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2013年10月27日 (日)

ブリテン 「ノアの洪水」 デル・マー指揮

Shibaura

芝浦の高層マンション群の間を走るモノレール。

運河はもちろん海のなごり。

埋め立ての歴史は、明治後期にまでさかのぼる。

千葉から横浜まで、東京湾に広がった人工の土地。
そこにかつては大工業地帯があり、いまもそれは同じだけど、こうして人も住むようになって、商工住の街になってゆく。

すごいものだ、人間の開発欲と、その能力。

Britten_noyes_fludde

  ブリテン  歌劇「ノアの洪水」 op.59

 神の声:トレヴァー・アンソニー  ノア:オーウェン・ブラニガン
 ノアの妻:シェイラ・レックス    セム:ダイヴィット・ピント
 ハム:ダリエン・アンガディ     ヤフェト:ステファン・アレクサンダー
 セムの妻:カロライン・クラーク  ハムの妻:マリーエ・テレーズ・ピント
 ヤフェトの妻:エイリーン・オドノファン  その他

  ノーマン・デル・マー指揮 イングリッシュ・オペラ・グループ
                   イースト・サフォーク少年少女合唱

                         (1961 @オックスフォード教会)


16作あるブリテンのオペラ作品のうち、10番目。
これらの中で、「ベガーズ・オペラ(乞食オペラ)」は、ジョン・ゲイの作品の編曲・焼き直しなので、それを除けば15作9番目。

素材は、旧約聖書のなかの創世記、ノアの箱舟の物語そのもの。

多面的な素材、形式でもって、これまでの9作のオペラを書いてきたブリテン。
民話や伝説、ヴェリスモ的な現実、ミステリアスなゴシック文学などの題材に加え、今回は聖書がその素材。
このあとに、放蕩息子や燃える炉などへとつながり、さらにカーリュー・リヴァーを加えて教会という神聖なスペースでの上演を念頭に置いた、教会オペラのジャンル。
 その先駆けが、この「ノアの洪水」。
1957年の作品、「ねじの回転」と「真夏の夜の夢」というふたつの文学路線作品の間にはさまれてます。

「小さな煙突そうじ」と同じく、子供たちにも歌と演奏を委ねる、わかりやすく親しみやすい音楽の内容と規模。

大オーケストラによるものと、室内オーケストラによるもの、さらに器楽によるもの。
そんなカテゴリー分類もできるが、ノアは、最後の器楽伴奏のオペラ。

大人の弦楽五重奏(コントラバス)、リコーダー、ピアノ連弾、オルガン、打楽器。
子供の弦楽、リコーダー、鐘、打楽器、ハンドベル。

ノアとその妻、神の声は大人。
それ以外は子供たち。

こんな編成です、おもしろいでしょ。

創世記第6章の中ほどから、第9章の中ばまでを物語に。
是非、聖書を手に取って読んでみてください。

ブリテンは忠実に聖書に従ったが、唯一、ユーモアともとれる挿入か所は、ノアの妻が、井戸端会議仲間の女性たちを離れたがらず、箱舟への乗船拒否をする点。
セムを始めとする3人の息子たちが、母親を説得して、最後はノアがむりやり船に引き入れる。
 これもまたブリテン独特の社会風刺なのかも。
なにごとも信じない人、さがない人の口がもたらす間違い・・・・。

超簡単に、あらすじを述べると・・・

「世界は乱れて人々も悪に染まりつつあった。神は、世界をきれいにしようと思い、自分への忠義をいつも誓って行動しているノアを選び、あるときよびかける。
家族と動物のつがいを選んで、大きな船を建造して備えよと。
ノアはさっそく、3層構造の巨大な船を造り、神から言われたとおりに準備するが、妻だけは仲間からの誘いもあって船にのらない。しかし、ノアは息子たちとともに、無理やりに妻を船に乗せる。
しかるに、雨が40日40夜降り続き、世界は大洪水にみまわれる。
40日後、ノアは鳥を外に放ったが、外に留まるところはなく帰船。
さらに鳩を放つも同じこと。7日のちに、鳩を再び放つと、オリーブの葉を加えて戻ってきた。その7日後に鳩を放つと、もう戻ってこなかった。
 ノアは、皆で外へでて、神への感謝とともに、祭壇を築いた。
神は、二度とふたたび、生き物を殺すようなことはないであろう、と約束し虹をかける」

48分のショート教会寓意劇は、とても聴きやすい。
稚拙さもともなう子供たちの歌唱は微笑ましいし、無垢なるものを感じる。
その一方、ノア夫妻には大人の頑迷さと意思を感じる。
大人の歌唱は、ときとして、語るように歌うのでリアル感もあり。
さらに、語りだけの神さまも、その抑揚はときに音符も感じさせます。
初期第1作の「ポール・バニヤン」でも、アメリカ創世の主であるバニヤンは、語り部で、同じような効果を引き出してました。
「ノア~、ノア~」と呼びかける神さまです。

それから、動物たちの乗船の行進の場面の面白さ。
原初的なラッパのファンファーレとピアノのオスティナート的なリズムにのって、大きな動物からだんだんと小動物までがやってくる。
歌うは子供たちによる「キリエ・エレイソン」。

短いけれど、ブリテンの筆の冴えと独創性を強く感じるオペラ「ノアの洪水」でした。

作者自演ではなく、名匠ノーマン・デル・マーの指揮によるものです。
何度か書いてますが、デル・マーは、ベートーヴェンのベーレンライター版を校訂した、ジョナサン・デル・マーの親父です。

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