの真っ最中、自分も巻き込まれて浮かれていた最中。やけに覚えているんです。神奈川フィル。。演奏そのものでなくて。。

沼尻竜典さん、ミュンヘンのBallet公演でJ・アダムズとマーラーの作品でのデビューは、覚えています。

今は、クラシックのコンサートもオペラも何も聴きに行きたくない。人ごみに歩くのもいや。地方の田舎で、静かにしていたい。けど、こういうブログを見るのは、とても大好きですよ。。続けてね。。。

神奈川、思い出がいっぱいあるから。小さいときから必ず父の実家(自分の家では、父は苦労人の婿さん)、遊びに行って、思い出いっぱい。その後一切疎遠。

投稿: 元神奈川県民 | 2013年9月29日 (日) 07時53分

元神奈川県民さん、こんにちは。
コメントどうもありがとうございました。
わたくしも神奈川県人で、いまは千葉都民で、神奈川フィルに通う、千葉都民神奈川県人という複雑な存在です。
実家は県内にあって、始終帰ってますので、心も体も神奈川です。

でも、神奈川フィルを聴かれていたのは、元神奈川県民さんの方がかなり古いですね。
バブルはサラリーマンで、都内のオケや外来オケやオペラに酔っていて、神奈川フィルには足が向かなかったです。
今思えば、郷里のオケに失礼なことしましたし、もったいないことでした。

でも、元神奈川県民のように神奈川県を見守っていらっしゃる方もおいでです。
わたくしなど恵まれた存在ですね。
いつも近くにある、神奈川ですから。
これからも、神奈川初の音楽や文化、自然と食など、できる限る発信を続けていきたいと思います。

素敵なコメントをあらためて、どうもありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年9月29日 (日) 22時57分

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