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2013年9月19日 (木)

コルンゴルト 「死の街」 マリエッタの歌 

Roppongi_hills1

今日は満月。

満月を見ると変身する、狼男の映画に、子供のころ、心から恐怖をいだいたものです。

もしかしたら前にも書いてますが、子供の頃に、狼に噛まれた少年が年長して、吸血鬼狼男になっていく。
満月の晩、夜な夜な女性が襲われ、その女性は亡くなったあと、狼として生まれ変わる。
青年は、村の老人に可愛がられていたが、老人は、吸血狼を仕留めるために、銀の十字架を溶かして玉をつくり、青年にもそのいわれを語る。
 青年は、やがて、朝に血に染まった自分をみて、自分の姿と宿命を悟る。
老人も、それを察する。
ある月夜の晩、吸血狼となった青年を老人は追いつめ、苦しみながらも、あの一発を放つ。正気にかえりつつある青年の目と老人の目に浮かぶ涙。
子供心に、恐怖心とともに、憐れさと哀しみをその映画に覚えたものです・・・・。

あら、わたくし、今日は何を書いてるんでしょう。

でも、映画でも、そしてオペラでも、あのようにロマンティックで、哀しみ感じる内容や演出ってなくなってしまったと思う。
映画はまだいい。
オペラに、映画的こまごまとした要素が入り込んで、現象優先、情緒後回しになってしまった。

月夜に、今日は、わたくしの最愛のオペラのひとつ、コルンゴルトの「死の都」から、「マリエッタの歌」を。
この選択、これまでにも何度もやってますが。

Korngold_die_tote_stadt

 コルンゴルト  「死の都」から マリエッタの歌

  パウル:ルネ・コロ    マリエッタ:キャロル・ネブレット

   エーリヒ・ラインスドルフ指揮バイエルン放送管弦楽団
    
                         (1975.6@ミュンヘン)


この音盤こそ、いまのコルンゴルトルネサンスを築くきっかけとなったもの。
77年に日本発売になったころ、それなりに話題にはなりましたが、日本ではまだまだ。

埋もれていた、不幸の作曲家、ナチスに退廃のレッテルを貼られてしまった作曲家。アメリカ亡命後、戦後も浮上できなかったコルンゴルトの名前が、この録音から世界に広まった。

ドラマは、まるでゴシック小説のようで、生と死、現実と妄想、愛と裏切りが、万華鏡のように描かれます。

そして音楽がまた、とろけるように甘味でミステリアスで、ロマンティック。

亡き妻を偲ばせる踊り子が歌う歌。
それをなぞる、妄想せし男。
その二人の歌は、あまりに切なく甘い。

この全曲盤に聴く、ルネ・コロは、至上最大のパウル役だ。

甘口のヘルデンテノールによって歌われるパウルは、狂気の淵もすれすれに、時に爆発し、時に、この「マリエッタの歌」にあるように優しくノスタルジックに。

対するマリエッタのネブレットも、おきゃんな感じが微笑ましくカワイイ。

このコルンゴルトのオペラ、最近出たフランクフルトオペラのひと組も、とても素晴らしい。
それは、チョコレートのように甘い、フォークトのパウルが聴けるからだ。
でもそのレビューはまたに。

