レスピーギ 「ローマの祭」 ガッティ指揮
夏の名残り強く残る盛り場。
盛り場と申しましても、こちらは少しの場末感ただよう、横浜野毛の入口から行ったら結構奥の方。
それ風な場所もあってかねての結界みたいな感じを思わせますが、こうした宵闇に、ほんとに美味しいものを求めて人々が集まります。
これもまた大都会の持つひとコマと思います。
そして、まだ「夏」を忘れちゃならない。
故郷の夏は、「祭り」だよ。
「おら、みんなに会いでぇ!」、だよ。
レスピーギ 交響詩「ローマの祭」
ダニエレ・ガッティ指揮 ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団
(1996.10 @ローマ)
いわずとしれました、レスピーギのローマ三部作。
「松」「噴水」「祭り、その3つのタイトルを持つ交響詩は、はなやかかつ、知的なオーケストレーションを持ち味あとしたレスピーギの代表作です。
レスピーギ(1879~1936)は、まだそんなに遠くない存在の生没年で、ちょっと遅れてきたイタリア世紀末作曲家です。
プッチーニより約20年あと、イタリア伝統のオペラ作曲家としての立場から少し身を置いて、シンフォニスストでもなく、オーケストラや器楽を中心にすえて、オペラや歌曲に対した。
ここに以前の記事から、ヴェルディ後のイタリアオペラ作曲家の系譜を再褐しときます。
★ヴェルディ(1813~1901)
・ボイート(1842~1918)
・カタラーニ(1854~1893)
・レオンカヴァルロ(1857~1919)
・プッチーニ(1858~1924)
・マスカーニ(1863~1945)
・チレーア(1866~1950)
・ジョルダーノ(1867~1948)
・モンテメッツィ(1875~1952)
・アルファーノ(1875~1954)
・レスピーギ(1869~1936)
レスピーギは、その生没年から言えば、その作風は保守的であり、古代の旋法やバロック期の古風な佇まいを引用した古典主義的な存在でもありますが、一方でそれらをベースにしながらも、オーケストラの技法を駆使し、豊かな響きと大胆な和声を駆使した前記のような華麗なサウンドも身上としてます。
いま、そのオペラ作品を聴き始めましたが、こちらはその両面を巧みに持ち合わせた作品が多く、聴き応え充分です。
ただ、多くあるように、歌詞対訳の障壁があって、じっくりとりくむと数カ月を要しますので、また時間が許せば、そのオペラの諸作品をシリーズ化したいと思っております。
さて、今宵は、そんなことは悩むことなしに、痛快で劇画的、血沸き、心躍る、ローマのフェッシバルのいくつかに心を馳せて、思いきり鳴りっぷりのいいレスピーギの粋な交響詩を聴こうじゃありませんか。
かつての記事からまたもや再褐。
①いきなり金管の大咆哮で始まる「チルリェンセス」はローマ時代の暴君の元にあった異次元ワールドの表出。
②キリスト教社会が確立し、巡礼で人々はローマを目指し、ローマの街並を見出した巡礼者たちが喜びに沸く「五十年祭」。
③ルネサンス期、人々は自由を謳歌し、リュートをかき鳴らし、歌に芸術に酔いしれる「十月祭」。
④手回しオルガン、酒に酔った人々、けたたましい騒音とともに人々は熱狂する。キリストの降誕を祝う「主顕祭」はさながらレスピーギが現実として耳にした1928年頃の祭の様子。
いつ聴いても③の夏のものうい雰囲気のセレナーデには酔ってしまう。
そして、その酔いをぶっ飛ばすような、④の強烈かつぶっ飛びの最終エンディング。
まさに、「イェーーイ」と快哉を叫びたくなるんだ。
もう10年経つけれど、いまや名匠となったガッティのピチピチとしながらも、知的な指揮に、歌心満載のローマの俊敏なオケ。
ローマ三部作には、トスカニーニ、オーマンディ、ムーティ、ヤンソンス、マリナーと大好きな音盤数あれど、このガッテイ盤もイタリア男の魅力あふれる素敵な1枚であります。
そして、この曲、神奈川フィルの美音で持って、港町で是非聴いてみたい。
若い、川瀬君でOK!
ローマ3部作 過去記事
「ローマ三部作」 マリナー&アカデミー
「ローマの松」 ヤンソンス&オスロフィル
「ローマの噴水」 デュトワ指揮
「ローマの松」 トスカニーニ&NBS響
「ローマの祭」 シノーポリ&ニューヨーク・フィル
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