R・シュトラウス 「アルプス交響曲」 ティーレマン指揮
数年前の夏、志賀高原でリフトで山頂に。
下界は、晴れ渡っていたけれど、上からは下が霞んで見えます。
そして何よりも気温の違い。
当然に自生してる植物も違います。
こちらは、長野オリンピックのおりの大滑降の場。
こんなところ滑り下りるなんで神業。
滑り落ちることならできそう。
さて、きたる9月27日(金)は、神奈川フィルの夏休み明けの定期演奏会。
ストラヴィンスキー 詩編交響曲
神奈フィル合唱団
グラズノフ ヴァイオリン協奏曲
Vn:石田 泰尚
R・シュトラウス アルプス交響曲
沼尻 竜典 指揮 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
9月27日(金) 19:00 みなとみらいホール
夏休みといっても、楽員のみなさんは、それぞれに活動や研鑽もあり、しかも8月末から今週まで、オペラが2本。
先週は横浜で、この連休は、びわ湖で「ワルキューレ」。
そして、翌週が、このヘビーなプログラムの定期です。
沼尻さんとの3週にわたる共演は、きっと実りある演奏で結実することでしょう。
R・シュトラウス アルプス交響曲
クリスティアン・ティーレマン指揮 ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
(2000.10 @ムジークフェライン、ウィーン)
かつての昔、クラシック聴き始めのころは、「アルプス交響曲」なんてレコードも少なくって、ベームのモノラル盤に、ケンペのロイヤルフィル盤ぐらいしかなかった。
ライナーやセル、オーマンディすら録音していない。
まして、演奏会などで取り上げられるなんて滅多にない演目。
100人あまりの楽団と、多種多様の楽器の数々を必要とするから。
それがレコード界で、ブレイクするようになったのは、ケンペのシュトラウス全集と、メータのロスフィル録音あたりからで、70年代からかと。
やはり録音技術と聴き手のオーディオ装置の進化とがあってのこと。
CD時代になってからは、録音合戦には拍車がかかり、同時に、80年代からは、コンサートでも人気曲となって盛んに演奏されるようになりました。
シュトラウスが、愛した日常生活のなかで、散歩とちょっとした山登り。
その思いが、ガルミッシュ・パルテンキルヒェンを舞台としたリアルな、登頂シンフォニーとして生まれた。
そのリアル感を、鉛筆一本転んでもそれを音にできると豪語したシュトラウスが、完璧極まりなく、そして、痛快なまでに描いてみせる。
いままで、実演でも、音源でも、やたらと聴いてきたので、むしろ何の先入観もなしに、シュトラウスの曲は聴くに限る。
ティーレマンの腰の低い、低音がズシリと重いタッチのシュトラウスは、昨今のすっきりと明快な演奏の風潮とは異なるもので、流れの良さというよりは、山中の見どころを、明確にとらえて、それらを大きくダイナミックに掘り下げて、聴き手を立ち止まらせて、その絶景に心を鷲づかみにさせてしまう迫力と集中力がある。
ウィーンフィルの甘い音色が、ときにずしりとした響きのなかで、アクセントとなっていて素敵なものだ。
ワーグナーの大曲もそうだが、ティーレマンの作り出す音楽は、若いぶつ切れの音楽の頃と違って、最近ますます剛直に、そして微妙にライブ感を交えながら、ぜんたいの見通しをしっかりと作って巨視的ななかに、緻密な響きも交えるようになっている。
このアルペンでも、そんなティーレマンを感じる。
全曲通して、約56分。
最短は、確かショルティの39分。
同じワーグナー指揮者でも、こうまで違う。
明日もティーレマン行こうか。
過去記事
「プレヴィン&フィラデルフィア」
「ハイティンク&コンセルトヘボウ」
「デ・ワールト&NHK交響楽団」ライブ
「ルイージ&ドレスデン・シュターツカペレ」ライブ
「ケンペ&ロイヤルフィル」
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コメント