来春、日本では東西で、「死の都」が上演されます。

まず西では、びわ湖ホールで、舞台日本初上演。

Korngold_die_tote_stadt_biwako

あの湖のほとりの美しいホールでコルンゴルト。

いいなぁ。

3月8,9日。

そのあとすぐに、新国立劇場でも新演出上演が12日から5公演。

いったいなぜ、こんなことになるんだというくらいの3月。

日本はコルンゴルトの音楽に染まり、そして桜の美しい花咲く季節を迎えるのです。

びわ湖での日本を代表するキャストも素晴らしいし、新国では、このオペラを歌ったら世界最高との歌手ばかり。

そして、ほんとうは、コルンゴルトを演奏するなら神奈川フィルが一番と思っている自分なのでした。

相方はイマイチだけど、コロの歌う映像を

もうひとつ、新国で歌うトリステン・ケルルの舞台から。
ケルルは、バイロイトでもタンホイザーで活躍中。
新国でも、常連となりつつあるヘルデンです。

あと、J・キングが歌う、まるでジークムントのような悲劇的なパウルも、最近DVD復刻されました。

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コメント

やっと、日本にも『死の都』の良さ、作品の独創性、舞台鑑賞の機会にめぐり合えること、喜ばしいですね。。。

2008年に、ウィーンで音楽新校訂による(Wiederaufnahme)初日と2日目を観ました。

マリエッタは、アンゲラ・デノケ。パウルは、K・F・フォークト。フランクは、Markus Eiche。指揮は、Philippe Auguin。

<万華鏡のように描かれます。>、これは、核心を得た表現に思えました。何せ、Willy Deckerの演出なんですから。世界中に貸し出され、ザルツブルグをこの演出の始まりとして、ウイーン、アムステルダム、ロンドン、サンフランシスコ(ここの地は、助手が務めたのかな?)。

日本でも、この演出でやってほしかった。大真面目に。

むかーし、2004年のザルツブルグの公演の音楽だけ、音楽だけ録音しているけど、今でも聴いています。。

<現実と妄想>が倒錯的に如実にはっきりと、判りやすく描かれていたWilly Deckerの演出。第1幕後半から第2幕終わりまで、本当、(え!!、と思う鮮やかさで面白さから)見入っていた・のめりこんでいた聴衆の雰囲気を思い出します。

音楽面は、指揮者だけPhilippe Auguin。ちょっと残念。このタイミングの時期。M・ヤンソンスのキャンセルのマーラーの3番(S・ビシュコフ指揮に変更)。メストの指揮、S.グールド主演の’ジークフリート’新演出ものの上演中(ブリュンヒルデは最初は、D.ヴォイド。結局、N.シュテンメ。途中、L.ワトソン)。

他に、S.ショルテス指揮の’Figaro’。

結局、演出で面白かった『死の都』。

**すみません、余談に**
Zurich、この時期に、M・サルミネンの’ボリス・ゴドゥノフ’
E・インバル指揮J・イヴ=ティボーデのピアノのトーンハレ管の’トゥーランガリラ交響曲’になるのです。

さらに、別案だったのは、アムステルダムの’トリスタンとイゾルデ’(I・メッツマッハー指揮、L.ワトソンのイゾルデ。S.アナーセンのトリスタン。ミホコ・フジムラ降板のブランゲーネ、バイロイトのParsifal 新演出で降板)。で、Zurichに行く。
**********
演出で、面白かったのは『死の都』。

投稿: Tantris | 2013年9月20日 (金) 16時55分

Tantrisさん、こんにちは、コメントどうもありがとうございます。
希少なご体験にもとずく情報どうもありがとうございます。
デッカーの演出は、映像でも見ることはできないのですね。
ライブ音源は、ラニクルズのものですか?
あちらは、せっかくのウィーンフィルなのに、録音がいまひとつでした。
ウィーンは、さすがにすごい上演が連日あるのですね。
オーギャンやショルテスは、ちょっと遅れて新国にもやってきてますが、いまイチかと・・・。

ともかく垂涎の演目ばかりで、かえすがえすもうらやましいです。

そして、来春の2つの上演。
時間と金が許せば、その両方に行ってみたいとおもっております。
しかし、急に来たコルンゴルト。なにもいちどきにやらなくても、の感は強いです。
コメント、ありがとうございました。

投稿: yokochan | 2013年9月22日 (日) 00時29分

>ライブ音源は、ラニクルズのものですか?
はい、そうです。昔、MUSIC BIRDを聴いていたので、その音源です。

>デッカーの演出は、映像でも見ることはできないのですね。
YOUTUBEで、触りは観られます。2つの歌劇場の公式HPからです。

このデッカーの演出は、観に行った人の多くの共通項は、アンゲラ・デノケが出てるから、面白いんだ。みたいです。
たとえば、エミリー・マギーでは、坊主頭になった姿と衣装が合わないから。も理由です。

投稿: Tantris | 2013年9月22日 (日) 09時58分

Tantris さん、情報ありがとうございます。
なるほど、あの坊主あたまのデノケの写真がデッカー演出なのですね。
さっそく映像を探してみます。
マギーのあの立派なお姿では、ちょっと・・・・アレですねぇ。

投稿: yokochan | 2013年9月24日 (火) 17時51分

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