ショパン バラード第3番 ポリーニ
毎年、9月の半ばには必ずあらわれる彼岸花。
そして必ず群生してます。
川の土手や、田畑の畦に集まるこの赤い花は、日本の初秋の風景のひとこまです。
またの名を「曼珠沙華」。
以前にも書いてますが、ユリ科なので地中に球根状で繁殖しますが、それが少しの有毒性があり、それがわかっていた日本人は、お墓や田畑が地中動物たちに荒らされないように、地境にこれを植えたとあります。
そんな過去を知ると、この禍々しい姿と赤が妙に怪しく見えてくるんです。
ショパン バラード第3番 変イ長調 op47
Pf:マウリツィオ・ポリーニ
(1999.4 @ヘラクレスザール、ミュンヘン)
ショパン、なぜにあなたは、ショパンで、ショピンでないの?
Choinをショパンと読んで、Chopanでない件。
フランス語なのか、ポーリッシュなのか?
それはともかく、なんだかなんだでショパンは大好きですよ。
ロマン派の時代、ベートーヴェンより40歳若いだけ(1810~1849)。
外観上の形式はきっちりと守られているけれど、こんなにフリーダムに内面を綴った作曲家という意味で後年のマーラーみたい。
4曲からなるバラードは、同じく4曲からなるスケルツォとともに、ショパンの音楽の骨格をなす作品群だと思います。
それぞれに、作曲時期は異なりますが、スケルツォはベートーヴェン以来あった、ある意味伝統的な形式。
でもバラードという形式は歌曲の分野以外は、具体的にはほかにないのでは。
そしてショパンはこのバラードに自由な楽想をそれぞれに封じこめました。
4つとも全部違う。
そして、物語を語るうえで3拍子というのは必定で、4曲ともに3拍子。
それぞれに、物語的な背景を持っていて、無題ながら標題音楽という隠れた側面もあり。
それらを踏まえて聴く、ショパンの技巧性に富み、抒情と激情があいまみえる音楽に、ピアノの枠を超えたオペラティックな世界に通じるものを、わたくしは感じるのでありました。
今宵は3番変イ長調を。
1841年31歳の作。ポーランドの詩人ミツキエヴィチの詩「水の精」によるもの。
「美しい少女に恋した騎士。でも心変わりをしてしまい、あるとき湖の底に飲まれる」
水の精に恋した騎士の物語。
ショパンの抒情的な、そしてバルカローレ(舟歌)のようなリズムが心地よく、哀しくも美しい音楽です。
ときおり唸るようにして歌いまくるポリーニのショパンは、きっちりと完璧な一方で、歌謡性が高く、わたくしには絶品という言葉しか浮かびません。
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