お早うございます。私がクラヲタの洗礼を受けたころには、アルペンはもう人気名曲になっていました。88年に大阪のオヤジさんの80歳を祝う演奏会があって、それでオヤジさんが豪華ソリストと共演したベートーヴェンのトリプルコンチェルトとアルペンを大阪フィルでやっているのをエアチェックしたのですが、それが私のトリプルコンチェルトとアルペン初体験でした。CDではアシュケナージ指揮クリーヴランドとケンぺ指揮ドレスデンを好んで聴いてきました。昨年カラヤン指揮ベルリンフィルのCDを買って圧倒され、「この人は晩年まで帝王だった!」と思いました。
さて、ティーレマン氏ですが、私が大学生だった90年代にデビューした方ですね。レコード会社が「カラヤン、クライバー、そしてティーレマン」なんて宣伝文句で売り込みをしていました。日本デビュー盤はベートーヴェンの5番と7番の一枚とプフィツナーとR・シュトラウスでした。グントラムとフォイエルスノートが一部ですが聴けるので飛びつくような思いで買った記憶があります。レコード会社の宣伝は少し大げさだったので「それほどの人なの?」と思っていたのですが、その後のウィーンやバイロイトでの活躍を見ているとそれだけの方だったようですね。私はメストびいきなので最近のメストがウィーンフィルのニューイヤー以外はあまり新譜を出してくれないのが気になります。チューリヒ時代はあんなにいろいろCDやDVDを出して才人ぶりを発揮してくれてたのですが…
投稿: 越後のオックス | 2013年9月22日 (日) 08時35分
yokocan様、お疲れモードでしょうか。
ティーレマンのは生憎さまで、持っておりません。理由は了解されていらっしゃることですので。もっとも、ウィーン・フィルなら、プレヴィンの録音は欲しいとは思うけれど。
70年代、この作品が“映画音楽”の走りのような空疎な音楽だと思われていたのに、これだけ録音が増えてきて、さまざまなアプローチが聴けるようになると、シュトラウスの管弦楽作品の中でも、最も奥深い音楽だと思うようになりました。やはりライヴ体験の有無がきいています。
来月、ノット=東響の新潟定期で、4つの最後の歌(巨漢クリスティン・ブリューワーがソロ)とこれをやりますが、ノットの堅実な指揮で、どのように聴こえるか、今から楽しみです。
なお、ショルティのアルプスは、44:19 でした。最速には違いありませんが。
投稿: IANIS | 2013年9月23日 (月) 10時08分
越後のオックスさん、こんにちは。
なんだか多用で、すいません、遅くなりました。
おやじさんのその演奏はレコードにもなりましたね。
聴く機会はいまだにありませんが。
わたしの初聴きは、AMラジオでベームのモノラル盤でした。その後ケンペSKDのレコードと続きます。
オーディオマニアも喜ばすこの曲は、同時にコンサートでも華のある作品です。
スピーカーの限界を気にせずに聴けるのもコンサートの強みです。
ティーレマンは、ワーグナー以外は、さして聴いてこなかったのですが、こちらと、英雄の生涯、オペラ間奏曲などは別格でした。
以前のような強引さがなくなってきた分、わたし的には高評価となっております。
メストはレーベルに恵まれませんね。
クリーヴランドに専念していると、なかなかメジャーレーベルは録音に乗りだしません。
ウィーンのオペラ座でも、監督なのみティーレマンばかり。
もう少し録音を残して欲しいところですね。
投稿: yokochan | 2013年9月24日 (火) 17時47分
IANISさん、そうですね、正直さいきん、お疲れモードかもしれません。眠くてしょうがありません。
ティーレマンについてはそうですね了解してます。
プレヴィンは、ウィーン盤とフィラデルフィア盤と比べると面白いです。
あとはなんといっても、ハイティンクとコンセルトヘボウが完全無比の1枚ですな!
ライブで聴くと、この曲の面白さと清朗さがとてもよくわかります。
ノットは、分厚い響きも出しますので、楽しみですね。
東響はいい指揮者をつかまえました。
そうそう、39分は英雄の生涯だったかもしれません。
訂正しておきます。
投稿: yokochan | 2013年9月24日 (火) 17時58分